ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode34

『あの日の続きを』

― 大人になった今だから楽しめる、忘れられない一日。―

Day:Saturday(共同生活34日目)



Scene7

『404 HOUSEの夜』

Saturday|Night



404 HOUSE。



帰宅後。



いつものリビング。



でも、今日は少しだけ違っていた。



テーブルの上には、ロッテワールドで撮った写真、スマートフォン、カメラ、たくさんの思い出。



それを前にしたメンバーたちの顔には、遊び疲れの中にもまだ高揚感が残っていた。誰もが今日一日を思い返すたび、自然と笑みをこぼしてしまう。



「見せて。」



スングァンがソファに座る。



目を輝かせて身を乗り出す様子に、まだ興奮が冷めていないのが伝わってくる。誰よりも写真を見たがっているのに、どこか照れくさそうでもあった。



「これ誰?」



画面を見ながら笑う。



そこには、絶叫マシンで叫んでいるスングァンの姿があった。



「消して。」



「無理(笑)」



「いい写真じゃん。」



スニョンが笑う。



口元を押さえて肩を揺らすスニョンに、スングァンはむっとした顔をしたが、すぐに自分でも笑ってしまい、悔しそうに視線をそらした。



「全然よくない。」



リビングに笑い声が広がる。



その笑い声は、今日一日の疲れをやわらげるように部屋の隅々まで満ちていく。誰かが笑えば、別の誰かもつられて笑う。そんな空気が、今の404 HOUSEには自然にあった。



写真整理



みんなで一枚ずつ確認していく。



パレードの写真。



集合写真。



お化け屋敷の写真。



「これ、チアキ珍しい。」



ミンギュが写真を見せる。



そこには、お化け屋敷で驚いているチアキの姿があった。



チアキは画面を見る。



一瞬、息をのむ。自分でも気づかないうちに目を見開き、口元が固くなる。写真の中の自分は、いつもの落ち着いた表情とはまるで違っていた。



「……。」



「恥ずかしいです。」



小さくそう言いながら、チアキは耳まで赤くなる。けれど本当に嫌そうではなく、照れたような笑顔が浮かんでいた。そんな自分を見られるのは恥ずかしいのに、みんなが笑ってくれることがどこか嬉しかった。



ウォヌが笑う。



からかうというより、やわらかく受け止めるような笑い方だった。チアキの反応を見て、ウォヌ自身も自然と表情をゆるめる。



「でも自然だった。」



「いつも大丈夫って言ってるから。」



ウォヌの言葉に、チアキは少しだけ目を伏せる。強がっているつもりはなくても、いつも平気そうに見せてしまう自分を、ちゃんと見てくれていたのだと気づいて、胸の奥が少し温かくなる。



チアキは少し照れる。



「そんなに強そうに見えますか?」



問いかけながらも、声はやわらかい。自分では気づいていないだけで、周りからどう見えているのかを知るのは少し不思議だった。



ジョンハンが答える。



「見える。」



迷いのない返事だった。けれどその目はからかっていない。むしろ、そう見えるほどチアキがしっかりしていることを、ちゃんと認めているようだった。



「でも今日、違うところ見れてよかった。」



その言葉に、チアキは少し笑う。



ほんの少しだけ肩の力が抜ける。強く見られることは悪くない。でも、こうして驚いたり照れたりする自分も受け入れてもらえるのだと思うと、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。



「……ありがとうございます。」



リビング



写真を保存していく。



誰がどの写真を持つか。



自然に会話が続く。



最初の頃なら。



「送りますね。」



「ありがとうございます。」



そんな距離だった。



今は。



「これ送って。」



「こっちも欲しい。」



そんな会話が自然に出る。



そのやり取りのひとつひとつに、誰もが少しずつ心を許してきた時間がにじんでいた。遠慮がちだった声が、今では笑い混じりに飛び交う。その変化を、メンバーそれぞれがどこか嬉しそうに感じていた。



22:30 PM



スングァンが一枚の写真を見つける。



11人で撮った集合写真。



「これいいね。」



全員が画面を見る。



制服姿。



笑顔。



少し疲れているのに、全員楽しそうな顔。



その写真の中の自分たちを見て、誰もが少しだけ静かになる。今日の騒がしさや笑い声が、その一枚にぎゅっと閉じ込められているようだった。



スンチョルが笑う。



「本当に学生みたいだった。」



そう言いながらも、どこか懐かしそうな目をしている。大人になった今だからこそ、あの無邪気さがまぶしく感じられるのかもしれない。



「でも。」



少し間を置いて。



「今だから楽しかったのかもね。」



その言葉に、みんな頷く。



子どもの頃とは違う。



仕事も。



責任も。



色々抱えている。



だからこそ、何も考えず笑える時間が特別だった。



それぞれが抱えているものは違っても、今日だけは同じ方向を向いて笑えた。その事実が、何よりも心に残っていた。



チアキ



写真を見ながら、チアキが小さく呟く。



「また行きたいな。」



言ったあとで、チアキははっとする。自然にこぼれた言葉だったからこそ、自分でも少し驚いていた。けれどその声には、今日を本当に楽しかったと思っている気持ちが素直に滲んでいた。



一瞬。



自分でも気づく。



「……あ。」



男性陣を見る。



「すみません。」



慌てて謝るその仕草に、少しだけいつもの慎重さが戻る。けれど、もう以前のように言葉を飲み込むだけではなかった。口にしてしまったあとでも、ちゃんとその気持ちを受け止めようとしているのがわかる。



ミンギュが笑う。



「今の。」



「自然だった。」



チアキは少し顔を赤くする。



褒められたことが嬉しいのに、素直に受け取るにはまだ少し照れくさい。視線を落としながらも、口元には小さな笑みが残っていた。



「……気が抜けました。」



スングァンが笑う。



「それ、最近増えたよね。」



「前はずっと敬語だったのに。」



その言葉に、チアキは少しだけ目を丸くする。自分では気づかないうちに、ここで過ごす時間が言葉遣いまで変えていたのだと知って、くすぐったいような気持ちになる。



チアキは困ったように笑う。



「慣れてきたんだと思います。」



そう言いながらも、心のどこかでは、ここが自分にとって安心できる場所になっていることを感じていた。だからこそ、少しずつ素の自分が出てしまうのだろう。



ジョンハンが優しく言う。



「それでいいと思う。」



その声は穏やかで、押しつけるものが何もない。ただ受け入れてくれる、そのやさしさがチアキの胸に静かにしみていく。



その言葉に、チアキは小さく笑う。



今度は、無理に作った笑顔ではない。ほんの少しだけ安心したような、柔らかい笑みだった。







「今日は楽しかった。」



誰かが言う。



その一言に、リビングの空気がふっとやわらぐ。誰もが同じ気持ちを抱いていたからこそ、短い言葉だけで十分だった。



「うん。」



短い返事。



でも、11人全員が同じ気持ちだった。



今日一日の思い出は、写真だけではなく、この家で共有した時間として残っていく。



それぞれの胸の中に、笑った顔や驚いた声、少し照れた表情が静かに積み重なっていく。何気ない一日だったはずなのに、振り返れば忘れられない夜になっていた。



【STAFF NOTE】



共同生活34日目。



距離が近づく瞬間は、特別な出来事だけではない。



一緒に笑う。



同じ写真を見る。



「また行きたい」と思える。



そんな何気ない気持ちの積み重ねが、いつの間にか相手を特別な存在にしていく。



次回 Scene8【UNSEEN】

『残った視線』



スタッフカメラだけが知る、それぞれの小さな瞬間。



誰が誰を見ていたのか。



本人たちはまだ気づいていない。




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