ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode40

『完璧じゃなくても』

― ありのままの自分を受け入れる。―

Day:Friday(共同生活40日目)



Scene3

『ミンギュの秘密』

Friday|Staff Interview



静かなインタビュールーム。



スタッフカメラだけが、

ミンギュの表情を映している。



少し笑っている。



でも、

その笑顔はいつもより少しだけ力が入っていなかった。



スタッフが静かに尋ねる。



「ミンギュさんがROOM404に参加した理由は何ですか?」



ミンギュは少し考える。



そして、

ゆっくりと話し始めた。



「恋愛がしたかった…というより。」



「ちゃんと人と向き合える自分なのか知りたかったんです。」



少し笑う。



「恋愛って、完璧じゃできないじゃないですか。」



「失敗もするし。」



「弱いところも見せるし。」



「でも僕は、それがずっとできませんでした。」



スタッフは静かに頷く。



ミンギュは続ける。



「小さい頃から。」



「家族にも。」



「友達にも。」



『ミンギュならできる。』



『何でもできる。』



『頼りになる。』



そんなふうに言われて育ちました。



最初は、

本当に嬉しかった。



褒められること。



期待されること。



誰かに必要とされること。



全部、

自分の自信になっていました。



でも。



少しずつ、

その言葉の意味が変わっていった。



たとえば、

小学校の発表会で。



みんなの前で台詞を一つ飛ばしたことがありました。



その瞬間、

頭が真っ白になって。



笑われたわけじゃないのに、

自分だけがすごく恥ずかしくて、

顔が熱くなって、

帰り道もずっと下を向いていました。



家に帰ってから、

父に「次はちゃんとやれ」と言われて。



その一言が、

思っていた以上に胸に残ったんです。



失敗した自分は、

褒められる自分よりずっと小さく見えた。



中学の頃も、

テストで一度だけ満点を逃しただけで、

先生や親の期待が少し下がったような気がして、

すごく怖かった。



「できる自分」でいなければ、

価値がない。



そう思うようになった。



失敗すると、

自分が嫌になる。



期待に応えられないと、

自分には何も残らない気がした。



だから。



勉強も。



仕事も。



人間関係も。



全部、

「ちゃんとしなきゃ。」



そう思って生きてきた。



スタッフ。



「恋愛もですか?」



ミンギュは少しだけ苦笑する。



「はい。」



「恋愛も同じでした。」



「相手を楽しませなきゃ。」



「ちゃんとリードしなきゃ。」



「頼れる人でいなきゃ。」



そんなことばかり考えていました。



少し沈黙。



「でも。」



「恋愛って。」



「完璧な人を好きになるものじゃないんですよね。」



「頭では分かってるんです。」



「でも、自分はできなかった。」



「失敗した姿を見せたら。」



「嫌われると思っていました。」



だから。



恋をすること自体が、

少しずつ苦しくなった。



誰かを好きになる前に、

「ちゃんとしなきゃ。」



その気持ちの方が大きくなってしまった。



「気づいたら。」



「恋愛って疲れるなって思うようになっていました。」



「楽しいより先に。」



「ちゃんとできるかなって考えてしまう。」



スタッフは、

少し間を置いて尋ねる。



「ROOM404では何か変わりましたか?」



ミンギュは少し笑う。



昨日の夜。



チアキが言った言葉を思い出す。



『完璧じゃなくてもいいと思います。』



『もっと自分にも優しくしていいと思います。』



『もっと頼って下さい。私ばっかりミンギュさんに頼ってるの嫌です。』



自然に、

その言葉が浮かんだ。



「ここに来て。」



「初めて。」



「失敗しても。」



「離れていかない人がいるかもしれないって思いました。」



少し照れたように笑う。



「料理を失敗しても。」



「仕事で疲れてても。」



「そのままでいいって言ってくれる人がいる。」



「それって。」



「僕にとっては、すごく大きなことでした。」



スタッフ。



「今のミンギュさんは、40日前と比べてどうですか?」



ミンギュはゆっくり息を吐く。



「まだ。」



「完璧でいたい自分はいます。」



「でも。」



「完璧じゃない自分も。」



「少しだけ。」



「受け入れてみようかなって思えるようになりました。」



静かな笑顔。



その笑顔には、

以前のような無理は少しだけ減っていた。



【STAFF NOTE】



「何でもできる人。」



そう呼ばれ続けた人は、

いつの間にか、

「できない自分」を許せなくなっていた。



ROOM404で見つけたものは、

恋だけではない。



「失敗してもいい。」



「頼ってもいい。」



そんな当たり前の優しさだった。



そして、

その優しさは、

少しずつミンギュ自身を変え始めていた。



次回 Scene4

『404 HOUSEで』



「ちょっと失敗した。」



初めて自分から弱さを見せた日。



その一言に、

404 HOUSEのみんなは笑って答える。




ノベルに戻る I Addict