ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode35

『言えないままの気持ち』

― 楽しい時間の後に残る、小さな違和感。―

Day:Sunday(共同生活35日目)



Scene2

『休日の過ごし方』

Sunday|Afternoon



404 HOUSE。



日曜日の午後。



窓から差し込むやわらかな光が、

カーテン越しに床へ淡く広がっていた。



昨日の賑やかさが嘘のように、

今日は家の中に、ゆるやかな静けさが流れている。



遠くで風が揺れる音と、

時計の針が進む小さな音だけが、

穏やかな空気の中に溶けていた。



ロッテワールドで一日中一緒に過ごしたからこそ、

それぞれが少しだけ、

自分の時間を楽しんでいる。





外出組



玄関。



ドアの近くには、外の光が白く差し込んでいる。



スンチョルが靴を履いている。



その横で、ジウォンが腕を組んでいた。



「必要なものだけ買うんだからね。」



ジウォンが笑う。



「分かってる。」



「でも、スンチョルは絶対余計なもの見る。」



「そんなことない。」



「昨日もお土産売り場で一番長くいたじゃん。」



「……。」



言い返せず、スンチョルが苦笑する。



玄関先には、出かける前の少しだけそわそわした空気が漂っていた。



「行こう。」



二人は肩を並べて、笑いながら家を出ていった。



閉まるドアの音が、

静かな室内にやさしく響く。





映画組



リビング。



カーテンの隙間から入る光が、

ソファの端をやわらかく照らしている。



ウォヌ、ソヨン、ミンギュ、スングァン。



ソファに並んで、映画を観ている。



テーブルの上には飲みかけの飲み物と、

途中で置かれたポップコーンの袋。



部屋の空気は穏やかで、

時々、誰かの笑い声が小さく弾けた。



スングァンは途中で何度も身を乗り出す。



「この主人公、絶対また失敗するよ。」



「まだ途中だから。」



ウォヌが落ち着いた声で返す。



「でも分かるじゃん。」



「分からない。」



「ウォヌ、冷静すぎる。」



そのやり取りに、

ソヨンとミンギュも思わず笑う。



映画の音と、くすくすとした笑い声。



休日らしい、のんびりした時間が流れていた。





カフェ



ユナはノートパソコンを開き、

静かなカフェで仕事をしていた。



窓際の席には、午後の光がやわらかく落ちている。



カップの湯気がゆっくりと立ちのぼる。



店内にはコーヒーの香りと、

控えめなBGMが静かに流れていた。



窓の外を、ぼんやりと見る。



行き交う人々。



揺れる街路樹。



休日の街は、どこかゆっくりと呼吸しているようだった。



以前なら。



休日でも、頭の中は仕事のことでいっぱいだった。



でも今は違う。



帰る場所がある。



その事実が、

少しだけ胸の奥をあたたかくした。





散歩組



スニョンとチェリン。



近所を歩きながら、

昨日撮った写真を見返している。



住宅街の道には、午後の光がやわらかく差し込み、

植え込みの葉が風に揺れていた。



「この写真いいね。」



チェリンが笑う。



「スングァンの顔。」



「やっぱりそこ?」



「一番面白い。」



「本人に言ったら怒るよ。」



「怒る顔までセットで面白い。」



二人の笑い声が、

穏やかな住宅街に軽く響いた。



足元には、ゆっくり伸びる影。



何気ない景色さえ、

少しだけ特別に見える午後だった。





404 HOUSE



リビング。



静かな部屋の中で、

チアキは一人、荷物を整理していた。



窓の外では、木々の葉がかすかに揺れている。



来週からまたフライト。



必要なものを一つずつ確認する。



ポーチ。



文房具。



機内で使う小物。



淡々と進めていた手が、

ふと止まる。



椅子の上に置かれた袋。



その中にあるのは、

昨日着た制服だった。



チアキの視線が、そこに落ちる。



一瞬だけ、

表情が揺れる。



楽しかった記憶。



笑い合った時間。



賑やかな声、明るい照明、あの場の熱気。



その全部が、確かに残っている。



けれど同時に、

胸の奥に、言葉にならない感情が静かに触れる。



制服を見ると、

思い出してしまうものがある。



チアキはすぐに視線を逸らした。



「……。」



小さく息を吐く。



窓の外から差し込む光が、

その横顔を静かに照らしていた。



何事もなかったように、

また荷物の整理を続ける。





スタッフカメラ



遠くから映像を確認するスタッフ。



画面の中の404 HOUSEは、

どこか穏やかで、静かな午後の空気に包まれている。



一昨日も、

制服を見た瞬間に。



チアキはほんの一瞬だけ、

同じ表情をしていた。



楽しそうな笑顔の奥に、

ふっと差し込む、かすかな寂しさ。



それは、

本人ですらまだ言葉にできない感情だった。



まだ誰も、

その理由を知らない。





【STAFF NOTE】



共同生活35日目。



人は、

楽しい思い出だけで近づくわけではない。



ふと見せた表情。



言葉にしなかった瞬間。



誰かが気づかなかった小さな変化。



そこに、

その人の知らなかった一面が隠れている。





次回 Scene3

『気づく人』



誰にも見せていない表情。



でも。



その小さな変化に、

一人だけ気づく人がいた。




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