ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode19
『いない時間』
― いつもある存在が、いない時に初めて大きさに気付く。 ―
Day:Friday(共同生活19日目)
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Scene8【UNSEEN】
『待っていた理由』
Staff Camera
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深夜2時。
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404 HOUSE。
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リビングの照明だけが、静かに灯っていた。
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誰もいないはずの時間。
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スタッフカメラには、
数時間前からの映像が残っていた。
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23:30 PM
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ウォヌがリビングへ来る。
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手には本。
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いつものように、
静かな時間を過ごしている。
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スタッフは最初、
ただの休日の夜だと思っていた。
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けれど、
時計が進んでもウォヌは部屋へ戻らなかった。
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00:30 AM
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ウォヌが一度、
スマートフォンを見る。
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画面には、
404 HOUSEのグループチャット。
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チアキのフライト予定。
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帰宅予定時間。
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以前なら、
誰かが何時に帰ってくるかなんて、
そこまで気にしていなかった。
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でも今は、
気づけば確認している。
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「まだかな」
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そんな言葉を口にするほどではない。
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けれど、
本を開いていても、
視線は何度も時計へ向かっていた。
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01:30 AM
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キッチンへ向かうウォヌ。
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冷蔵庫を開ける。
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水を取り出す。
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少し考えて、
もう一本取り出す。
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テーブルの上へ置く。
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本人は何も言わない。
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ただ、
帰ってきた人がすぐ飲めるように。
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それだけのこと。
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けれどその「それだけ」に、
誰にも見せない気遣いが滲んでいた。
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02:00 AM
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玄関の音。
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チアキが帰宅する。
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ウォヌが迎える。
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「おかえり。」
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その声はいつも通り静かだった。
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でも、
待っていた時間のぶんだけ、
少しだけやわらかかった。
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チアキは、
置かれていた水に気づく。
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「……ありがとう」
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そう言うのが自然だったのに、
その優しさが誰のものかを、
本人は深く考えないまま受け取ってしまう。
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ウォヌはただ、
「うん」と短く返す。
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それ以上は何も言わない。
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気づかれなくてもいいと思っているわけではない。
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ただ、
気づかれないままでも、
相手が少しでも楽になるならそれでいい。
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そんなふうに思ってしまう自分に、
少しだけ切なさが残る。
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スタッフルーム
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映像を確認するスタッフ。
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ディレクターが静かに言う。
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「最初は、みんな自分の生活だけだったのに。」
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「今は、誰かの帰宅を待つようになった。」
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スタッフノート。
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『待っていることに、
本人は気づいていない。』
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『でも、
誰かを気にかける時間が増えた時、
その人はもう共同生活の一部になっている。』
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別カメラ映像
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ミンギュ。
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早朝4時。
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チアキを送り出す姿。
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スングァン。
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夕食の席で空いた椅子を見る姿。
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ウォヌ。
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深夜のリビングで待つ姿。
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それぞれ違う形の優しさ。
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けれど、
向いている方向は同じだった。
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「404 HOUSEにいる仲間を気にすること。」
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【STAFF NOTE】
共同生活19日目。
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誰かを特別扱いしているつもりはない。
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ただ。
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帰ってくる時間を気にする。
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好きなものを覚えている。
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体調を心配する。
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そんな小さな積み重ねが、
距離を変えていく。
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恋なのか。
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友情なのか。
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まだ誰にも分からない。
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でも。
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404 HOUSEの11人にとって、
ここはもうただの撮影場所ではなかった。
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Episode19 END
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次回予告
Episode20
『404 HOUSE DAY』
Saturday
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スタッフから届く、
特別な一日企画。
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恋愛ではなく、
「相手を知る日」。
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11人で過ごす休日。
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ゲーム。
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料理。
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そして、
普段は見えない一面。
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誰かの新しい表情を知った時、
また少しだけ距離が変わる。
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