ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode24
『待っている理由』
― 誰かを待つことが、当たり前になる。 ―
Day:Wednesday(共同生活24日目)
⸻
Scene6
『404 Diary(第6回)』
Wednesday|22:00
⸻
夜。
⸻
404 HOUSE。
⸻
照明が少し落とされたリビング。
⸻
昼間の賑やかさは消えて、
それぞれが静かな時間を過ごしている。
⸻
テーブルの上には、
スタッフから届いた封筒。
⸻
⸻
404 Diary
⸻
⸻
第6回。
⸻
今回のテーマ。
⸻
「今日、ありがとうを伝えたい人へ」
⸻
⸻
Living Room
⸻
一人ずつ、
封筒を開ける。
⸻
白い紙。
⸻
ペン。
⸻
そして、
少しだけ考える時間。
⸻
⸻
普段なら、
「ありがとう」はすぐに言える。
⸻
料理を作ってくれた時。
⸻
助けてもらった時。
⸻
笑わせてもらった時。
⸻
⸻
でも。
⸻
言葉にしないまま、
心の中に残っている感謝もある。
⸻
⸻
今日は、
それを書く日。
⸻
⸻
スンチョル
⸻
ペンを持ったまま、
少し考える。
⸻
⸻
最初の頃の404 HOUSEを思い出す。
⸻
⸻
全員が距離を測っていた。
⸻
誰がどんな人なのか。
⸻
どこまで踏み込んでいいのか。
⸻
⸻
そんな空気の中で、
自然に周りを見る人がいた。
⸻
⸻
スンチョルは静かに書き始める。
⸻
⸻
ジョンハン
⸻
ソファに座りながら、
紙を見る。
⸻
⸻
言葉を選ぶように、
何度かペンを止める。
⸻
⸻
ありがとう。
⸻
その一言だけでは足りない気がした。
⸻
⸻
誰かがいることで、
自分が自然でいられること。
⸻
⸻
それもまた、
感謝なのだと思った。
⸻
⸻
ウォヌ
⸻
静かな部屋。
⸻
ペンが紙を滑る音だけが響く。
⸻
⸻
ウォヌは、
普段なら言葉にしないことを書く。
⸻
⸻
誰かの小さな気遣い。
⸻
誰かがそっと置いてくれた優しさ。
⸻
⸻
目立たないものほど、
後から大きく残っている。
⸻
⸻
そんなことを思いながら、
ゆっくり文字を重ねる。
⸻
⸻
ミンギュ
⸻
机の前。
⸻
紙を見つめる。
⸻
⸻
ペンを持ったまま、
しばらく動かない。
⸻
⸻
朝の4時半。
⸻
⸻
暗い玄関。
⸻
⸻
眠そうな顔で、
それでも「送るよ」と言った自分。
⸻
⸻
空港までの道。
⸻
⸻
「無理しないで」と伝えた時の、
チアキの表情。
⸻
⸻
いくつもの場面が浮かぶ。
⸻
⸻
でも。
⸻
書こうとすると、
簡単な言葉ほど難しかった。
⸻
⸻
「ありがとう。」
⸻
⸻
それだけでは、
少し違う気がする。
⸻
⸻
ミンギュは一度ペンを置く。
⸻
⸻
そして、
ゆっくり書き始める。
⸻
⸻
⸻
「いつも誰かのことを先に考えてくれてありがとう。」
⸻
⸻
⸻
書いた文字を見つめる。
⸻
⸻
普段なら、
こんなことを直接言わない。
⸻
⸻
でも。
⸻
紙なら言える気がした。
⸻
⸻
女性メンバー
⸻
ソヨン。
⸻
ジウォン。
⸻
ユナ。
⸻
チェリン。
⸻
それぞれが、
違う表情で紙に向かう。
⸻
⸻
共同生活の中で、
誰かに救われた瞬間。
⸻
⸻
何気なく嬉しかった言葉。
⸻
⸻
自分だけが覚えている小さな出来事。
⸻
⸻
それぞれの中にある、
404 HOUSEでの日々を書いていく。
⸻
⸻
チアキ
⸻
遠く離れたホテル。
⸻
⸻
静かな部屋。
⸻
⸻
仕事を終えたチアキは、
ベッドの横のテーブルで封筒を開く。
⸻
⸻
一人の時間。
⸻
⸻
いつもなら、
帰れば誰かがいる。
⸻
⸻
「おかえり」と言ってくれる声がある。
⸻
⸻
でも今日は、
その声がない。
⸻
⸻
少しだけ寂しさを感じながら、
紙を見る。
⸻
⸻
テーマ。
⸻
⸻
「今日、ありがとうを伝えたい人へ」
⸻
⸻
チアキは、
少し考える。
⸻
⸻
自分はいつも、
ありがとうと言う側だった。
⸻
⸻
助けてもらったら伝える。
⸻
気遣ってもらったら伝える。
⸻
⸻
でも。
⸻
最近は気づいていた。
⸻
⸻
自分も、
誰かに支えられている。
⸻
⸻
朝、起きてくれたこと。
⸻
⸻
疲れていることに気づいてくれたこと。
⸻
⸻
何も言わず、
そばにいてくれること。
⸻
⸻
チアキは、
ゆっくりペンを動かす。
⸻
⸻
【STAFF NOTE】
⸻
「ありがとう」は、
その瞬間に言えるものだけではない。
⸻
⸻
時間が経ってから、
初めて気づく感謝もある。
⸻
⸻
一緒に暮らすことで見える、
小さな優しさ。
⸻
⸻
その積み重ねが、
人との距離を少しずつ変えていく。
⸻
⸻
次回 Scene7
『返事を書く時間』
Wednesday|Night
⸻
チアキもまた、
離れた場所で言葉を選ぶ。
⸻
いつも支える側だった彼女が、
誰かに支えられていたことに気づく夜。
→
ノベルに戻る I
Addict