ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode32

『知らなかった横顔』

― 笑顔の裏側にある、本当の自分。―

Day:Thursday(共同生活32日目)



Scene7【UNSEEN】

『まだ話していない秘密』

Thursday|Late Night



深夜。



404 HOUSE。



リビングの明かりは落ち、

静けさの中で時計の針だけが進んでいく。



全員が眠りについたあと、

画面はスタッフルームへ切り替わる。



今日撮影した映像を、

スタッフがモニター越しに確認している。



そこに映るのは、

チェリンが秘密を打ち明ける瞬間。



ユナとジウォンが、

その言葉を静かに受け止める表情。



そして――



玄関で、

「おかえり。」

その一言に、

ほんの少しだけ表情をゆるめるチアキ。



映像を見つめながら、

スタッフが小さく呟く。



「少しずつ、ですね。」



別のスタッフも、

画面から目を離さずに頷く。



「最初の頃とは、本当に変わりました。」





Interview Room



モニターの映像が切り替わる。



同じ夜。



今度は、チアキが一人で座っている。



今日のインタビューとは別に行われる、

まだ公開されていない追加インタビュー。



スタッフが静かに尋ねる。



「この家で、自分が変わったと思うことはありますか?」



チアキは少し考える。



すぐに答えられないのは、

言葉が見つからないからではない。



どこまで話していいのかを、

無意識に探してしまうからだった。



「……人に頼ることですかね。」



「前は。」



一度、言葉を切る。



胸の奥に、

小さな痛みが残る。



大したことじゃないと、

いつも飲み込んできたものが、

こういう時だけ静かに顔を出す。



「迷惑をかけないようにする方が、

 何より大事だと思っていました。」



「疲れていても、大丈夫って言うし。」



「寂しくても、平気なふりをする。」



少しだけ笑う。



「それが、普通になっていたんです。」





スタッフ。



「今は違いますか?」





チアキは、

わずかに視線を落とす。



答えはもう出ている。



けれど、口にするのは少し怖い。



変わったと言ってしまえば、

まだ揺れている自分まで

否定してしまいそうで。



「まだ、全部は変わってないです。」



「でも。」



「誰かが気づいてくれることって、

 あるんだなって。」



「最近、思います。」





スタッフ。



「404 HOUSEのメンバーには、

 このことを話しましたか?」





チアキは首を横に振る。



「まだです。」



「いつか話せたらいいなとは思います。」



「でも……。」



少しだけ迷う。



本当は、話したくないわけじゃない。



ただ、言葉にした瞬間、

自分の中の弱い部分まで

見えてしまう気がして、

足が止まる。



「自分でも、まだ整理できてない部分があるので。」





静かな沈黙。





スタッフNOTE。



チアキのSECRET



「人に頼ることが苦手。」



「誰かを信じることが怖い。」



「でも本当は――」



「誰かに気づいてほしかった。」





インタビューの余韻を残したまま、

カメラは再び404 HOUSEへ戻る。



リビングのソファには、

昼間チェリンが置いていたクッション。



キッチンには、

誰かが洗って伏せたマグカップ。



玄関には、

メンバーたちの靴が並んでいる。



ひとりで頑張るための場所だった日々から、

誰かと一緒に過ごす場所へ。



404 HOUSEは、

少しずつ形を変えていた。



【STAFF NOTE】



共同生活32日目。



秘密を話すことは、

自分を見せること。



けれど、

すぐに全部を話せる人ばかりではない。



時間をかけて。



少しずつ。



その人のペースで。



心の扉は開いていく。



そして404 HOUSEには、

まだ誰も知らない秘密が、

静かに残されている。



次回予告

Episode33

『気づけば、隣に』

共同生活33日目。



それぞれの仕事。

それぞれの日常。



忙しい一日の中で、

ふと誰かの存在を探してしまう。



そして――

あるメンバーが、

誰にも話してこなかった秘密を明かす。



少しずつ近づく心。

その距離は、

もう昨日までとは違っていた。




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