ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode19
『いない時間』
― いつもある存在が、いない時に初めて大きさに気付く。 ―
Day:Friday(共同生活19日目)
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Scene1
『まだ暗い朝』
Friday|03:30 AM
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404 HOUSE。
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外はまだ暗い。
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街がまだ眠っている時間。
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家の中には、
静かな寝息だけが響いている。
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共同生活19日目。
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いつもの朝より、
少し早い始まり。
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チアキの部屋
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アラームが鳴る前。
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チアキは静かに目を開ける。
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今日は国際線勤務。
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出発は早朝4時。
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音を立てないように、
ベッドから起き上がる。
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制服を確認する。
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必要なものをバッグへ入れる。
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鏡の前で髪を整える。
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「……。」
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まだ眠っているメンバーを起こさないように、
ゆっくり部屋を出る。
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キッチン
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小さな明かりだけをつける。
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冷蔵庫から水を取り出す。
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一口飲む。
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いつもの朝なら。
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この時間に誰かと話すことはない。
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でも。
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今日は違った。
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リビング
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ソファに誰かいる。
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チアキは足を止める。
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「……え?」
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そこにいたのは。
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ミンギュだった。
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「まだ起きてたんですか?」
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ミンギュは顔を上げる。
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少し眠そうな表情。
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「あ。」
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「うん。」
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少し間。
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「たまたま。」
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チアキは思わず笑う。
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「たまたま……この時間に?」
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ミンギュは少し困ったように笑う。
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「寝付けなかっただけ。」
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でも。
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テーブルの上には、
小さな袋が置かれていた。
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チアキが気づく。
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「これは……?」
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ミンギュが袋を見る。
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「ああ。」
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「機内で食べられるように。」
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中には、
チアキが以前好きだと言っていた飲み物。
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そして、
長時間のフライトでも食べやすい軽食。
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チアキは少し驚く。
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「覚えていたんですか?」
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「うん。」
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「前に言ってたから。」
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何気ない会話。
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何気ない一言。
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でも。
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ミンギュは覚えていた。
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「ありがとうございます。」
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チアキが笑う。
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ミンギュも少し照れたように笑う。
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「国際線って長いんでしょ。」
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「はい。」
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「無理しないで。」
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「気をつけて。」
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短い言葉。
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でも。
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チアキの表情は、
少しだけ柔らかくなる。
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03:50 AM
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チアキは一度部屋へ戻り、
最後の確認をする。
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パスポート。
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制服。
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必要なもの。
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そして。
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テーブルの上に置かれた袋を見る。
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小さく笑う。
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誰かが自分のために準備してくれたもの。
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それだけで、
少し頑張れる気がした。
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玄関へ向かう時間
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時計を見る。
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そろそろ出発の時間。
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チアキはバッグを持つ。
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リビングを見る。
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まだ眠る404 HOUSE。
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そして。
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ミンギュが静かに立ち上がる。
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「行こう。」
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「送る。」
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その続きは、
次の朝の一瞬へ――。
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次回 Scene2
『いってらっしゃい』
早朝4時。
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まだ眠る404 HOUSE。
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玄関で交わされる短い言葉。
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そして、
初めて自然に呼ばれる名前。
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