ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode33

『気づけば、隣に』

― いつの間にか、探してしまう存在。―

Day:Friday(共同生活33日目)



Scene6【UNSEEN】

『制服の理由』

Friday|Late Night



404 HOUSE。

夜は静かに更けていた。

窓の外には街の灯りが滲み、遠くを走る車の音だけが、かすかな気配として残っている。

リビングの照明は落ち、各部屋の小さな明かりだけが廊下に漏れていた。

明日の予定を楽しみにしながら、11人はそれぞれの眠りにつく。

しかし、スタッフカメラには、その少し前の出来事が記録されていた。



Staff Camera



制服の箱が開いた瞬間、部屋の空気が変わる。

段ボールの中から現れた真新しい布地に、メンバーたちは思わず顔を寄せた。

「これ、似合うかな?」

「久しぶりに着る!」

嬉しそうな声が重なり、笑いが広がる。

照れながら制服を手に取る者もいれば、懐かしそうに袖を見つめる者もいる。

その中で、ひとりだけ。

チアキは手に取った制服を見つめたまま、ほんの少しだけ視線を落としていた。



スタッフルーム



映像を確認していたスタッフが、モニターの前で手を止める。

青白い光の中に映っていたのは、制服を持ちながら、どこか遠くを見るチアキの横顔だった。

「今の……。」

ディレクターが画面を止める。

「笑ってはいるんですけど、少し違いますね。」

その小さな違和感を確かめるため、追加インタビューが行われる。



Interview Room



白い照明に照らされた小さな部屋。

チアキがひとりで座っている。

テーブルの上には、先ほどの制服の一部が丁寧に置かれていた。

スタッフが尋ねる。

「制服を見た時、少し表情が変わりましたね。」

チアキは少し驚いたように目を瞬かせた。

「……分かりましたか?」

そう言って、小さく笑う。

「自分では普通にしていたつもりでした。」

スタッフが続ける。

「何か思い出したことがありましたか?」

少しの間を置いて、チアキは静かに答えた。

「制服って、楽しい思い出もあるんですけど……」

「同時に、少し寂しくなる時もあります。」

「なぜですか?」

チアキは考えるように視線を落とし、膝の上の布を指先でそっとなぞる。

「昔の自分を思い出すからです。」

「もっと素直だった頃とか。」

「何も考えずに笑っていた頃とか。」

やわらかく笑うその表情は、どこか遠い記憶を見つめているようだった。

「もちろん、明日は楽しみです。」

「みんなと一緒に着るので。」

少しだけ言葉を探してから、チアキは続ける。

「ただ……制服って、過去の自分と今の自分が一緒に出てくる感じがします。」

スタッフは静かに頷いた。



男子部屋



同じ頃、男子メンバーたちもまだ少し起きていた。

薄暗い部屋の中、ベッドの端に腰かけたまま、誰もすぐには眠ろうとしない。

「さっき。」

ジョンハンが口を開く。

「チアキ、少しだけ違ったよね。」

ミンギュも頷いた。

「うん。笑ってたけど……なんか、寂しそうだった。」

ウォヌは天井を見上げたまま、しばらく黙っている。

「聞くべきだったかな。」

スンチョルが首を横に振る。

「でも、今じゃない気がする。」

「話したい時に話せばいい。」

その言葉に、全員が静かに頷いた。

最初の頃なら、相手の変化に気づくこともなかった。

けれど今は、何気ない表情の違いに自然と目が向く。

それだけ、距離が近づいているということだった。



【STAFF NOTE】



共同生活33日目。

人には、まだ言葉にできない記憶がある。

楽しい思い出。

寂しい思い出。

その両方を抱えながら、人は今を生きている。

誰かの過去を知ることは、その人を変えることではない。

ただ、その人が見ている景色を、少しだけ理解すること。

明日、11人は制服を着る。

鏡の前で袖を整え、少し照れながら笑い合う。

写真を撮るたびに、新しい思い出が一枚ずつ増えていく。

そしてその一日の中で、誰かがまた、チアキの知らなかった一面に気づくことになる。



Episode34

『あの日の続きを』

共同生活34日目



スタッフから届いた特別な招待。

久しぶりに制服を着た11人が向かう場所は――。

笑顔と新しい思い出が生まれる一日。

そして、スタッフカメラだけが捉えていた、もうひとつの視線があった。




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