ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode24
『待っている理由』
― 誰かを待つことが、当たり前になる。 ―
Day:Wednesday(共同生活24日目)
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Scene2
『空港までの道』
Wednesday|05:00 AM
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まだ朝になりきらない時間。
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街の明かりだけが、
静かな道路を照らしている。
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車の数は少ない。
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信号で止まるたび、
車内には小さな沈黙が流れる。
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車内
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ミンギュはハンドルを握る。
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隣の助手席には、
チアキ。
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普段なら、
この時間は一人で移動している。
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眠気と戦いながら、
今日の仕事のことを考えて。
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でも今日は。
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誰かが隣にいる。
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チアキは窓の外を見る。
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流れていく街並み。
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まだ閉まっている店。
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歩いている人もほとんどいない。
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いつも見ている景色なのに、
少し違って見えた。
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「……ミンギュさん。」
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ミンギュ
「ん?」
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「眠くないですか?」
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ミンギュは前を見たまま、
少し笑う。
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「チアキよりは。」
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「え?」
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「さっきから何回も瞬き長い。」
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チアキは驚いて目を開く。
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「見てたんですか?」
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「見てなくても分かる。」
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「疲れてる時、分かりやすいから。」
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その言葉に、
チアキは少し黙る。
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自分では隠しているつもりだった。
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疲れていても、
いつも通りにする。
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迷惑をかけないようにする。
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それが当たり前だった。
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でも。
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ミンギュは、
その小さな変化に気づいていた。
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「……そんなに分かります?」
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チアキが聞く。
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ミンギュは少し考える。
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「分かる。」
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「最近、一緒にいる時間長いから。」
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何気ない言葉。
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でも。
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その一言が、
チアキの胸に残る。
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一緒にいる時間。
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それは、
最初の日には想像もしなかったものだった。
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車内
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しばらく沈黙。
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でも。
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その沈黙は以前とは違った。
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話さなければいけない空気ではない。
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隣にいることだけで、
落ち着く時間。
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チアキは小さく息を吐く。
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「404 HOUSEに来た時は。」
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ミンギュがちらりと見る。
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「はい?」
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「こんなに慣れると思ってませんでした。」
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ミンギュは前を見る。
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「俺も。」
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短い返事。
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「最初は、みんな気を遣ってた。」
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「誰に話しかければいいかも分からなかったし。」
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チアキは笑う。
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「確かに。」
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「ミンギュさん、最初すごく静かでしたよね。」
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「俺?」
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「はい。」
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「今も静かだけど。」
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その言葉に、
ミンギュは少し笑う。
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「変わってないじゃん。」
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「でも。」
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チアキは少し考えてから続ける。
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「今は、静かでも安心します。」
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その瞬間。
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ミンギュの指が、
ハンドルの上で少しだけ止まる。
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大きな言葉ではない。
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でも。
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その一言が、
思った以上に深く残った。
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「……そっか。」
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それしか言えなかった。
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空港へ向かう道
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空が少しずつ明るくなっていく。
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夜の色が薄まり、
朝の光が遠くから広がっていく。
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チアキは窓の外を見る。
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「綺麗ですね。」
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朝焼け。
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誰もいない道路。
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静かな時間。
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ミンギュも前を見る。
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「うん。」
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短い返事。
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でも。
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二人とも、
同じ景色を見ていた。
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特別なことはしていない。
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ただ送っているだけ。
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ただ隣に座っているだけ。
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それなのに。
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この時間が、
後から思い出になるような気がした。
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【STAFF NOTE】
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人との距離は、
大きな出来事で縮まるとは限らない。
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眠い朝。
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静かな車内。
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何気ない会話。
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そんな小さな時間の積み重ねが、
いつの間にか、
「一緒にいたい時間」に変わっていく。
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次回 Scene3
『いってらっしゃい』
Wednesday|空港
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短い別れの時間。
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でも、
「また帰ってくる場所」があることを、
二人は少しずつ感じ始める。
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