ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode4
『距離の測り方』
⸻
Scene3
『自由時間』
⸻
午後2時15分。
ROOM 404。
⸻
家事を終えた404 HOUSE。
⸻
午後は自由時間。
⸻
「じゃあ、少し出かけてきます」
「庭にいます」
「昼寝します」
⸻
誰も約束したわけではない。
⸻
それでも、
自然と一緒に過ごす相手ができ始めていた。
⸻
リビング
ウォヌ × チアキ
⸻
窓際のソファ。
⸻
ウォヌは昨日約束した本を持ってきた。
⸻
「これです」
⸻
チアキは両手で受け取る。
⸻
「本当に貸してくれるんですか?」
⸻
「読み終わったので」
⸻
表紙を見つめるチアキ。
⸻
「ありがとうございます。」
⸻
ページをめくる。
⸻
「紙の匂い、好きなんです」
⸻
ウォヌが少し驚く。
⸻
「本の匂いですか?」
⸻
「はい。」
⸻
「飛行機の待機時間に本屋さんへ行くことが多くて。」
⸻
「買わなくても、本の匂いだけで落ち着く時があります。」
⸻
ウォヌは静かに笑った。
⸻
「分かります。」
⸻
「新品も好きですけど。」
⸻
「少し読まれた本の匂いも好きです。」
⸻
チアキが笑う。
⸻
「分かる人、初めて会いました。」
⸻
それから二人は、
同じソファで本を読む。
⸻
言葉はほとんどない。
⸻
ページをめくる音だけ。
⸻
不思議と、
その静けさは心地よかった。
⸻
【Interview】
ウォヌ。
⸻
「沈黙が苦手な人もいます。」
⸻
「でも。」
⸻
「チアキさんとは、話さなくても気まずくならない。」
⸻
「それは珍しいことだと思いました。」
⸻
⸻
ジムスペース
ミンギュ × スニョン
⸻
地下のトレーニングルーム。
⸻
「あと5回!」
⸻
「無理!」
⸻
スニョンが笑いながらダンベルを置く。
⸻
「ダンサーなのに?」
ミンギュが笑う。
⸻
「使う筋肉が違います!」
⸻
「言い訳ですね。」
⸻
二人は笑い合う。
⸻
「ミンギュさん、仕事忙しいのに鍛えてますね。」
⸻
「習慣です。」
⸻
「体を動かすと頭が整理されるので。」
⸻
スニョンは頷く。
⸻
「それ分かります。」
⸻
「踊ってる時だけ、何も考えなくて済むから。」
⸻
ミンギュはその言葉に少しだけ表情を変えた。
⸻
「……そういう時間って大事ですよね。」
⸻
【Interview】
スニョン。
⸻
「ミンギュさんって爽やかだけど。」
⸻
「意外とストイック。」
⸻
「頑張りすぎるタイプかもしれません。」
⸻
⸻
テラス
ジョンハン × ユナ
⸻
テラスのテーブル。
⸻
コーヒーを飲みながら、
二人は街並みを眺めていた。
⸻
「CEOって。」
ジョンハンが聞く。
⸻
「休日も仕事のこと考えますか?」
⸻
ユナは少し笑う。
⸻
「考えます。」
⸻
「止められないですね。」
⸻
「責任がありますから。」
⸻
ジョンハンは頷く。
⸻
「疲れませんか?」
⸻
少し間。
⸻
「疲れます。」
⸻
「でも。」
⸻
「頑張らないと、今の場所にはいられない気がして。」
⸻
ジョンハンは何も否定しない。
⸻
ただ、
静かに聞いていた。
⸻
キッチン
ソヨン × チェリン
⸻
冷蔵庫を開けながら、
夕食の相談をしている。
⸻
「今日は韓国料理?」
⸻
「それともパスタ?」
⸻
「チアキさん、昨日パスタ好きって言ってましたよね。」
⸻
「じゃあ聞いてみよう。」
⸻
「みんなが食べたいものにしましょう。」
⸻
⸻
リビング
スングァン × ジウォン
⸻
トランプを広げている。
⸻
「勝負です!」
⸻
「本気でいきます。」
ジウォン。
⸻
5分後。
⸻
「また負けた……。」
⸻
スングァンが机に突っ伏す。
⸻
「ジウォンさん強すぎません?」
⸻
「弁護士ですから。」
⸻
「関係あります?」
⸻
笑い声が響く。
⸻
⸻
廊下
⸻
チアキが本を読み終え、
部屋へ戻ろうとする。
⸻
すると、
地下からミンギュとスニョンが上がってきた。
⸻
「お疲れさまです。」
チアキが笑う。
⸻
「二人とも運動してたんですか?」
⸻
「はい。」
ミンギュがタオルで汗を拭く。
⸻
「スニョンさんに負けそうでした。」
⸻
「嘘です!」
⸻
「僕が負けました!」
⸻
三人とも笑う。
⸻
そのまま自然にすれ違う。
⸻
ほんの数秒の会話。
⸻
でも、
誰も無理に話そうとはしない。
⸻
必要な分だけ話して、
自然に別れる。
⸻
それが、
今の404 HOUSEだった。
⸻
【Interview】
チアキ。
⸻
「最初は。」
⸻
「誰と話せばいいんだろうって思っていました。」
⸻
「でも今は。」
⸻
「今日は誰がいるかな、くらいの感覚になってきました。」
⸻
「少しだけ。」
⸻
「家みたいです。」
⸻
【STAFF NOTE】
自由時間。
⸻
誰もペアを決めていない。
⸻
それでも、
自然と隣に座る相手がいた。
⸻
話し続ける相手。
⸻
黙っていても平気な相手。
⸻
笑い合う相手。
⸻
価値観を話せる相手。
⸻
恋愛ではない。
⸻
まだ、
その感情に名前はない。
⸻
しかし、
共同生活の中で生まれる「居心地の良さ」は、
ゆっくりと、
確かに育ち始めていた。
⸻
夕暮れ。
⸻
11人は再びテラスに集まる。
⸻
何気ない雑談の中で、
誰かがこんなことを口にした。
⸻
「恋愛禁止って、意外と難しいのかな?」
⸻
その一言が、
夜の空気を少しだけ変える。
⸻
Episode4 Scene4
『夜のテラス』
→
ノベルに戻る I
Addict