ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode25

『近づくほど見えなくなるもの』

― 近い存在ほど、自分の気持ちに気づけない。 ―

Day:Thursday(共同生活25日目)



Scene6

【UNSEEN】

Thursday|23:50 PM



404 HOUSE。



深夜。



リビングの明かりは消えている。



昼間の賑やかさも、

夕食の笑い声も、

すべて眠りについた時間。



聞こえるのは、

時計の針の音と、

外を走る車の小さな音だけ。





Entrance



スタッフカメラ。



静かな廊下。



玄関の隅に置かれた、

大きなキャリーケース。



チアキのもの。



国際線勤務から帰ってきた日に、

まだ完全には片付けられていなかった荷物。





その前で、

ミンギュが立ち止まる。





「……。」





自分でも、

なぜ見ているのか分からない。





ただ。



いつもなら、

すぐ片付けるはずのもの。





でも今日は、

少し気になった。





キャリーケースの横には、

小さなバッグ。



その上には、

仕事で使うものが少しだけ置かれている。





ミンギュは周囲を見る。



誰もいない。





そして、

そっと手を伸ばす。





Living Room



荷物を邪魔にならない場所へ移動する。





ただ、それだけ。





特別なことではない。





でも。



その動きは、

あまりにも自然だった。





スタッフ。

「気づいたんですか?」





ミンギュは少し振り返る。





「……何が?」





スタッフ。

「チアキさんの荷物。」





ミンギュは一瞬黙る。





「いや。」





少し考えてから、

小さく答える。





「通る時、邪魔だったから。」





いつもの言い方。





理由を簡単にする言い方。





でも。



スタッフカメラには、

その前にキャリーケースを見つめていた時間が映っていた。





本当に邪魔だっただけなら。



きっと、

こんなに長く見ていなかった。





Kitchen



水を飲みに来たミンギュ。



冷蔵庫を開ける。





そこには、

以前買っておいたチアキの好きな飲み物。





少しだけ残っている。





ミンギュはそれを見る。





そして、

小さく笑う。





「まだあるんだ。」





誰に言うでもなく、

小さな声。





その表情は、

自分でも気づかないくらい柔らかかった。





Interview(UNSEEN)



スタッフ。

「最近、チアキさんのことを気にすることが増えましたか?」





ミンギュは少し困ったように笑う。





「……そうですか?」





スタッフ。

「帰宅時間を気にしたり、荷物を片付けたり。」





沈黙。





ミンギュは少し視線を落とす。





「一緒に住んでるからじゃないですか。」





答えはいつも通り。





でも。



以前なら、

そこまで誰かを見ていなかった。





帰ってきた音。



疲れた顔。



小さな変化。





気づけば、

自然に目で追っている。





【STAFF NOTE】



優しさは、

いつも大きな行動として現れるわけではない。





荷物を移動すること。



帰宅を気にすること。



好きなものを覚えていること。





本人にとっては、

「普通」の行動。





でも。



その「普通」の中に、

誰かを大切に思う気持ちは隠れている。





次回予告

Episode26

『選ばれる前に』



共同生活26日目。



404 Choiceまで、あと4日。



スタッフから届いた新たな企画。



「一番近い人に、感謝を伝えてください。」



誰に伝えるのか。



なぜその人を選ぶのか。



自分でも気づいていなかった気持ちが、

少しずつ形になり始める。




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