ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode38

『静かな時間』

― 一緒にいる理由は、いつも特別な出来事ではない。―

Day:Wednesday(共同生活38日目)



Scene7【UNSEEN】

『静かな理解』

Staff Camera



404 HOUSE。



深夜。



すべての部屋の明かりが、

少しずつ消えていく。





スタッフルーム。



今日の映像を確認するスタッフ。



画面には、

公園で過ごすチアキとウォヌの姿。





会話は多くない。



大きな笑顔が続くわけでもない。





でも。





二人の間には、

言葉にしなくても伝わる安心感があった。



チアキがふと視線を落とすと、

ウォヌもそれに気づいたように、

何も言わず少しだけ歩幅を合わせる。



その小さな気遣いに、

チアキの肩から力が抜ける。



ウォヌもまた、

隣にいる沈黙が気まずくないことに、

自分でも少し驚いていた。





スタッフインタビュー



スタッフ

「ウォヌさんは、今日の時間をどう感じましたか?」





ウォヌは少し考える。



視線が一度だけ下を向き、

指先が膝の上で小さく重なる。





「……不思議でした。」





「何がですか?」





少し間。





「何か話さなきゃって思わなかったこと。」





「昔は、人と一緒にいる時、相手にどう見られているかを気にしていた。」





「何を言うべきか。」



「どこまで近づいていいのか。」





「ずっと考えていた気がします。」





ウォヌは少し笑う。



その笑みは大きくない。



けれど、どこか肩の力が抜けたような、

静かなものだった。





「でも今日は。」





「沈黙が苦しくなかった。」





「隣にいて、何も言わなくてもいい時間があるんだって……」



一度言葉を切って、

ウォヌは小さく息を吐く。





「それが、少し嬉しかったです。」





スタッフ

「チアキさんだからですか?」





ウォヌは少し考える。



その間、視線はすぐには上がらない。



けれど迷っているというより、

確かめているようだった。





そして。





「……そうかもしれません。」





小さな答え。





でも。





迷いはなかった。





チアキ



スタッフ

「今日はどうでしたか?」





チアキは少し考える。



手元のカップを両手で包み、

温度を確かめるように指先を動かす。





「楽しかったです。」





「でも。」





少し言葉を探す。





「楽しいというより……。」





「落ち着きました。」





スタッフ

「ウォヌさんといる時間が?」





チアキは少し笑う。



その笑い方は控えめで、

けれど、どこか安心したようだった。





「はい。」





「無理に話さなくてもいい感じがしました。」





少し間。





「沈黙があっても、気まずくならないというか……。」



チアキはそこで一度だけ視線を落とし、

自分の言葉を確かめるように続ける。





「そういう人って、あまりいなかったので。」





その言葉に、

スタッフは静かに頷く。





スタッフNOTE



最初。



二人とも、

人との距離を慎重に測っていた。





ウォヌは、

傷つけることを恐れて。





チアキは、

迷惑をかけることを恐れて。





理由は違う。





でも。





「相手を大切にしたい」

という気持ちは、

どこか似ていた。





近づきすぎないことが、

優しさだと思っていた二人。





でも今。





少しだけ近づいても、

傷つけない関係があることを知り始めている。





言葉がなくても、

隣にいるだけで呼吸が整う。



相手がふと黙った時、

その沈黙を埋めようと焦るのではなく、

そっと受け止められる。



そんな時間が、

二人の間に少しずつ増えていた。





恋なのか。



友情なのか。



まだ分からない。





ただ。





「この人なら、少しだけ本当の自分を見せてもいい。」





そう思える相手がいること。





それは、

大きな変化だった。





Episode38 END



次回予告

Episode39『まだ知らない顔』

共同生活39日目。

少しずつ見えてくる、それぞれの過去。

でも――

まだ誰も知らない秘密が残っている。

そして、ある出来事をきっかけに、
11人の距離はまた少し変化していく。




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