ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode30

『404 Choice』

―「気になる」は、まだ恋とは限らない。―

Day:Tuesday(共同生活30日目)



Scene8【UNSEEN】

『秘密のまま』

Tuesday|11:45 PM



404 HOUSE。



照明の落ちたリビング。



昼間までの賑やかさが嘘のように、

家は静かな夜に包まれていた。



スタッフルーム。



テーブルの上には、

封印された404 Choiceの投票箱。



スタッフが一枚のシールを貼る。



「開封日:共同生活最終日」



その文字を確認すると、

静かに保管棚へと運ばれていった。



中には、

十一人それぞれが書いた、

誰にも知られていない答え。



まだ、

誰も見ることはできない。



Interview Room



スタッフが一人ずつ、

最後の質問を投げかける。



「今日は何を書きましたか?」



最初に答えたのは、

スンチョル。



少し笑って、

それでもどこか慎重に首を横に振る。



「秘密です。」



その一言のあと、

一瞬だけ視線が落ちる。



ジョンハンも、

穏やかに笑う。



「言ったら意味ないでしょ。」



そう言いながらも、

どこか確かめるようにカメラを見つめた。



ウォヌは照れたように笑い、

短く答えた。



「まだ内緒です。」



言い切ったあと、

少しだけ耳が赤くなる。



スニョンは肩をすくめる。



「気になるなら、最終日まで待ってください。」



そう言ってから、

ふと隣の席があった方向に目をやる。



スングァンは笑いながら、

カメラを指差した。



「絶対編集で聞き出そうとしてる(笑)。」



その明るさの奥に、

ほんの少しだけ緊張が混じっていた。



スタッフも思わず笑う。



女性メンバーへの質問も続く。



ソヨン。



「ちゃんと考えて書きました。」



答えたあと、

少しだけ唇を結ぶ。



ユナ。



「答えは一つでした。」



その言葉に、

自分でも驚いたように小さく息をつく。



チェリン。



「思っていたより悩みました。」



視線を落としたままそう言って、

最後にそっと笑った。



ジウォン。



「書いた瞬間に、少し緊張しました。」



その“少し”の中に、

言葉にしきれない揺れが滲んでいた。



そして最後に、

チアキ。



スタッフが同じ質問をする。



「今日は何を書きましたか?」



チアキは少し考え、

優しく笑った。



「秘密です。」



その笑みは柔らかいのに、

どこか胸の奥を隠すようでもあった。



少し間を置いて、

続ける。



「でも……。」



「一か月前の私なら、

こんなに悩まなかったと思います。」



「この家で過ごした時間が、

ちゃんと私の中に残ってるんだなって思いました。」



言い終えたあと、

ほんの一瞬だけ視線が揺れる。



誰かの名前を書いたことが、

まだ言葉にならないまま胸の奥に残っているようだった。



スタッフは静かに頷く。



カメラが止まり、

インタビューが終わる。



チアキは部屋を出る前に、

一度だけ404 HOUSEのリビングを見渡した。



笑い声が響く場所。



「おかえり」と迎えてくれる場所。



そして、

何気ない日常が積み重なっていく場所。



その景色は、

もう特別なものになっていた。



【STAFF NOTE】



共同生活30日目。



初めて名前を書いた夜。



その答えは、

まだ誰にも明かされない。



けれど、

一度書いた名前は、

昨日までとは少し違う意味を持ち始める。



ただの記号ではなく、

ふとした瞬間に思い出してしまう存在として。



視線が重なったとき、

会話が途切れたとき、

その名前は静かに心の奥で響き続ける。



恋とは呼べない。



でも、

もう「ただの共同生活」でもない。



三か月の共同生活は、

ここから二か月目へ。



少しずつ、

それぞれの気持ちが動き始める。



次回予告

Episode31

『昨日と同じ、今日じゃない』



共同生活31日目。



404 Choiceの結果は、

まだ誰も知らない。



それでも、

一度名前を書いたことで、

ふとした瞬間に相手を意識してしまう。



昨日と同じ朝。



昨日と同じ「おはよう」。



それなのに、

昨日と同じ気持ちではいられなかった。



二か月目の404 HOUSE。



誰もまだ、

この感情の名前を知らない。




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