ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode28

『言葉の向こう側』

― 少しずつ”特別”になっていく日常。―

Day:Sunday(共同生活28日目)



Scene5

『ショッピングモール』

Sunday|04:00 PM



ショッピングモールへ到着すると、

休日らしい賑やかな空気が四人を迎えた。



家族連れ。

友人同士。

買い物を楽しむ人たち。



館内には明るい音楽が流れ、

人々の話し声が心地よく重なっている。



「まずは仕事の物からだよね。」



ミンギュが館内案内図を見ながら尋ねる。



チアキは頷いた。



「はい。」



「買う物が多いので、先に済ませちゃいます。」



「了解。」



四人は生活用品売り場へ向かった。



チアキはメモを見ながら、

一つひとつ商品を手に取っていく。



ネックピロー。



保湿用のスキンケア。



機内で使うボールペン。



小さなポーチ。



「そんなに細かく準備するんだね。」



スニョンが感心したように言う。



チアキは商品をカゴへ入れながら笑った。



「海外だと、忘れてもすぐ買えないこともあるので。」



「なるほど。」



「勉強になるなぁ。」



その横で、

ミンギュは自然に買い物カゴを受け取る。



「持つよ。」



「え、大丈夫ですよ。」



「重くなってきましたし。」



「俺の方が力あるから。」



そう言って何事もないように歩き出す。



チアキは一瞬だけその背中を見つめ、

小さく微笑んだ。



少し歩くと、

スングァンの姿が見えなくなっている。



「あれ?」



「スングァンさんは?」



三人が辺りを見回す。



「いた。」



スニョンが指差した先には、

お菓子売り場で新商品を真剣に眺めるスングァン。



「これ期間限定だって!」



「見て見て!」



両手いっぱいにお菓子を抱え、

満面の笑みで戻ってくる。



「買いすぎだよ(笑)。」



チアキが笑う。



「404 HOUSEのみんなで食べるから!」



「それならいいか。」



ミンギュも苦笑した。



買い物を終え、

館内を歩いていると、

雑貨店の前でチアキが足を止める。



「どうした?」



ミンギュが尋ねる。



ガラスケースの中には、

小さな飛行機のキーホルダーが並んでいた。



チアキは少し懐かしそうに眺める。



「新人の頃、こういうの集めてたんです。」



「今は?」



「気づいたら買わなくなってました。」



「仕事に慣れちゃったからかな。」



そう笑う横顔は、

少しだけ寂しそうにも見えた。



ミンギュはそのキーホルダーを見つめ、

静かに言う。



「初心を思い出せる物って、大事だよな。」



チアキは少し驚いたようにミンギュを見る。



「そうですね。」



「たまには買ってみようかな。」



「いいじゃん。」



「その方がチアキらしい気がする。」



その言葉に、

チアキは照れくさそうに笑った。



買い物を終え、

四人は館内をゆっくり歩く。



ガラス張りの窓から、

夕方の柔らかな陽射しが差し込んでいた。



荷物を持つミンギュ。



新しく買ったお菓子を自慢するスングァン。



店先の雑貨に興味津々のスニョン。



その様子を見ながら歩くチアキ。



ふと、

足を止めた。



「今日はありがとうございました。」



三人が振り返る。



チアキは少し照れながら笑う。



「一人で来ていたら、こんなに楽しくなかったと思います。」



少しだけ間が空く。



そして、

無意識に言葉が続いた。



「みんなと来れてよかった。」



その一言は、

とても自然だった。



敬語の中に、

ほんの少しだけ混ざった素の気持ち。



ミンギュは優しく笑う。



「俺たちも。」



「来てよかったよ。」



スニョンも大きく頷く。



「また来よう。」



「次は買い物じゃなくても。」



「賛成!」



スングァンが笑顔で手を挙げる。



四人は顔を見合わせ、

同時に笑った。



夕暮れの光が、

楽しそうに歩く四人の背中を優しく照らしていた。



【STAFF NOTE】



特別な場所だったから、

楽しかったわけではない。



隣を歩く相手がいたから、

何気ない買い物も思い出になる。



その日常は、

少しずつ”特別”へと姿を変え始めていた。



次回 Scene6

『夕食』



404 HOUSEへ帰宅。



留守番組も揃い、

今日あった出来事を囲みながら夕食が始まる。



その食卓で、

チアキの何気ない一言に、

みんなが思わず笑顔になる。




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