ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode25

『近づくほど見えなくなるもの』

― 近い存在ほど、自分の気持ちに気づけない。 ―

Day:Thursday(共同生活25日目)



Scene5

『それぞれの気づき』

Thursday|21:00 PM



404 HOUSE。



夜。



夕食を終えたリビング。



照明を少し落とした空間。



テレビの音。



誰かの笑い声。



食後のゆったりした時間。



いつもの404 HOUSE。



でも。



少し前とは、

空気が変わっていた。





Living Room



スタッフから、

インタビューの案内が届く。



テーマ。



「最近、気になる瞬間」





恋愛について聞かれているわけではない。



誰が好きなのか。



誰を選ぶのか。



そんな質問ではない。





ただ。



最近、

心に残った瞬間を聞く。





Interview Room



一人ずつ、

カメラの前に座る。





ミンギュ



スタッフ。

「最近、気になる瞬間はありますか?」



ミンギュは少し考える。



視線を上に向けたまま、

指先で膝を軽くなぞる。





「……帰ってきた時。」





「誰かが帰ってくる音って、意外と分かるんですよね。」





少し笑う。



その笑い方はやわらかいのに、

どこか落ち着かない。





「玄関の音とか。」





「今日帰ってきたなって。」





スタッフ。

「誰か特定の人ですか?」





ミンギュは一瞬黙る。



目を伏せて、

口元だけがわずかに動く。





「……。」





そして、

少し照れたように笑う。



耳の先まで赤くなっているのを、

自分でも隠しきれていない。





「みんなです。」





でも。



その答えを言った後、

自分でも少し分かっていた。





誰の帰宅音を、

一番気にしているのか。





チアキ



スタッフ。

「最近、気になる瞬間は?」





チアキは少し考える。



まっすぐ前を見ていた目が、

ふっと横に流れる。





「……誰かが気づいてくれる時です。」





「疲れている時とか。」





「何も言っていないのに、大丈夫?って聞いてくれる時。」





少し笑う。



その笑みは控えめで、

安心したようでもあり、

少し戸惑っているようでもある。





「この家に来る前は、自分で何とかすることが多かったので。」





「誰かが見てくれているって、嬉しいですね。」



言い終えたあと、

チアキは小さく息を吐く。



その表情には、

嬉しさと同じくらい、

まだ慣れない温度が残っていた。





ウォヌ



スタッフ。

「最近、印象に残った瞬間は?」





「静かな時間。」





「何も話さなくても、同じ場所にいられる時。」





ウォヌらしい答え。





でも。



その表情は少し柔らかかった。



視線はカメラの少し先を見ているのに、

どこか遠くの誰かを思い浮かべているようだった。





ジョンハン



「笑っている時。」





「その人が無理してない笑顔を見ると、安心する。」





言いながら、

ジョンハンは軽く肩をすくめる。



けれど目元はやさしく細まり、

いつもの軽さの奥に、

本音が少しだけ滲んでいた。





スングァン



「最初と今の違いですね。」





「最初はみんな遠慮してた。」





「でも今は、普通に名前を呼んで、普通に心配してる。」





少し笑う。



その笑いには、

場を和ませる明るさがある一方で、

その変化を誰よりも丁寧に見てきた人の静かな実感もあった。





「それって結構すごいことだと思います。」





スンチョル



「誰かが頼ってくれた時。」





「頼るって、簡単そうで難しいから。」





言葉を選ぶように、

ゆっくりと話す。



視線はまっすぐで、

そのぶん、答えの重みが伝わってくる。





女性メンバー



ソヨン。



「気を遣わなくても一緒にいられる時間。」





ユナ。



「自分らしくいられる瞬間。」





チェリン。



「自然に笑っている時。」





ジウォン。



「何でもない会話。」





それぞれ、

答えは違う。





でも。



共通していることがあった。





誰かの大きな行動ではなく。





何気ない瞬間を、

覚えていること。







404 HOUSE



インタビューを終えたメンバーが、

少しずつリビングへ戻ってくる。





誰も、

自分の答えを話さない。





Diaryも。



インタビューも。



この家では、

相手の気持ちを知りすぎないことも大切だった。





でも。



それぞれが少しだけ、

自分の中の変化に気づいていた。





「いつの間にか。」





誰かの存在が、

当たり前になっている。





【STAFF NOTE】



人が特別になる瞬間は、

いつも分かりやすいものではない。





一目惚れ。



劇的な出来事。



運命のような出会い。





そういうものだけではなく。





帰ってきた音。



隣にいる安心感。



何気ない優しさ。





小さな記憶の積み重ねが、

少しずつ誰かを特別に変えていく。





次回 Scene6

【UNSEEN】



深夜。



眠りについた404 HOUSE。



静かな玄関に残された、

誰かの荷物。



その存在を、

気にしている人がいる。



まだ本人は、

その理由を言葉にできないまま。




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