ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode26
『言葉にならない距離』
― 気づいているのに、まだ名前をつけられない感情。 ―
Day:Friday(共同生活26日目)
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Scene1
『少し変わった朝』
Friday|08:00 AM
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404 HOUSE。
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朝。
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カーテンの隙間から差し込む光。
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キッチンから聞こえる、
食器の触れる音。
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誰かの足音。
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「おはよう。」
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「眠い……。」
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いつもと変わらない朝。
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共同生活26日目。
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最初の頃なら、
ただ同じ家に住んでいるだけだった。
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誰が何時に起きるのか。
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何が好きなのか。
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どんな時に疲れているのか。
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まだ知らなかった。
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でも今は。
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小さな変化が、
自然に目に入る。
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Kitchen
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ミンギュが冷蔵庫を開ける。
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少し迷うことなく、
一本の飲み物を取り出す。
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「それ、チアキのじゃない?」
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後ろからスングァンの声。
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ミンギュの手が止まる。
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「……違う。」
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「普通に取っただけ。」
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スングァンは笑う。
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「まだ何も言ってないのに。」
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ミンギュは何も返さない。
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でも。
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冷蔵庫の中にあるものを、
誰のものか自然に覚えている。
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それは、
少し前のミンギュにはなかったことだった。
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Dining Room
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チアキはテーブルで、
スマホを確認している。
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午後の勤務予定。
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翌日のフライト確認。
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いつものように、
自分の予定を整理している。
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そこへ、
ウォヌが通りかかる。
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「今日、午後から?」
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チアキが顔を上げる。
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「はい。」
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「帰りは遅い?」
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「たぶん、いつもより少し遅くなると思います。」
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ウォヌは頷く。
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「分かった。」
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短い会話。
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でも。
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以前なら、
誰も確認しなかったこと。
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今は、
自然と聞くようになっている。
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Living Room
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ジョンハンがソファに座りながら、
その様子を眺めている。
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最初の頃の404 HOUSE。
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誰かが出かけても、
「行ってらっしゃい。」
と言うだけだった。
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今は違う。
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帰宅時間を気にする。
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疲れていないか見る。
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好きなものを覚える。
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それは、
大きな変化ではない。
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でも。
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一緒に暮らす時間が積み重なった証だった。
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Entrance
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出勤準備をするメンバー。
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「行ってきます。」
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「行ってらっしゃい。」
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いつもの言葉。
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でも。
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その声に込められる意味は、
最初とは違っていた。
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チアキはミンギュのお見送りに玄関に来た。
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ミンギュがふと時計を見る。
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「今日、雨降るかもしれない。」
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「傘持って行ってね。」
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チアキは少し驚く。
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「……はい。」
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「ありがとうございます。」
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ミンギュは小さく頷く。
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「うん。」
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それだけ。
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でも。
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その一言のために、
朝の天気を確認していたことを、
本人はまだ気づいていない。
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【STAFF NOTE】
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人との距離が近づく時、
大きな出来事が起こるわけではない。
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名前を呼ぶこと。
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帰宅を気にすること。
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好きなものを覚えること。
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小さな行動の積み重ねが、
いつの間にか、
「気になる存在」を作っていく。
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本人たちはまだ、
それを恋と呼ばない。
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ただ。
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少しだけ、
相手を見る時間が増えている。
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次回 Scene2
『それぞれの予定』
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平日の404 HOUSE。
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11人はそれぞれの日常へ向かう。
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離れている時間にも、
なぜか思い出す存在がいる。
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