ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode25

『近づくほど見えなくなるもの』

― 近い存在ほど、自分の気持ちに気づけない。 ―

Day:Thursday(共同生活25日目)



Scene4

『夕食準備』

Thursday|18:00 PM



404 HOUSE。



夕方。



窓の外の光が、

少しずつオレンジ色に変わっていく。



昼の静かな時間から、

いつもの404 HOUSEの時間へ戻っていく。



仕事から帰ってくるメンバー。



リビングで交わされる声。



キッチンから聞こえる食器の音。





そして。



久しぶりに、

チアキがキッチンに立っていた。





Kitchen



冷蔵庫を開ける。



食材を確認する。



手慣れた動き。



包丁を持つ姿。



それは、

404 HOUSEでは見慣れた光景だった。





でも。



以前とは少し違っていた。



ひとりで黙々と進める背中ではなく、

誰かが隣に来ることを、

どこかで受け入れている背中だった。





「チアキ、一人でやる?」





声の方を見る。





ミンギュ。





仕事から帰ってきたばかりなのに、

自然にキッチンへ入ってくる。





チアキ

「え?」





ミンギュは手を洗いながら笑う。





「手伝う。」





チアキ

「大丈夫ですよ。」





言った後。



自分でも少し気づく。





また同じ言葉。





でも。



以前みたいに、強くは言えなかった。





ミンギュは笑うだけだった。





「知ってる。」





「チアキがちゃんとできることも。」





少し間を置く。





「でも、二人でやった方が早いから。」





その言葉に、

チアキは少し笑う。





「じゃあ、お願いします。」





以前なら、

きっと最後まで一人でやっていた。





でも今は。



誰かと並んで作る時間も、

少しずつ自然になっていた。





Kitchen



ミンギュは野菜を切る。



チアキは味付けを確認する。





包丁の音。



鍋の音。



小さな会話。





特別なことはない。





でも。



肩が触れそうで触れない距離が、

妙に落ち着いた。



ミンギュが切った野菜を、

チアキが自然に受け取る。



チアキが調味料を差し出すと、

ミンギュは何も言わずに受け取る。



言葉にしなくても、

動きが少しずつ合っていく。





チアキがふと、

ミンギュを見る。





「ミンギュさん。」





「ん?」





「料理できますよね。」





ミンギュは少し笑う。





「前からできた。」





チアキ

「知らなかったです。」





ミンギュ

「俺も。」





少し間。





「チアキが、こんなに毎日やってるなんて知らなかった。」





ミンギュ

「チアキは料理苦手だったのにね。」





その言葉に、

チアキの手が少し止まる。





自分では、

当たり前だったこと。





朝早く起きること。



みんなの分を準備すること。



帰宅してから片付けること。





それを、

誰かがちゃんと見ていた。





「……ありがとうございます。」





小さな声。





ミンギュは少し首を振る。





「こっちこそ。」





「何も言わなくても、ずっとやってくれてたから。」





その一言が、

思ったより静かに胸に残る。





チアキは返事をしないまま、

少しだけ視線を落とした。





けれど、

その沈黙は気まずいものではなかった。





むしろ、

言葉にしなくても伝わってしまうものがあると、

初めて知ったような静けさだった。





Living Room



その様子を、

リビングから見ていたスニョン。





「最近さ。」





隣にいたウォヌへ小さな声で言う。





「キッチンに二人いること増えたよね。」





ウォヌは視線だけ向ける。





「そうだね。」





スニョン

「前はチアキが一人で全部やってたのに。」





ウォヌは少し考える。





「変わったんだと思う。」





「家が。」





スニョンは頷く。





最初は、

誰かが何かをしていても、

遠慮していた。





今は。



手を貸すことも。



頼ることも。



自然になっている。





Kitchen



料理が完成する。





ミンギュが皿を並べる。





チアキが味見をする。





「美味しい。」





ミンギュを見る。





「本当に美味しいです。」





その笑顔に、

ミンギュは少し照れたように笑う。





「よかった。」





短い返事。





でも。



その表情は、

いつもより少し嬉しそうだった。





夕食の準備。





ただそれだけの時間。





でも。



二人にとっては、

少しずつ距離の変わっていく日常の一部になっていた。





【STAFF NOTE】



一緒に暮らす時間が増えるほど、

特別な瞬間よりも、

何気ない時間の方が心に残る。





一緒に料理をする。



同じテーブルを囲む。



相手の「いつも」を知る。





気づかないうちに、

誰かの存在が自分の日常の一部になっていく。





次回 Scene5

『それぞれの気づき』



夜。



それぞれが語る、

最近気になる瞬間。



まだ恋とは呼ばない。



でも、

確かに誰かを思い浮かべている。




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