ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode32
『知らなかった横顔』
― 笑顔の裏側にある、本当の自分。―
Day:Thursday(共同生活32日目)
⸻
Scene6
『この家で、一番安心する時間』
Thursday|Interview
⸻
404 HOUSE。
⸻
夜。
⸻
それぞれの部屋で、
今日一日を振り返る時間。
⸻
スタッフから、
今回の質問が伝えられる。
⸻
「この家で、一番安心する時間は?」
⸻
一人ずつ、
インタビューが始まる。
⸻
スンチョル
⸻
「安心する時間ですか?」
⸻
少し考える。
⸻
「夜ですね。」
⸻
「みんなが帰ってきて。」
⸻
「ちゃんと全員いるって分かる時間。」
⸻
「最初は、ただ同じ家に住んでいるだけだったけど。」
⸻
「今は、帰る場所って感じがします。」
⸻
⸻
ジョンハン
⸻
「僕は……。」
⸻
少し笑う。
⸻
「何もしない時間。」
⸻
「会話がなくても、同じ空間にいる時間です。」
⸻
「前は、沈黙って気まずいものだと思っていました。」
⸻
「でも今は違う。」
⸻
「誰かがいる静けさって、いいなって思います。」
⸻
⸻
ウォヌ
⸻
「夜のリビング。」
⸻
短く答える。
⸻
「本を読んでいても。」
⸻
「誰かの話し声が聞こえる。」
⸻
「それが落ち着きます。」
⸻
⸻
スニョン
⸻
「ご飯の時間!」
⸻
即答する。
⸻
「絶対これ。」
⸻
「みんなで食べると、普通のご飯でも美味しい。」
⸻
「一人で食べるより楽しいから。」
⸻
⸻
スングァン
⸻
「俺もご飯。」
⸻
笑う。
⸻
「あと、帰ってきた時。」
⸻
「誰かが『おかえり』って言ってくれるの。」
⸻
「普通のことなのに、意外と嬉しい。」
⸻
⸻
ミンギュ
⸻
少し考える。
⸻
「玄関かな。」
⸻
スタッフが尋ねる。
⸻
「玄関ですか?」
⸻
「はい。」
⸻
「誰かが帰ってくる音がすると。」
⸻
「今日も一日終わったなって思うんです。」
⸻
少し笑う。
⸻
「最近は、帰ってくる人の顔を見るのが自然になりました。」
⸻
⸻
ユナ
⸻
「朝です。」
⸻
「みんなが眠そうに起きてきて。」
⸻
「『おはよう』って言う時間。」
⸻
「一日の始まりを一緒に迎えられるのが好きです。」
⸻
⸻
ジウォン
⸻
「女子で話してる時間。」
⸻
「仕事とか将来の話とか。」
⸻
「恋愛じゃない話をできるのが安心します。」
⸻
⸻
チェリン
⸻
少し考えてから、
柔らかく笑う。
⸻
「夜ですね。」
⸻
「今日あったことを話したり。」
⸻
「何でもないことで笑ったり。」
⸻
「前より、自分のままでいられる気がします。」
⸻
⸻
ソヨン
⸻
「料理してる時間。」
⸻
「誰かのために作るって、昔は責任みたいに感じていました。」
⸻
「でも今は、楽しいです。」
⸻
⸻
チアキ
⸻
「……。」
⸻
少しだけ視線を落とす。
⸻
その横顔は、いつもの明るさとは少し違っていた。
⸻
「私は、たぶん……。」
⸻
「『おかえり』って言ってもらえる時間です。」
⸻
スタッフが尋ねる。
⸻
「なぜですか?」
⸻
チアキは、少しだけ息をついてから答える。
⸻
「仕事柄、帰る時間が毎日違うので。」
⸻
「昔は、遅く帰っても部屋の明かりが消えていて。」
⸻
「玄関を開けた瞬間に聞こえるのは、自分の足音だけ。」
⸻
「誰にも気づかれないまま、ただ静かな部屋に戻ることが多かったんです。」
⸻
「そういう時間に慣れていたから。」
⸻
「誰かが待っていてくれることが、最初は少し不思議でした。」
⸻
「本当は、誰かに『おかえり』って言ってほしかったのに。」
⸻
「そう思うことすら、どこかで諦めていたのかもしれません。」
⸻
少し間を置く。
⸻
「でも今は、玄関を開けた瞬間に声が聞こえるだけで。」
⸻
「今日あった疲れとか、ひとりで抱えていた気持ちが、少し軽くなる気がします。」
⸻
「誰かがいるって、こんなにあたたかいんだって。」
⸻
「ここに来る前は、ちゃんと知らなかったです。」
⸻
「待っていてくれる人がいるって。」
⸻
「こんなに安心するんだなって、ここに来て初めて思いました。」
⸻
⸻
インタビュー終了後。
⸻
スタッフが集計する。
⸻
一番多かった答え。
⸻
「みんなでご飯を食べる時間。」
⸻
誰か一人ではなく、
11人で過ごす時間。
⸻
それが、
いつの間にか404 HOUSEの中心になっていた。
⸻
【STAFF NOTE】
⸻
共同生活32日目。
⸻
安心できる場所は、
特別な出来事で作られるものではない。
⸻
毎朝の「おはよう」。
⸻
帰宅した時の「おかえり」。
⸻
一緒に食べる何気ない食事。
⸻
積み重なった小さな時間が、
いつの間にか、
人にとって大切な場所になる。
⸻
404 HOUSEは、
ただ暮らす場所から、
少しずつ「帰りたい場所」へ変わっていた。
⸻
次回 Scene7【UNSEEN】
『まだ話していない秘密』
Thursday|Late Night
⸻
スタッフNOTE。
⸻
「秘密を話すたび、距離は近づいていく。」
⸻
でも。
⸻
まだ一人だけ、
誰にも話していない秘密がある。
⸻
カメラは、
静かに笑うチアキを映す。
→
ノベルに戻る I
Addict