ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode27

『近づく理由』

― 一緒にいる理由が、少しずつ変わっていく。 ―

Day:Saturday(共同生活27日目)



Scene1

『休日の朝』

Saturday|10:00 AM



404 HOUSE。



久しぶりに、

目覚ましの音がない朝。



カーテンの隙間から差し込む柔らかな光が、

ゆっくりと部屋を照らしていく。



平日なら、

それぞれが仕事へ向かう準備をする時間。



でも今日は違う。



予定のない休日。



誰かを急かす声も。



玄関へ向かう足音もない。





Living Room



ソファには、

まだ眠そうな顔をしたメンバー。



スニョンはクッションを抱えたまま、

ぼんやり天井を見ている。



休日の朝の静けさに、

少しだけ気が抜けたような顔だった。



スングァンは、

コーヒーを飲みながらスマホを眺めている。



画面を見ているはずなのに、

視線はときどき自然と周りへ流れていく。



ウォヌは静かに本を開き、

ジョンハンはその隣でゆっくり伸びをする。



言葉は少なくても、

同じ空気を共有していることが、

もう当たり前になりつつあった。





少しずつ、

部屋に人が集まっていく。





スングァンが周りを見る。





「……あれ?」





みんなが顔を向ける。





「今日、全員いるの珍しくない?」





その一言に、

リビングを見渡す。





11人。





誰かが仕事へ行っているわけでもなく。



誰かが夜勤に備えて寝ているわけでもない。





全員が、

同じ時間に同じ場所にいる。





それだけのことなのに、

少し胸の奥があたたかくなる。





スニョンが笑う。





「確かに。」





「最近、全員揃う時間って少なかったよね。」





その言葉に、

それぞれが小さく頷く。



忙しさの中では気づかなかったけれど、

こうして顔を合わせるだけで安心する。



誰かが欠けていると、

なんとなく落ち着かない。



そんな感覚が、

もう自然になっていた。





チアキはキッチンで、

人数分の飲み物を準備していた。





以前なら、

それが当たり前のように見えていた。



ただ手を動かして、

必要なものを並べるだけ。



でも今は違う。



一人ひとりの好みを思い浮かべながら、

この人には少し甘め、

あの人には氷を少なめ、

そんなふうに考える時間さえ、

どこか楽しくなっていた。



「チアキ、座ってていいよ。」



ミンギュが自然に声をかける。



その声には、

気遣いだけじゃなく、

本当に一緒にいてほしいという気持ちが滲んでいた。



チアキが振り返る。





「大丈夫です。」





そう言いかけて。



少し笑う。





「……でも、ありがとうございます。」





以前なら、

きっとそのまま断っていた。



迷惑をかけたくなくて、

ひとりでやったほうがいいと思っていた。



でも今は。



誰かの優しさを、

そのまま受け取れるようになっていた。



それは、

この家で少しずつ覚えたことだった。





Dining Room



全員がテーブルを囲む。





特別な料理があるわけではない。





ただの休日の朝食。





でも。





笑い声がある。



誰かが話を振る。



誰かがそれに答える。



誰かがふとこぼした一言に、

別の誰かがすぐ笑う。





最初の日にはなかった光景。





食べるために集まっていたはずなのに、

今はそれだけではない。





この時間があるから、

朝が少し楽しみになる。



この顔ぶれが揃うから、

何気ない朝食が特別に感じられる。





スンチョルが、

みんなを見ながら小さく笑う。





「最初の頃から考えると、不思議だね。」





その声は穏やかだったけれど、

そこには確かな実感があった。





ジョンハンが頷く。





「最初は全員、距離あったからね。」





言いながら、

彼自身もその変化を思い返しているようだった。



最初は、

同じ家にいるだけで少し緊張していた。



相手の顔色をうかがって、

必要以上に踏み込まないようにしていた。



でも今は違う。



沈黙さえ気まずくない。



むしろ、

何も言わなくても伝わる安心がある。





「今じゃ、誰かがいないと気づく。」





その言葉に、

一瞬だけ静かになる。





誰も否定しなかった。





それは、

みんなが同じことを感じていたからだった。





404 HOUSE。





いつの間にか、

ただ寝る場所ではなくなっていた。





誰かがいる場所。



誰かが待っている場所。





そして。



誰かの存在を、

自然に探してしまう場所。





チアキはテーブルの端で、

湯気の立つカップを見つめる。





最初は、

ここにいる理由を探していた。



仕事だから。



共同生活だから。



そう言い聞かせることで、

自分の気持ちに蓋をしていたところもあった。



でも今は違う。



誰かと同じ朝を迎えたい。



誰かの「おはよう」を聞きたい。



そんな小さな気持ちが、

この家にいる理由の中で、

少しずつ大きくなっていた。





【STAFF NOTE】



共同生活27日目。



最初は、

知らない人同士だった11人。





同じ家で過ごす時間の中で、

少しずつ相手の癖を知り、

声を覚え、

存在の大きさに気づいていった。





特別な出来事がなくても、

一緒にいる時間そのものが、

大切な思い出になっていく。





そして今日。



11人は、

ただ「同じ場所にいる」だけではない。



誰かに会いたいから集まり、

誰かと過ごしたいから食卓につく。



一緒にいる理由が、

少しずつ変わり始めている。





次回 Scene2

『スタッフからのミッション』



午前11時。



404 HOUSEに届いた一通の封筒。



そこに書かれていたのは、

共同生活27日間の記憶を残すための、

特別なミッションだった。




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