ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode20

『404 HOUSE DAY』

― 一緒に暮らすからこそ分かる、知らなかった一面。 ―

Day:Saturday(共同生活20日目)



Scene3

『キッチン』

Saturday|12:00 PM

404 HOUSE。昼。

キッチンには、いつもとは少し違う二人の姿があった。

ミンギュとスンチョル。今日は料理担当だ。

テーブルの上には、11人分の食材が並んでいる。

「まず何からする?」

スンチョルが尋ねると、ミンギュは冷蔵庫の中身を確認しながら答えた。

「これから作るなら、先に下準備した方がいい。」

迷いなく動く姿に、スンチョルが少し笑う。

「意外と計画的なんだね。」

「料理って順番大事だから。」

普段の明るい雰囲気とは違う、真剣な表情だった。

キッチン

ミンギュは野菜を切り、スンチョルは味付けを担当する。

作業を進めるうちに、二人の性格が自然と見えてくる。

ミンギュは細かいところまで確認するタイプだ。

「これ、人数分足りるかな。」

「もう少し増やそう。」

一方のスンチョルは、全体を見ながら調整していく。

「みんな食べる時間も違うから。」

「冷めても美味しいものを一つ入れよう。」

リーダーらしい、先を見据えた考え方だった。

そのやり取りをしながら、ミンギュはふと気づく。

ただ料理を完成させればいいわけじゃない。

誰かが食べやすいように、あとで片付けやすいように、次に使う人が困らないように。

この家で料理をするということは、目の前の一皿を作ることだけでは終わらないのだ。

「……。」

切った野菜を並べながら、ミンギュの手が一瞬止まる。

誰かのために作ることは、誰かの時間まで考えることなんだと、胸の奥で静かに腑に落ちていく。

それは少し大げさなくらい、あたたかくて、重い気づきだった。

12:30 PM

そこへスングァンがキッチンに入ってくる。

「何か手伝う?」

ミンギュは笑って首を振った。

「大丈夫。」

「でも味見はして。」

スングァンが一口食べる。

「……。」

「美味しい。」

少し驚いた顔のあと、ぽつりと続ける。

「普通に悔しい。」

ミンギュは思わず吹き出した。

「何で(笑)」

「料理までできるの、ずるい。」

そのやり取りに、リビングから笑い声が聞こえてくる。

誰かが笑えば、別の誰かもつられて笑う。

そんな何気ない音が、キッチンの空気をやわらかく包んでいた。

13:00 PM

料理が完成する。

テーブルには、11人分の料理が並んだ。

ミンギュは椅子に座りながら、ふとキッチンへ目を向ける。

使った調理器具。洗う食器。片付ける場所。

料理が終わっても、まだやることは残っていた。

けれど、その「まだ」は面倒なものではなかった。

誰かが食べて、誰かが片付けて、また次の誰かがここで何かを作る。

そうやって回っていく毎日そのものが、この家の生活なんだと思うと、胸の奥がじんわりと熱くなる。

「……。」

スンチョルが気づいて声をかける。

「どうした?」

ミンギュは少し考えてから答える。

「いや。」

「作るだけじゃ終わらないんだなって。」

言葉にした瞬間、自分でもその意味の深さに少し驚く。

ただ食事を用意するだけじゃない。

後片付けも、次の準備も、誰かが気持ちよく過ごせるように整えることも全部含めて、ひとつの“暮らし”なんだ。

スンチョルは静かに頷いた。

「毎日続けるって、そこまで含めてなんだろうね。」

その一言に、ミンギュはさらに深くうなずく。

昨日まで当たり前に受け取っていたものが、急に違って見える。

誰かが早起きして用意してくれていた食事。

使いやすいように整えられていたキッチン。

何気なく過ぎていた時間の裏側には、見えない気遣いと積み重ねがあった。

それを知った今、同じ空間に立つだけで、少しだけ世界の見え方が変わる。

リビング

「いただきます。」

全員が席につき、一口食べる。

「美味しい。」

自然に笑顔が広がっていく。

ミンギュとスンチョルは、少し安心したように顔を見合わせた。

料理担当の一日は、まだ始まったばかりだった。

【STAFF NOTE】

知らない一面を知るということは、相手を見直すこと。

いつも見ていた姿とは違う。

責任感。

気遣い。

丁寧さ。

一緒に暮らすからこそ、見えてくるものがある。

そしてその気づきは、ただ相手を知るだけでは終わらない。

誰かのために動くことの重さと、そこに自然と生まれる温かさを、静かに教えてくれる。

次回 Scene4

『午後の404 HOUSE』

自由時間。

それぞれが思い思いに過ごす中、ようやくチアキが起きてくる。

404 HOUSEの日常が、少しずつ戻っていく。




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