ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode30
『404 Choice』
―「気になる」は、まだ恋とは限らない。―
Day:Tuesday(共同生活30日目)
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Scene2
『迎えに行く理由』
Tuesday|04:30 PM
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午後。
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西日がリビングの床を長く照らし、
窓の外では蝉の声が少しずつ遠くなっていく。
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404 HOUSE。
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昼間の静けさが、
ゆっくりと夕方の空気へ変わり始めていた。
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リビングでは、
ユナがノートパソコンを閉じる。
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ウォヌはソファで本を読み、
ジョンハンは静かに自室から降りてきた。
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手には車のキー。
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玄関へ向かいながら、
スニーカーを履く。
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その姿に気づいたユナが、
顔を上げた。
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「ジョンハンさん。」
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「出掛けるの?」
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ジョンハンは振り返り、
穏やかに笑う。
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「うん。」
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「ちょっと空港まで。」
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「空港?」
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ユナは少し驚いた表情になる。
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「迎え?」
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ジョンハンは靴紐を結びながら、
少しだけ考えるように間を置いた。
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「うん。」
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「荷物、多いだろうし。」
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その答えは、
それだけだった。
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理由を飾ることも、
特別なことのように言うこともない。
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ただ、
当たり前のように口にした一言。
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ウォヌが本から目を上げる。
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「チアキ、今日帰ってくるんだよな。」
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「そう。」
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ジョンハンは短く頷く。
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「フライトのあとって疲れるから。」
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「一人で帰るより、少し楽かなって。」
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その声は、
どこまでも自然だった。
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ユナは優しく微笑む。
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「きっと喜ぶよ。」
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ジョンハンは照れたように笑い、
小さく首を振る。
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「どうだろ。」
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「でも。」
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「『おかえり』は、早い方がいいでしょ。」
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その言葉に、
リビングの空気が少しだけ柔らかくなる。
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ウォヌは静かに本を閉じた。
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「気を付けて。」
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「ありがとう。」
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ジョンハンは車のキーを軽く振り、
玄関のドアを開ける。
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外から流れ込む夕方の風が、
家の中をゆっくりと通り抜けた。
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「行ってきます。」
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「行ってらっしゃい。」
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二人の声が重なる。
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玄関のドアが静かに閉まる。
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その音を聞きながら、
ユナがぽつりと呟いた。
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「優しいよな。」
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ウォヌも小さく頷く。
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「うん。」
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「ジョンハンさんらしい。」
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誰かを迎えに行くこと。
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それは特別な出来事ではなく、
その人が無事に帰ってくることを、
当たり前に願う気持ちだった。
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【STAFF NOTE】
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共同生活30日目。
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「迎えに行こう。」
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その一言に、
大きな理由はいらない。
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荷物が重いかもしれない。
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疲れているかもしれない。
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そんな小さな想像が、
自然と誰かを動かしていく。
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優しさは、
気づかれないくらい自然な時ほど、
その人らしさになる。
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次回 Scene3
『おかえり』
Tuesday|06:00 PM
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空港の到着ロビー。
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人混みの向こうに、
見慣れた姿がゆっくりと現れる。
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「ジョンハンさん?」
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その一言から、
404 HOUSEへ帰る時間が始まる。
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