ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode21

『HAN RIVER NIGHT』

― 同じ景色を見ることで、知らなかった一面に気づく。 ―

Day:Sunday(共同生活21日目)



Scene4

『夜の漢江』

Sunday|18:00 PM

404 HOUSEの車が、漢江へ向かう。



窓の外では、夕暮れの街がゆっくり暗くなっていく。

ビルの灯りが、ひとつ、またひとつと増えていった。



車内はにぎやかだった。

前方の席ではスングァンの隣にスニョン、
中央ではウォヌの隣にソヨン、
後方ではミンギュの隣にチアキが座っている。

それぞれが窓の外を見ながら、思い思いに話していた。



「あとどれくらい?」

「もう少し。渋滞抜けたらすぐだよ」

「夜の漢江、久しぶりだな」

「寒そうだけど、楽しみ」

「写真いっぱい撮ろうよ」

「屋台もあるかな」

「あるなら、まず温かいの食べたい」

「チアキ、さっきからずっと外見てる」

「だって、街の灯りがきれいなんです」

「じゃあ、着いたら一番に撮ろう」



その声を聞きながら、チアキはもう一度窓の外を見た。



21日前。

この人たちと、こんなふうに夜の漢江へ来るなんて、想像もしていなかった。



でも今は違う。

隣から聞こえる笑い声も、後ろの席の会話も、どれも自然に耳に入ってくる。



漢江到着



車を降りると、夜の漢江が目の前に広がった。

橋のライトが水面に映り、揺れる光が静かに流れていく。

昼間に見た景色とは、まるで別の顔だった。



「……綺麗」

チアキが、思わず日本語でこぼした。



チアキの小さな声に、みんなが足を止める。



広い川。

遠くまで続く夜景。

頬をかすめる冷たい風。



その全部が、404 HOUSEとは違う空気をつくっていた。



川沿い



11人は、ゆっくり歩き出す。

写真を撮る人、屋台をのぞく人、ただ景色を眺める人。

自然と、歩く速度も視線もばらばらになっていく。



スングァンはスマホを高く掲げた。



「ここ、いい! みんなこっち来て!」



「はいはい、集合」



スニョンが笑いながら、さっと前に出る。



「今日は俺が思い出係だから」



「また始まった」



「思い出は多いほうがいいでしょ」



そんなやり取りに、周りもつられて笑った。



少し離れた場所では、ウォヌが川を見ていた。

隣に立つソヨンも、同じ方向を見ている。



「寒くない?」



ウォヌがそう聞くと、ソヨンは小さく首を振った。



「大丈夫。風、気持ちいいです」



「ならいいけど」



「ウォヌさんは?」



「平気」



短いやり取りだった。

それでも、沈黙は気まずくなかった。



流れる水の音。

遠くを走る車の音。

同じ景色を見ているだけで、十分だった。



「こういう時間、いいですね」



ソヨンがぽつりと言う。



ウォヌは少しだけ目を細めた。



「うん」



それだけの返事なのに、表情はやわらかかった。



屋台前



ミンギュとチアキは、少し遅れて歩いていた。

屋台の明かりが、二人の横顔を淡く照らす。



「何にする?」



ミンギュがメニューを見ながら聞く。



「温かいものがいいです」



「だよね。今日は冷えるし」



「ミンギュさんは?」



「俺も同じにしようかな」



チアキが飲み物を選んでいると、ミンギュがふと笑った。



「チアキ、冷えやすいでしょ」



「……どうして分かるんですか」



「見てれば分かるよ」



その言い方が、妙に自然だった。



チアキは少しだけ目を伏せる。



「……よく見てますね」



「一緒に住んでるからね」



軽く言っただけなのに、その言葉がなぜか胸に残った。



スタッフカメラ



ミンギュは、チアキの歩く速さに合わせる。

チアキが景色を見るために立ち止まれば、自然に隣で足を止める。



言葉がなくても、無理に埋めようとしない。



その距離感は、最初の頃にはなかったものだった。



20:00 PM



川沿いには、404 HOUSEの笑い声が響いていた。

誰かが撮った写真。

誰かが選んだ飲み物。

誰かと見た景色。



大きな出来事ではない。

けれど、今日の夜を思い出すたびに、きっと残る。



そんな時間だった。



【STAFF NOTE】

同じ景色を見る。

同じ風を感じる。

同じ時間を過ごす。



その中で、人は少しずつ相手の存在を意識していく。



特別な言葉がなくても。

隣にいることが、少しだけ自然になった時。



距離は、もう最初の場所には戻れない。



次回 Scene5

『自由時間(1時間)』

スタッフから告げられる自由行動。



誰と過ごすかは自由。



選んだ相手によって、見える景色も少し変わっていく。




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