ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode33

『気づけば、隣に』

― いつの間にか、探してしまう存在。―

Day:Friday(共同生活33日目)



Scene5

『秘密の準備』

Friday|Late Night



404 HOUSE。



深夜。



明日の外出を控えたリビング。



「明日の指定衣装って、結局なんなんだろうね。」



夕方から続いていた疑問。



誰も答えを知らないまま、

時間だけが過ぎていた。



その時。



玄関のチャイムが鳴る。



「え?」



スングァンが立ち上がる。



「こんな時間に?」



スタッフから届いた箱だった。



リビングへ運ばれる、

11個の箱。



それぞれに、

名前が書かれている。



「……衣装?」



チェリンが箱を見る。



ユナも興味深そうに近づく。



「開けていいのかな。」



スマートフォンを見ると、

スタッフから新しいメッセージ。



STAFF



「明日の指定衣装です。」



「中身を確認して、準備してください。」





一瞬。



全員の表情が変わる。



「衣装だったんだ。」



スニョンが笑う。



「ってことは、普通の服じゃないんだ?」



ジョンハンが箱を持ち上げる。



「スタッフさんがわざわざ箱で送ってくる時点で、もう普通じゃないよね。」



「それ、楽しみ半分、怖さ半分だね。」



「なんで怖いの?」



ユナが笑う。



「だってスタッフさんだよ?」



その答えに、

全員が納得して笑った。





リビング



全員がテーブルのまわりに集まる。



それぞれ自分の名前が書かれた箱を前に、

少しだけそわそわした空気が流れる。



「じゃあ、開けるよ。」



チェリンが言う。



「せーのでいこう。」



スングァンが箱を構える。



「絶対おもしろいの入ってるでしょ。」



「そういうこと言うと、本当に変なの来るよ。」



ジョンハンが笑う。



「じゃあ、いくよ。」



「せーの。」



一斉に箱が開く。



「……!」



「わあ。」



「かわいい。」



「え、これ?」



あちこちから声が上がる。



中に入っていたのは、

制服。



スカート。



シャツ。



リボン。



学生時代を思い出すような衣装。



「久しぶりに着るね。」



ジウォンが笑う。



「なんか、急に懐かしくなってきた。」



ユナも制服を手に取り、

鏡の前で合わせてみる。



「変な感じ。でも、ちょっと楽しいかも。」



「わかる。」



女性メンバーの声が弾む。



男子メンバーも、

それぞれの制服を見て思わず笑う。



「まさか。」



スンチョルが制服を手に取る。



「この歳で制服を着ることになるとは思わなかったな。」



その一言に、

全員が笑う。



スングァンが笑いながら言う。



「でも、絶対似合うと思うよ。」



「誰が?」



「全員。」



「急に雑。」





ミンギュは制服を眺めながら笑う。



「なんか不思議だな。」



「共同生活で制服を着る日が来るなんて、思ってなかった。」



ウォヌも静かに頷く。



「最初の日だったら、絶対こんな空気にはなってなかっただろうね。」





最初の頃。



敬語ばかりだった会話。



少し距離のあった空気。



今では、

同じ家で笑っている。





制服を広げながら、

明日の準備を進める。



「写真いっぱい撮ろう。」



チェリンが言う。



「絶対撮る。」



スングァンが即答する。



「でも朝9時集合だからね。」



ジョンハンが釘を刺す。



「寝坊禁止。」



「分かってます!」



スングァンが反論する。





その輪の中で、

チアキは静かに制服を見つめていた。



手に取れば、ただの布なのに。



白いシャツの襟も、

整ったプリーツも、

きれいに結ばれたリボンも、

どこか遠い記憶を連れてくる。



胸の奥が、少しだけきゅっとなる。



みんなと同じものを着るだけで、

こんなにも懐かしくなるなんて。



けれど、その懐かしさは、

あたたかいだけではなかった。



制服を見るたびに、

置いてきた時間のことを思い出してしまう。



誰かと並んで笑っていたはずの場所。



もう戻れないまま、

ひとりで見送った季節。



そんな記憶の端が、

ふいに指先へ触れる。



周りでは、

女性メンバーが楽しそうに話している。



「これ、似合うかな。」



「絶対似合うよ。」



そんな声。



チアキも笑っている。



でも。



ほんの一瞬。



表情が止まる。



懐かしさ。



戸惑い。



そして、

理由を言葉にできないまま残っている、

少しだけ寂しそうな影。



その変化に、

誰も気づかない。



……と思った。



しかし。



少し離れた場所にいた男性メンバー数人だけが、

その一瞬を見ていた。



ミンギュ。



ジョンハン。



ウォヌ。



そしてスンチョル。



「……?」



何か言おうとして、

でも言葉にはしない。





チアキはすぐにいつもの笑顔へ戻る。



「明日、楽しみですね。」



その声は、

いつも通りだった。



【STAFF NOTE】



共同生活33日目。



人は、

隠しているつもりの感情ほど、

ふとした瞬間に表情へ出る。





明日の楽しみを待つ11人。



その中で、

まだ誰も知らない小さな過去が、

静かに揺れていた。



次回 Scene6【UNSEEN】

『制服の理由』

Friday|Late Night



スタッフカメラだけが捉えていた、

チアキの一瞬の表情。



なぜ、

彼女は制服を見て、

ほんの少しだけ目を伏せたのか。



そして、

その寂しさの奥にあるものに、

気づいたメンバーは――。




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