ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode24
『待っている理由』
― 誰かを待つことが、当たり前になる。 ―
Day:Wednesday(共同生活24日目)
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Scene7
『返事を書く時間』
Wednesday|Night
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静かなホテルの部屋。
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窓の外には、
見慣れない街の明かり。
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遠くで車の音が聞こえる。
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仕事を終えたチアキは、
ベッドの横の小さなテーブルに座っていた。
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目の前には、
404 Diary。
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白い紙。
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一本のペン。
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いつもなら。
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この時間は404 HOUSEに帰っている。
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「おかえり。」
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「お疲れ様です。」
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そんな声が聞こえる場所へ。
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でも今日は、
一人。
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部屋は静かだった。
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静かなはずなのに。
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なぜか、
404 HOUSEの音を思い出す。
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キッチンで誰かが笑う声。
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リビングで交わされる会話。
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玄関が開く音。
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たった24日。
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でも。
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いつの間にか、
帰る場所になっていた。
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Diary
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チアキはテーマを見る。
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「今日、ありがとうを伝えたい人へ」
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ペンを持つ。
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でも。
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すぐには書けなかった。
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ありがとう。
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その言葉なら、
毎日使っている。
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何かしてもらった時。
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助けてもらった時。
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自然に口から出る言葉。
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でも。
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今回書きたいのは、
それとは少し違った。
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「ありがとう。」
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その先にある気持ち。
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「助かりました」ではなく。
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「いてくれてよかった。」
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そんな感謝。
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チアキ
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少し考える。
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404 HOUSEに来た初日。
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知らない人たちとの共同生活。
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恋愛禁止。
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距離を取らなければいけない環境。
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最初は、
誰かに頼ることなんて考えていなかった。
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自分がしっかりすればいい。
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自分が周りを見ればいい。
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そう思っていた。
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でも。
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朝、眠そうな自分に気づいてくれる人がいた。
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「無理しないで」と言ってくれる人がいた。
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何も言わず、
隣を歩いてくれる人がいた。
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そして。
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帰ってくる場所で、
「おかえり」と言ってくれる人たちがいる。
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そのことに、
少しずつ気づいていた。
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Diary
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チアキは、
ゆっくり文字を書く。
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「いつも、ありがとうございます。」
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一度止まる。
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少し考えて、
続きを書く。
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「私は、自分では大丈夫だと思っていました。」
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「でも、誰かが気づいてくれることが、こんなに安心するんだと知りました。」
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書きながら、
少しだけ笑う。
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自分らしくないと思う。
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でも。
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本当の気持ちだった。
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ホテルの部屋
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チアキはペンを置く。
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書き終えた紙を見る。
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誰に向けたものなのか。
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はっきり名前を書いたわけではない。
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でも。
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頭に浮かぶ人はいた。
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朝の暗い玄関。
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車の中の静かな会話。
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空港で言われた言葉。
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「無理しないで。」
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その声。
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チアキは小さく息を吐く。
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「……ありがとうございます。」
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誰もいない部屋で、
小さく呟く。
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404 HOUSE
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同じ時間。
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ミンギュも、
書き終えたDiaryを閉じる。
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まだ知らない。
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離れた場所で、
同じように誰かが感謝を書いていることを。
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それでも。
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二人の紙には、
同じ時間を過ごした記憶が残っていた。
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【STAFF NOTE】
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人は、
支えているつもりの時ほど、
自分も支えられていることに気づかない。
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誰かを大切に思う気持ちは、
特別な瞬間から始まるとは限らない。
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「気になる。」
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「心配する。」
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「帰ってきてほしいと思う。」
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そんな小さな感情が、
いつの間にか、
誰かを特別な存在に変えていく。
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次回 Scene8
『頼れると思う人』
Wednesday|Interview
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共同生活24日目。
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11人が感じ始めた、
それぞれの「安心できる相手」。
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