ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode40
『完璧じゃなくても』
― ありのままの自分を受け入れる。―
Day:Friday(共同生活40日目)
⸻
Scene6【UNSEEN】
『失敗しても』
Friday|Staff Interview
⸻
深夜。
⸻
404 HOUSE。
⸻
リビングの明かりは消え、
廊下だけが静かに照らされている。
⸻
それぞれが自分の部屋へ戻ったあと。
⸻
スタッフインタビュー。
⸻
今日最後のカメラが、
ミンギュの前に置かれる。
⸻
スタッフ。
⸻
「今日、チアキさんに『もっと自分にも優しくしていい』って言われてましたよね。」
⸻
ミンギュは少し照れたように笑う。
⸻
「はい。」
⸻
短く答える。
⸻
でも、
その表情は昼間よりずっと穏やかだった。
⸻
少し考えてから、
ゆっくり話し始める。
⸻
「正直、ああいうふうに言われると思ってなかったです。」
⸻
少し笑う。
⸻
「俺って、わりと人に頼られることは多いんですけど。」
⸻
「逆に、『頼っていいよ』って言われることはあまりなくて。」
⸻
スタッフは静かに頷く。
⸻
ミンギュは続ける。
⸻
「昔から、ちゃんとしなきゃって思ってました。」
⸻
「失敗したら、次に取り返せばいいっていうか。」
⸻
「そうやって自分に言い聞かせてきた感じです。」
⸻
少し間が空く。
⸻
「だから、今日みたいに。」
⸻
「『今日は百点』って言われた時は、ちょっとびっくりしました。」
⸻
スタッフ。
⸻
「どういうところが、ですか?」
⸻
ミンギュは少しだけ笑う。
⸻
「だって、自分では全然そう思ってなかったからです。」
⸻
「むしろ、まだ足りないなって思ってたので。」
⸻
少し視線を落とす。
⸻
今日のキッチン。
⸻
チアキの笑顔。
⸻
『今日はミンギュさんを甘やかす日にしましょう。』
⸻
その言葉が、
また頭に浮かぶ。
⸻
「でも、誰かに『それで十分だよ』って言ってもらえると。」
⸻
「こんなに気持ちが軽くなるんだなって思いました。」
⸻
スタッフ。
⸻
「ROOM404に来て、一番変わったことは何ですか?」
⸻
ミンギュは少しだけ考えてから答える。
⸻
「失敗しても、すぐに離れていく人ばかりじゃないって思えたことです。」
⸻
静かな声。
⸻
でも、
その一言には、
40日間積み重ねてきた時間が詰まっていた。
⸻
「料理を失敗しても。」
⸻
「疲れてても。」
⸻
「ちゃんと笑ってくれる人がいる。」
⸻
「そういうのって、思ってた以上に大きかったです。」
⸻
少し照れたように笑う。
⸻
「もちろん、急に全部変わるわけじゃないですけど。」
⸻
「明日もたぶん、ちゃんとしなきゃって思うと思います。」
⸻
スタッフも笑う。
⸻
ミンギュも笑う。
⸻
「でも、今日みたいに。」
⸻
「そのままでいいって言ってくれる人がいるなら。」
⸻
「少しずつでも、変われる気がします。」
⸻
その笑顔は、
共同生活が始まった頃のものとは違っていた。
⸻
「何でもできる人」の笑顔ではない。
⸻
「少しだけ肩の力を抜けた人」の笑顔だった。
⸻
スタッフルーム
⸻
モニターを見つめるスタッフ。
⸻
ディレクターが静かに言う。
⸻
「40日か。」
⸻
「やっと、頼られる側だった人が、頼ってもいいって思えたんだな。」
⸻
スタッフノート。
⸻
『完璧じゃなくてもいい。』
⸻
『その言葉を信じられるようになるまで、
この人は何年もかかった。』
⸻
『でも今は、
その言葉を受け止められる人たちが、
同じ家にいる。』
⸻
【STAFF NOTE】
⸻
人は、
誰かに変えてもらうわけじゃない。
⸻
けれど、
誰かにもらった言葉が、
長く閉じていた心の扉を、
そっと開くことがある。
⸻
「大丈夫。」
⸻
「そのままでいい。」
⸻
「頼って。」
⸻
何気ない一言が、
長い時間をかけて積み重なった思い込みを、
少しずつほどいていく。
⸻
共同生活40日目。
⸻
404 HOUSEは、
恋を探す場所から、
ありのままの自分でいられる場所へと、
静かに、でも確かに変わり始めていた。
⸻
そしてその変化は、
これから先もきっと、
誰かの背中をやさしく押していく。
⸻
Episode40 END
⸻
次回Scene7
『404 HOUSE』
いつものリビング。
⸻
誰かが笑う。
誰かが眠る。
⸻
40日目。
11人はもう「同居人」ではなくなっていた。
→
ノベルに戻る I
Addict