ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode20

『404 HOUSE DAY』

― 一緒に暮らすからこそ分かる、知らなかった一面。 ―

Day:Saturday(共同生活20日目)



Scene1

『スタッフからの招待状』

Saturday|09:00 AM



404 HOUSE。



朝。



休日のゆっくりした時間。





カーテンの隙間から差し込む光が、

まだ少し眠たげなリビングの床を白く照らしている。





キッチンには、

起きてきたメンバーが少しずつ集まっている。





コーヒーを淹れる音。



食器を出す音。



誰かの笑い声。





いつもと変わらない朝。





……のはずだった。





でも、

どこか空気が違う。





いつもなら、

廊下の奥から聞こえてくる小さな足音や、

「おはようございます」と控えめに響く声がある。





今日はそれがない。





テーブルの端に置かれたままのマグカップが、

ひとつだけ静かに湯気を逃している。





スングァンがリビングを見渡す。





「……あれ?」





「なんか足りない気がする。」





スニョンが笑う。





「何が?」





スングァンは少し考える。





「いや……。」





「静か。」







ジョンハンが周りを見る。





無意識に、

いつもチアキが座ることの多いソファの端へ視線が向く。





そこは空いている。





昨日は国際線勤務で、

深夜に帰宅したばかり。





今はまだ部屋で眠っている。







ウォヌが静かに言う。





「疲れてるんだと思う。」





「昨日長かったから。」







その言葉に、

みんな頷く。







チアキは、

朝から大きな声で話すタイプではない。





でも。





「おはようございます。」



「これ、使いますか?」



「大丈夫ですか?」





そんな小さな声や気遣いが、

いつも自然に家の中にあった。





だから。





姿が見えないだけで、

空気の端が少しだけ冷たく感じる。





誰かが冷蔵庫を開けたあと、

つい廊下のほうを振り返る。





誰かがテーブルに皿を並べるたび、

もう一枚、無意識に足してしまいそうになる。





リビング



ミンギュがキッチンで朝食を準備する。





いつものように人数分の皿を出す。





一瞬、

手が止まる。





「……。」





そして、

一つだけ少し迷ってから、

皿を戻す。





「まだ寝てるか。」





小さく呟く。





その声は独り言のようでいて、

どこか確認するようでもある。





誰もそのことを指摘しない。





でも。





みんな少しだけ、

チアキが起きてくる時間を気にしていた。





会話の合間に、

つい階段のほうへ目をやる。





ドアが開く気配がないか、

耳を澄ませてしまう。





09:30 AM



リビングのテーブルに、

一通の封筒が置かれる。





見慣れた404 HOUSEのロゴ。





スングァンが気づく。





「スタッフさんからだ。」







全員が集まる。





封筒を開く。





中には一枚のカード。





TODAY’S EVENT

『404 HOUSE DAY』





その下には、

短い文章。





「今日は外へ出ません。」

「11人で、この家で過ごしてください。」







「家で一日?」



スニョンが笑う。





「珍しいね。」





ジョンハンがカードを読み進める。





「共同生活20日目。」

「一緒に暮らしているからこそ見えることがあります。」

「今日は普段とは違う役割で過ごしてください。」







ウォヌが静かにカードを見る。





「役割交換かな。」







その言葉に、

みんな少し笑う。





でも。





誰も口には出さない。





「チアキが起きてきたら、どんな反応するかな。」





そんなことを、

自然に考えていた。





さっきまで少しだけ空いていた空気の隙間に、

彼女の笑い声を思い浮かべてしまう。





【STAFF NOTE】

共同生活20日目。



誰かがいることは、

当たり前になる。





でも。



その人がいない朝に、

初めて気づくことがある。





大きな存在感ではない。





毎日の小さな優しさ。



小さな会話。



小さな気遣い。





それが、

家の空気を作っていた。





次回 Scene2

『役割交換ミッション2』

普段の担当を交換。



料理。

掃除。

買い出し。



11人が、

知らなかった一面を見つけていく。




ノベルに戻る I Addict