ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode24

『待っている理由』

― 誰かを待つことが、当たり前になる。 ―

Day:Wednesday(共同生活24日目)



Scene9

【UNSEEN】

Wednesday|01:45 AM



404 HOUSE。



深夜。



家の中は、

すべての音が小さくなる時間。



廊下の明かり。



冷蔵庫の低い音。



誰かの寝返りの気配。



そこにあるのは、

いつもの夜。



でも。



ミンギュの部屋だけ、

まだ小さな明かりがついていた。



ミンギュの部屋



机の上。



開かれたノート。



第6回404 Diary。



テーマ。



「最近、言葉にできなかったこと」



ミンギュはペンを持ったまま、

しばらく動かない。



書かなきゃ、と思う。



でも、

何を書けばいいのかがわからない。





書いては消す。



消しては、

また考える。





「ありがとう。」



違う。



それだけでは足りない。





「大丈夫?」



それも違う。





何度も心の中では言っている。



けれど、

それをそのまま文字にすると、

どこか軽く見えてしまう気がした。





ミンギュは窓の外を見る。



夜の街。



静かな明かり。





今日一日を思い返す。





朝。



キッチンで眠そうな顔をしていたチアキ。



その顔を見た瞬間、

胸の奥が少しだけやわらかくなるのを感じた。



自分でも理由がうまく言えない。



ただ、

眠そうなのにちゃんと立っている姿が、

妙に気になった。





自分より早く起きて、

みんなのために動いていた姿。



何気ないことのはずなのに、

その背中を見ていると、

放っておけない気持ちが強くなる。



手伝うべきだと思う。



疲れているなら休んでほしいと思う。



それはきっと、

ただの気遣いだ。



そう思おうとするのに、

目で追ってしまう回数だけが増えていく。





夜。



疲れて帰ってきたのに、

笑って「ただいま」と言った姿。



その笑顔が、

いつもより少しだけ無理をしているように見えた。



気づいた瞬間、

胸の奥がきゅっとなる。



大丈夫か、と聞きたかった。



でも、

聞いたところで、

本当に楽になるのかもわからない。



だからせめて、

そばにいることだけでも伝えたかった。





そして。



初めて。



「少し疲れました。」

と言ったこと。





その小さな変化が、

なぜかずっと残っていた。



たった一言だったのに、

ミンギュの中では何度も反響していた。



疲れていることを、

あの人はあまり見せない。



だからこそ、

その言葉がこぼれた瞬間、

自分だけが少し近くにいられたような気がしてしまった。



それが嬉しかったのか、

心配だったのか、

ミンギュにはまだうまく分からない。



ただ、

胸の奥が落ち着かない。





ミンギュは、

ゆっくりペンを動かす。





『無理しないで。』





短い言葉。





でも。



そこには、

言えなかった気持ちが全部詰まっていた。



もっと休んでほしい。



自分のことも大切にしてほしい。



頼ってほしい。



困った時は、

少しでも自分を思い出してほしい。





でも。



そんな言葉を書くには、

まだ少し照れくさかった。



それに、

本当にそれだけなのか、自分でもわからない。



ただ心配しているだけなら、

こんなふうに何度も考えたりしないのではないか。



チアキのことを思うと、

自然と視線が向いてしまう。



笑っている顔を見ると安心する。



疲れた顔を見ると、胸がざわつく。



そのたびに、

ただ守りたいだけなのか、

もっと近くにいたいのか、

境目が少しずつ曖昧になっていく。



ミンギュは、

その一文を見つめる。





そして、

小さく息を吐く。





「……これでいいか。」





誰に聞かせるでもない声。





Diaryを閉じる。





スタッフ映像



ミンギュが部屋の明かりを消す。





机の上には、

閉じられたDiary。





中には、

たった一行の言葉。





でも。



その短い言葉の中に、

相手を思う時間が残っていた。



ただ心配していたはずなのに、

気づけばその時間は、

少しだけ特別なものになっていた。





【STAFF NOTE】

心配する理由を、

まだ誰も名前で呼べない。





ただ、

疲れてほしくない。



ただ、

笑っていてほしい。



ただ、

帰ってきた時に安心したい。





そんな感情が積み重なった時。



人はいつの間にか、

誰かを特別に見ている。





次回予告

Episode25

『近づくほど見えなくなるもの』

共同生活25日目



404 Choiceまで、あと5日。



誰を選ぶのか。



誰を想っているのか。



少しずつ、

自分の気持ちと向き合う時間が始まる。




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