ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode19
『いない時間』
― いつもある存在が、いない時に初めて大きさに気付く。 ―
Day:Friday(共同生活19日目)
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Scene2
『いってらっしゃい』
Friday|04:00 AM
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404 HOUSE。
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外はまだ暗い。
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街が眠っている時間。
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玄関の照明だけが、
静かに灯っている。
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チアキはバッグを持ち、
出発の準備を終える。
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リビングを見る。
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まだ誰も起きていない。
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いつもの朝なら、
「おはようございます。」
と交わされる声。
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でも今日は。
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みんなの眠りを邪魔しないように、
静かな出発。
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「ミンギュさん。」
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小さな声。
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「本当に起きていてくれなくてもよかったのに。」
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ミンギュは少し笑う。
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「でも、見送りたかったから。」
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その言葉に、
チアキは少し驚く。
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「……。」
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ミンギュは照れたように視線を逸らす。
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「国際線って長いし。」
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「朝早いから。」
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「ちゃんと行ってらっしゃいって言いたかった。」
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短い言葉。
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でも。
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その気持ちは伝わった。
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玄関
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チアキが靴を履く。
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バッグを肩にかける。
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「それじゃあ。」
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一度振り返る。
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「行ってきます。」
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ミンギュは自然に答える。
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「行ってらっしゃい、チアキ。」
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一瞬。
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静かな玄関に、
その名前だけが残る。
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チアキは少し目を丸くする。
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今まで。
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「チアキちゃん」
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「チアキさん」
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そう呼ばれることが多かった。
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でも。
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名前だけで呼ばれたことが、
不思議なくらい自然だった。
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距離が少し変わった。
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そんな気がした。
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「ありがとうございます。」
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チアキは笑う。
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「行ってきます。」
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ドアが開く。
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冷たい朝の空気が入る。
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「気をつけて。」
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ミンギュの声。
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チアキは小さく振り返って、
頷く。
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そして。
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404 HOUSEを出ていく。
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玄関
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ドアが閉まる。
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静かになる。
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ミンギュは、
しばらくその場に立っていた。
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見送っただけ。
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ただそれだけ。
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でも。
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いつもいる人が、
いない一日。
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その始まりを、
誰より先に感じていた。
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【STAFF CAMERA】
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早朝4時。
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まだ誰も知らない、
404 HOUSEの小さな出来事。
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スタッフNOTE。
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「大切な存在ほど、
いなくなった時ではなく、
いなくなる瞬間に気づくことがある。」
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チアキが出発した後。
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404 HOUSEには、
少しだけ静かな朝が残った。
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次回 Scene3
『404 HOUSEの朝』
いつもの朝。
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でも、
キッチンにチアキがいない。
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誰も言葉にしない。
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それでも、
少しだけ違う朝。
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