ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode20

『404 HOUSE DAY』

― 一緒に暮らすからこそ分かる、知らなかった一面。 ―

Day:Saturday(共同生活20日目)



Scene8【UNSEEN】

『好きになる前の、大切』

Saturday|深夜 00:30 AM



404 HOUSE。

全員が部屋へ戻った後。

静かなキッチン。



ミンギュが一人で水を飲みに来る。

コップに水を注ぎながら、ふと視線が冷蔵庫へ向く。

ほんの一瞬だけ、何かを思い出すように目が止まる。



冷蔵庫を開ける。



そこには、

小さな袋に入った飲み物。



「……。」



ミンギュは、しばらくそれを見つめたまま動かなかった。



それは以前、

チアキが好きだと言っていたもの。



数日前。

何気ない会話の中で、

「これ好きなんです。」

と言っていた。

その時の声は、いつもより少しだけ柔らかく聞こえた気がした。

ミンギュは、その一言を思いのほかはっきり覚えていた。



ミンギュは覚えていた。



特別な理由があったわけじゃない。

ただ、

見つけたから買った。

買うときも、これで合っているのかと一度だけ迷って、

それでも、あの時の言葉を思い返して手を伸ばした。



冷蔵庫を閉める。

扉が静かに閉まる音のあと、少しだけ間が落ちる。



少しだけ笑う。

その笑みは、誰かに見せるためというより、自分でも理由をうまく言えないままこぼれたものだった。



「まだ残ってる。」



誰に言うでもなく呟く。

その声は小さく、キッチンの静けさにすぐ溶けていく。



その時。

スタッフカメラは、

ミンギュの表情を静かに映していた。



本人は気づいていない。



でも。



誰かの好きなものを覚えていること。

誰かが喜ぶことを考えること。

そのことを、当たり前のようにしてしまう自分に、ミンギュ自身もまだ気づいていない。

ただ、胸の奥に、名前のない小さな温度が残っていた。



それはもう、

ただの共同生活の気遣いとは少し違っていた。



スタッフNOTE

「好きになる前には、

相手を大切に思う瞬間がある。」



「気づかない小さな優しさが、

いつか大きな感情になるのかもしれない。」



カメラは、

静かな404 HOUSEを映す。



20日目の夜。



まだ誰も、

自分の気持ちに名前をつけていない。



次回予告

Episode21

『HAN RIVER NIGHT』

日曜日。
11人で初めての夜の外出。

夜景の下で、何気ない会話が増えていく。

そして、第5回404 Diary。

言葉にできない想いが、少しずつ形になり始める。




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