ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode37
『残された言葉』
― 誰かを想って残したものが、誰かを傷つけることもある。―
Day:Tuesday(共同生活37日目)
⸻
Scene2
『ウォヌの仕事』
Tuesday|Afternoon
⸻
ソウル市内。
⸻
静かなオフィスビルの一室。
⸻
404 HOUSEとは、
少し違う空気が流れていた。
⸻
⸻
白い机。
⸻
積み重なった資料。
⸻
パソコンの画面。
⸻
そして、
開かれたノート。
⸻
⸻
ウォヌは、
一人で机に向かっていた。
⸻
⸻
ペンを持つ。
⸻
数行書く。
⸻
止まる。
⸻
⸻
消す。
⸻
⸻
また書く。
⸻
⸻
その繰り返し。
⸻
⸻
家で見せる静かな表情と同じ。
⸻
でも。
⸻
仕事中のウォヌには、
さらに深い集中があった。
⸻
⸻
作業部屋
⸻
⸻
文章を書く。
⸻
言葉を選ぶ。
⸻
誰かに届く形にする。
⸻
⸻
それは、
ウォヌにとって日常だった。
⸻
⸻
でも。
⸻
今は。
⸻
一つひとつの言葉に、
以前より慎重になっていた。
⸻
⸻
「この表現で伝わるか。」
⸻
⸻
「誰かを傷つけないか。」
⸻
⸻
「自分の中だけの感情を、相手のものとして扱っていないか。」
⸻
⸻
以前なら、
考えなかったこと。
⸻
⸻
今は、
書くたびに頭をよぎる。
⸻
⸻
スタッフインタビュー
⸻
⸻
ウォヌは、
仕事用の部屋でカメラの前に座る。
⸻
⸻
スタッフ。
「ウォヌさんにとって、言葉を書くことはどんなものですか?」
⸻
⸻
少し考える。
⸻
⸻
ウォヌ。
「……自分を表現する方法です。」
⸻
⸻
「昔は、言葉にすれば伝わると思っていました。」
⸻
⸻
「自分が感じたこと。」
⸻
「自分が見たこと。」
⸻
「それを正しく書けば、誰かにも届くと思っていた。」
⸻
⸻
少し間。
⸻
⸻
「でも。」
⸻
⸻
「言葉って、書いた人だけのものじゃないんですよね。」
⸻
⸻
スタッフ。
「どういう意味ですか?」
⸻
⸻
ウォヌは視線を落とす。
⸻
⸻
「読む人がいて。」
⸻
「その人の記憶や経験があって。」
⸻
「そこで初めて意味が変わる。」
⸻
⸻
「同じ言葉でも。」
⸻
⸻
「書いた人と、受け取った人では、見えるものが違う。」
⸻
⸻
その言葉には、
少しだけ苦い経験を知っている人の重みがあった。
⸻
⸻
仕事風景
⸻
⸻
ウォヌは再び机へ戻る。
⸻
⸻
新しい文章を書く。
⸻
⸻
以前のような勢いではなく。
⸻
⸻
一つの言葉を置く前に、
何度も考える。
⸻
⸻
それは迷っているからではない。
⸻
⸻
言葉の先に、
誰かがいることを知っているから。
⸻
⸻
スタッフコメント
⸻
⸻
「404 HOUSEの中では静かなウォヌさんですが。」
⸻
⸻
「仕事では、言葉を通して多くの人に何かを届ける側の人です。」
⸻
⸻
「だからこそ。」
⸻
⸻
「自分が残した言葉が、誰かにどう届くのか。」
⸻
⸻
「その重さを誰より理解しているのかもしれません。」
⸻
⸻
404 HOUSE
⸻
⸻
同じ頃。
⸻
⸻
リビングの机には、
404 Diaryが置かれていた。
⸻
⸻
誰かが書いた言葉。
⸻
誰かへ届けるための言葉。
⸻
⸻
ウォヌはまだ知らない。
⸻
⸻
この家で交わされている小さな言葉たちが、
自分が過去に失ったものとは違う形で、
少しずつ誰かとの距離を繋いでいることを。
⸻
⸻
【STAFF NOTE】
⸻
⸻
言葉は、
人を救うこともできる。
⸻
⸻
でも。
⸻
⸻
同じ言葉が、
誰かを傷つけることもある。
⸻
⸻
だからこそ。
⸻
⸻
本当に大切なのは、
何を言うかだけではなく。
⸻
⸻
誰に向けて、
どんな気持ちで届けるか。
⸻
⸻
ウォヌは今も、
その答えを探しながら、
言葉を書き続けている。
⸻
⸻
次回 Scene3
『ウォヌの秘密』
⸻
大切だった人との記憶。
⸻
作品になった過去。
⸻
そして。
⸻
言葉が誰かの人生を変えてしまった瞬間。
→
ノベルに戻る I
Addict