ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode21

『HAN RIVER NIGHT』

― 同じ景色を見ることで、知らなかった一面に気づく。 ―

Day:Sunday(共同生活21日目)



Scene2

『スタッフからの招待状』

Sunday|14:00 PM

404 HOUSE。



午後。



まだ窓の外には昼の光が残っていたが、その明るさの奥で、空は少しずつ夕方の色へと傾き始めていた。
白く乾いた日差しが、カーテン越しにリビングの床へ細く伸びる。
その静かな変化だけが、これから訪れる夜を先取りしているようだった。



リビングのテーブルに、一通の封筒が置かれていた。



「また何か来てる。」



スングァンが気づき、封筒を手に取る。



全員が自然と集まる。



もう以前のような緊張はない。



スタッフからの通知。



いつもの連絡とは少し違う、どこか特別な響きがある。



封を開ける。



中には一枚のカード。



TODAY’S EVENT

HAN RIVER NIGHT



漢江の夜景。



川沿いを抜ける冷たい風。



水面に散る街の光。



遠くまで続く橋の灯り。



夜の川辺に浮かぶ、静かで広い景色。



「今日は夜の漢江へ行っていただきます。」



「普段とは違う時間を、11人で過ごしてください。」



短い文章。



でも。



読み終わった瞬間、

リビングの空気が少し変わる。



まだ見ぬ夜の景色が、ひとつの約束みたいに胸の奥を静かに温める。



「夜の漢江?」



スニョンが顔を上げる。



「いいじゃん。」



「夜景きれいそう。」



スングァンも嬉しそうに笑う。



「写真いっぱい撮らないと。」



誰かの笑い声が、これから始まる夜を先取りするように弾む。



チアキはカードを見る。



漢江。



韓国に来てから何度か訪れた場所。



でも。



この家のメンバーと行くのは初めてだった。



カードの文字を追いながら、チアキはふと視線を上げる。



その先で、ミンギュも同じようにカードを見ていた。



何気ない横顔。



けれど、いつもより少しだけ目元がやわらいで見えて、チアキはすぐに視線を落とす。





ミンギュが隣で言う。



「夜の漢江、寒いかもしれないね。」



チアキを見る。



「上着持っていった方がいいかも。」



言いながら、さりげなくチアキの服装を一度だけ見て、すぐに戻す。





「ありがとうございます。」



いつもの敬語。



でも。



その距離感は、もう最初の頃とは違っていた。



チアキも小さく頷きながら、ほんの少しだけ口元を緩める。



ミンギュはそれに気づいたのか、気づいていないのか分からないまま、短く「うん」と返した。





その短いやり取りを、

スタッフカメラが捉える。





リビング



「誰と写真撮ろうかな。」



「屋台あるかな。」



「何食べる?」



次々と会話が広がる。





最初の頃なら、

イベントの予定を聞いても、

少し遠慮があった。



誰と行動するか。

誰の隣にいるか。



無意識に考えていた。





でも今は。



「楽しみ。」



その気持ちが先に出る。





スンチョルがみんなを見る。



「じゃあ準備は各自で。」



「遅れないようにね。」





「はーい。」





返事が重なる。





その光景を見て、

チアキは少しだけ不思議に思う。



21日前。



自分はここで、

こんな風に笑っていると思っていなかった。





ただの番組参加者。



ただの共同生活。



そう思っていた場所が。



いつの間にか、

大切な時間になっていた。



ふと、隣にいるミンギュの気配が近くなる。



何か言うわけでもなく、ただ同じ画面を見ているだけなのに、その存在だけで少し落ち着かなくなる。



チアキは気づかれない程度に息を整え、何でもないふりをした。





【STAFF NOTE】

夜の外出。



いつもと違う景色は、

いつもと違う感情を映し出す。



同じ場所に行く。

同じ景色を見る。



その中で、

誰を見るのか。



川面に映る光も、吹き抜ける冷たい風も、

その夜だけの空気を静かに濃くしていく。



その答えは、

まだ本人たちにも分からない。



次回 Scene3

『準備』

出発前。



日が落ちれば、漢江沿いはきっと冷える。



けれど、その冷たささえ、夜景の光をいっそう鮮やかに見せてくれる。



いつもより少しだけ特別な時間。



服を選ぶ。

髪を整える。



そして。



誰かの小さな変化に、

誰かが気づく。




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