ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode25

『近づくほど見えなくなるもの』

― 近い存在ほど、自分の気持ちに気づけない。 ―

Day:Thursday(共同生活25日目)



Scene3

『それぞれの距離』

Thursday|15:00 PM



404 HOUSE。



午後のゆっくりした時間。



昼の光は少し傾き始め、

リビングには柔らかな影が伸びていた。



夜に集まることが多い404 HOUSE。



でも、

昼の時間を一緒に過ごすと、

普段見えていなかった表情が見える。





Living Room



ジョンハンとチアキ。



二人はソファに座っていた。



ジョンハンは手にしていた本を閉じる。





「チアキ。」



「はい?」



「海外に行く仕事って、大変じゃない?」





突然の質問。



でも、

ジョンハンの声はいつも通り穏やかだった。





チアキは少し考える。





「慣れました。」





いつもの答え。





ジョンハンは少し笑う。





「その言葉。」





「え?」





「一番危ない言葉かもしれない。」





チアキは少し目を伏せる。





「慣れると、普通になりますから。」





ジョンハンは頷く。





「そう。」





「普通になると、自分が頑張ってることも忘れるから。」





その言葉に、

チアキは少し黙る。





誰かに言われるまで、

気づかなかったこと。





疲れていること。





無理をしていること。





それを、

この家にいる人たちは少しずつ見つけてくれる。





「ジョンハンさんって、よく見てますね。」





チアキが笑う。





ジョンハンは肩をすくめる。





「同じ家にいるからね。」





ただそれだけ。





でも。



その「同じ家にいるから」という言葉が、

今の404 HOUSEでは大きな意味を持っていた。





Reading Space



少し離れた場所。



ウォヌは本を読んでいる。





チアキは隣に座る。





会話はない。





ページをめくる音。



窓の外の車の音。



時計の針。





静かな時間。





以前なら、

何か話さなければと思っていた。





でも今は。



沈黙も、

一緒にいる時間の一つになっていた。





ウォヌがふと顔を上げる。





「眠い?」





チアキは少し驚く。





「なんで分かるんですか?」





ウォヌ

「さっきから同じページ見てる。」





チアキは思わず笑う。





「見られてましたね。」





ウォヌ

「見てたというか……気づいただけ。」





その言葉に、

チアキは少し笑った。





Kitchen



ウォヌがスマホを見ながら、

昨日までの写真を整理している。





漢江で撮った写真。





楽しそうに笑う11人。





「この写真いいね。」





チアキが覗き込む。





「本当ですね。」





ウォヌ

「最初はこんな感じになると思わなかった。」





チアキ

「私もです。」





ウォヌ

「最初、みんなちょっと遠かったよね。」





チアキは頷く。





初めは、

名前を呼ぶことさえ少し緊張した。





相手の好きなものも、

苦手なことも知らなかった。





でも今は。





誰かが疲れていること。



誰かが無理していること。



誰かが嬉しそうなこと。





小さな変化に気づける。





ウォヌ

「チアキも変わったよね。」





チアキ

「え?」





「前より笑うようになった。」





チアキは少し驚いた顔をする。





自分では気づかなかった。





でも。



この家に来てから、

確かに増えたものがある。





笑う時間。



頼る時間。



安心する時間。





Entrance



その時。



玄関のドアが開く。





「ただいま。」





ミンギュが帰宅する。





リビングにいた全員が振り返る。





「おかえり。」





自然に返る言葉。





ミンギュの視線が、

一瞬チアキに向く。





疲れていないか。



大丈夫そうか。





無意識に確認している自分に、

本人はまだ気づいていない。





「今日、早かったんですね。」





チアキが声をかける。





ミンギュは少し笑う。





「うん。たまたま。」





短い会話。





でも。



その一瞬の視線や表情の変化を、

スタッフカメラは静かに記録していた。





【STAFF NOTE】



距離が近づくほど、

人は相手を見るようになる。





特別な言葉ではなく。





いつもと違う表情。



小さな仕草。



何気ない変化。





気づけば、

その人の「普通」が、

自分にとって大切なものになっている。





次回 Scene4

『夕食準備』



久しぶりに、

チアキがキッチンに立つ。



でも、

以前とは少し違う。



一人で頑張る日常から、

誰かと並んで作る時間へ。



404 HOUSEの関係は、

少しずつ変わり始めている。




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