ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode18
『届いた優しさ』
― 気づかない優しさが、誰かを支えている。 ―
Day:Thursday(共同生活18日目)
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Scene3
『チアキの休日』
Thursday|11:00 AM
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404 HOUSE。
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平日の昼。
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いつもなら、
この時間のチアキは家にいない。
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空港へ向かう準備をしているか、
フライト中。
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でも今日は。
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珍しく休日だった。
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朝食を終えた後、
他のメンバーがそれぞれ出かけていく。
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「行ってきます。」
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「気をつけて。」
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玄関で交わされる言葉。
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その声を聞きながら、
チアキは小さく手を振る。
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「いってらっしゃい。」
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ドアが閉まる。
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静かになった404 HOUSE。
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久しぶりの、
一人の時間。
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リビング
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チアキはソファに座る。
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スマートフォンを見る。
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溜まった連絡を確認。
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洗濯物。
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キッチンの片付け。
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買い物。
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やることはいくつも思いつく。
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「……。」
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立ち上がろうとする。
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でも。
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今日は、
少し体が重かった。
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これまでのチアキ
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404 HOUSEに来たばかりの頃。
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何をするにも、
「迷惑をかけないように」
と思っていた。
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食器を洗う。
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共有スペースを片付ける。
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誰かの忘れ物に気づく。
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みんなが快適に過ごせるように動く。
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それが、
自分の役割だと思っていた。
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でも。
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共同生活18日目。
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少しずつ変わっていた。
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「誰かがやってくれる。」
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そう思えるようになった。
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昼過ぎ
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チアキはキッチンへ向かう。
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冷蔵庫を見る。
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夕食の材料。
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「何か作ろうかな。」
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そう思う。
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でも。
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数秒後。
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冷蔵庫を閉じる。
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「……今日はいいかな。」
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自分でも少し驚く。
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いつもなら、
何かしなければと思っていた。
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でも今日は。
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ただ休みたい。
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そう思えた。
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ソファ
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ブランケットをかけて、
少し横になる。
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テレビの音。
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窓から入る光。
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何もしない時間。
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以前なら、
「時間を無駄にしている」
と思っていた。
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でも今は。
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「休むことも必要なのかもしれない。」
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そう思える。
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13:00 PM
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玄関の音。
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「ただいま。」
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帰ってきたのはウォヌだった。
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「おかえりなさい。」
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チアキが起き上がる。
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でも。
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ウォヌは少し首を傾げる。
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「寝てた?」
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「少しだけです。」
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「珍しい。」
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「そうですか?」
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「うん。」
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ウォヌは笑う。
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「いつも動いてるから。」
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その言葉に、
チアキは少し黙る。
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自分では気づいていなかったこと。
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14:00 PM
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午後。
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リビングには、
静かな時間が流れる。
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ウォヌは本を読む。
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チアキはソファで温かい飲み物を飲む。
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会話は多くない。
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でも、
気まずくない。
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最初の頃なら。
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「何か話さなきゃ。」
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そう思っていた。
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でも今は。
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同じ空間にいるだけで、
落ち着く。
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チアキはふと思う。
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この家では。
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頑張っている自分だけじゃなく。
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何もしない自分も、
受け入れてもらえているのかもしれない。
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【STAFF NOTE】
共同生活18日目。
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誰かを支えることに慣れている人ほど、
支えられることには慣れていない。
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チアキはいつも、
周りを見る側だった。
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でも、
少しずつ。
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自分も誰かに見てもらえていることを知っていく。
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優しさは、
与えるだけではなく。
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受け取ることでも、
関係を深めていく。
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次回 Scene4
『気づく人』
ソファで休むチアキ。
いつもなら見逃してしまう小さな変化。
それに気づいたのは――
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