ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode25
『近づくほど見えなくなるもの』
― 近い存在ほど、自分の気持ちに気づけない。 ―
Day:Thursday(共同生活25日目)
⸻
Scene2
『久しぶりの昼の404 HOUSE』
Thursday|14:30 PM
⸻
404 HOUSE。
⸻
昼の家。
⸻
いつもなら、
それぞれが仕事へ向かっている時間。
⸻
でも今日は、
珍しく昼の404 HOUSEに人がいる。
⸻
窓から差し込む柔らかな光。
⸻
静かなリビング。
⸻
夜とは違う、
ゆっくりとした時間が流れていた。
⸻
⸻
Living Room
⸻
休日組。
⸻
ジョンハン。
⸻
ウォヌ。
⸻
ユナ。
⸻
そして、
帰宅したチアキ。
⸻
⸻
ジョンハンはソファで本を読み、
ユナはノートを広げている。
⸻
ウォヌは静かにパソコンを開いていた。
⸻
⸻
誰かが話しているわけではない。
⸻
でも。
⸻
同じ空間にいることが、
自然になっている。
⸻
⸻
Bedroom前
⸻
チアキはキャリーケースを開く。
⸻
フライトから戻った荷物。
⸻
制服。
⸻
仕事道具。
⸻
機内で使った小物。
⸻
⸻
一つずつ整理していく。
⸻
⸻
その時。
⸻
キャリーケースの奥から、
少し重そうな荷物を取り出そうとして手を止める。
⸻
⸻
その様子に、
リビングにいたウォヌが気づく。
⸻
⸻
「チアキ。」
⸻
⸻
ウォヌが静かに近づく。
⸻
⸻
「持つよ。」
⸻
⸻
チアキは少し驚いて顔を上げる。
⸻
⸻
「……ありがとうございます。」
⸻
⸻
ウォヌがキャリーケースを受け取る。
⸻
⸻
「ここでいい?」
⸻
⸻
「はい。お願いします。」
⸻
⸻
ウォヌは少しだけ目を細める。
⸻
⸻
「珍しいな。」
⸻
⸻
チアキ
「え?」
⸻
⸻
「チアキが、人にお願いするの。」
⸻
⸻
チアキは少し考える。
⸻
⸻
「……そうですか?」
⸻
⸻
ウォヌ
「うん。」
⸻
⸻
「いつも先に周りのこと見てるから。」
⸻
⸻
その言葉に、
チアキは少し照れたように笑う。
⸻
⸻
「そんなつもりはないんですけど。」
⸻
⸻
ウォヌ
「でも、みんなそう思ってると思う。」
⸻
⸻
静かな声。
⸻
⸻
大げさな褒め言葉ではない。
⸻
⸻
でも。
⸻
長く一緒に暮らしてきたからこその言葉だった。
⸻
⸻
Living Room
⸻
荷物を片付け終えたチアキが戻ってくる。
⸻
⸻
ジョンハンが本から顔を上げる。
⸻
⸻
「今日は少しゆっくりできそう?」
⸻
⸻
チアキ
「はい。久しぶりに家にいる気がします。」
⸻
⸻
ユナ
「いつも夜に帰ってきて、朝には出てるイメージあります。」
⸻
⸻
チアキは笑う。
⸻
⸻
「確かにそうですね。」
⸻
⸻
昼の404 HOUSE。
⸻
⸻
いつも見ているはずの家なのに、
少しだけ新しい。
⸻
⸻
仕事中には見えない表情。
⸻
⸻
夜には聞けない会話。
⸻
⸻
一緒に暮らしているからこそ、
少しずつ増えていく時間。
⸻
⸻
その積み重ねが、
距離を変えていた。
⸻
⸻
【STAFF NOTE】
⸻
人は、
相手の弱さや苦手なことを知った時だけではなく、
小さな変化に気づいた時にも距離が近づく。
⸻
⸻
いつも支える側だった人が、
誰かに頼る瞬間。
⸻
⸻
その姿を見た時、
相手の存在は少しだけ特別になる。
⸻
⸻
次回 Scene3
『それぞれの距離』
⸻
午後の自由時間。
⸻
同じ家の中で、
それぞれ違う時間を過ごす11人。
⸻
何気ない会話の中で、
また新しい一面が見えていく。
→
ノベルに戻る I
Addict