ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode19
『いない時間』
― いつもある存在が、いない時に初めて大きさに気付く。 ―
Day:Friday(共同生活19日目)
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Scene7
『帰宅』
Saturday|02:00 AM
※表記上は金曜深夜
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404 HOUSE。
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深夜2時。
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街の灯りもまばらな時間。
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家の中は静かだった。
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それぞれの部屋。
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眠っている人。
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まだ起きている人。
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そんな夜。
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玄関
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鍵が回る音。
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「……。」
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ドアがゆっくり開く。
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チアキが帰ってくる。
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長時間のフライト。
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仕事終わりの疲れが、
そのまま顔に出ていた。
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それでも。
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玄関に足を踏み入れた瞬間、
少しだけ表情がゆるむ。
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帰ってきた。
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その実感。
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リビング
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明かりがついている。
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「……?」
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まだ誰か起きている。
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静かにリビングをのぞく。
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そこにいたのは。
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ウォヌ。
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ソファに座って、
本を読んでいた。
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チアキは目を丸くする。
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「ウォヌさん。」
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ウォヌが顔を上げる。
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「おかえり。」
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その一言に、
チアキは一瞬だけ言葉を失う。
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「……ただいま。」
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「まだ起きてたんですか?」
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ウォヌは本を閉じる。
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「うん。」
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少し間を置いて、
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「眠れなくて。」
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テーブルの上には、
チアキのために置かれた水があった。
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チアキがそれに気づく。
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「これ……。」
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ウォヌは少し視線をそらす。
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「水。」
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「疲れてるかなと思って。」
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短い言葉。
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でも、十分だった。
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「ありがとうございます。」
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チアキが受け取る。
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冷たい水。
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なのに、その気遣いは
不思議とあたたかかった。
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リビング
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チアキはソファに座る。
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ウォヌは無理に話しかけない。
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「疲れたでしょ。」
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「はい。」
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「長かった?」
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「少し。」
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短いやり取り。
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でも、沈黙は気まずくない。
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それが、
今の二人の距離だった。
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02:10 AM
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チアキが立ち上がる。
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「もう休んでください。」
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「ウォヌさんも、明日ありますし。」
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ウォヌはうなずく。
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「チアキも。」
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「ちゃんと寝て。」
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チアキは笑う。
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「はい。」
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部屋へ向かう前に、
ふと振り返る。
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「ただいまって言えて、よかったです。」
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ウォヌは少し驚いて、
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それから静かに笑う。
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「うん。」
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「おかえり。」
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スタッフカメラ
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深夜2時。
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帰宅したチアキ。
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迎えたウォヌ。
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大きな出来事ではない。
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ただ、
誰かが帰ってきて、
誰かが「おかえり」と言う。
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それだけ。
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でも。
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共同生活を始めた頃には、
まだなかった時間。
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【STAFF NOTE】
共同生活19日目。
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帰る場所とは、
建物のことじゃない。
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帰ったときに、
誰かがいること。
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「おかえり」と言ってくれる人がいること。
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その瞬間、
場所は初めて居場所になる。
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404 HOUSEは、
少しずつ変わっていた。
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次回 Scene8【UNSEEN】
『待っていた理由』
深夜2時。
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誰にも見せない、
それぞれの小さな優しさ。
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スタッフだけが知る、
404 HOUSEの夜。
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