ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode5

『最初のミッション』

― 恋愛禁止なのに、一番近い距離 ―



Scene8

【UNSEEN】

『カメラが映していた、小さな変化』



※この映像は本編では放送されなかった。

固定カメラとスタッフカメラだけが記録していた「SECRET DINNER」の裏側。



UNSEEN @

午後5時58分 キッチン



料理が完成し、

各ペアが皿を運び始める。



チアキが大きなお皿を持ち上げようとした瞬間。



「それ、俺が持つよ。」

ミンギュが自然に手を伸ばす。



「大丈夫です。」



また、その言葉だった。



ミンギュは少し笑う。



「うん。」



「でも今日は俺に持たせて。」



チアキは一瞬だけ考え、

ふっと笑う。



「……じゃあ、お言葉に甘えます。」



「ありがとう。」



「こちらこそ。」



その「こちらこそ」は、

思わず口から出たようだった。



スタッフはそのやり取りを見て、

小さく目を合わせる。



今日は初めて、

チアキがすぐに「大丈夫です」と押し切らなかった。



UNSEEN A

午後6時46分 ダイニング



全員で食事中。



スニョンが大きく笑った拍子に、

テーブルの上の水差しが倒れそうになる。



チアキが反射的に手を伸ばす。



しかし、

その前にミンギュが受け止めていた。



「セーフ。」



「あぶなかった!」

スングァンが笑う。



「ナイス!」



チアキはミンギュを見る。



「ありがとうございます。」



「今日は何回目?」



ミンギュが冗談っぽく笑う。



「ありがとうって言われるの。」



チアキも笑う。



「たくさんです。」



「悪くないね。」



二人は小さく笑い合った。



UNSEEN B

午後7時32分 キッチン



食後の片付け。



洗い物をしながら、

ソヨンが小さな声でチアキに話しかける。



「チアキちゃん。」



「はい?」



「今日、すごく笑ってたね。」



チアキは少し照れる。



「そうですか?」



「うん。」



「特に料理してる時。」



チアキはスポンジを動かしながら笑う。



「皆さんが優しかったので。」



「ミンギュも?」



チアキは少しだけ動きを止める。



「……はい。」



「皆さん、です。」



ソヨンはそれ以上聞かなかった。



ただ、

優しく笑った。



UNSEEN C

午後8時11分 テラス



食後の自由時間。



ミンギュが一人で夜風に当たっている。



スタッフが近づく。



「今日、一番変化があったと思う人は?」



ミンギュは少し驚いたように笑う。



「変化?」



夜景へ視線を向ける。



しばらく考える。



「……チアキちゃん、かな。」



「どうしてですか?」



「料理中。」



「笑う回数が増えた気がして。」



「最初の頃より。」



「力が抜けた笑い方をしてた。」



スタッフは続けて尋ねる。



「それを見てどう思いました?」



ミンギュは少し照れくさそうに笑う。



「なんか……。」



「安心するなって思いました。」



数秒の沈黙。



「チアキちゃんが笑ってると。」



「この家も、いい空気になる気がして。」



スタッフは静かに頷く。



「それって、どういう意味だと思いますか?」



ミンギュは少し困ったように笑う。



「……分からないです。」



「本当に。」



「まだ、そういうのじゃないと思うし。」



「ただ。」



「笑っててほしいなって。」



「それだけです。」



本人は、

その言葉の意味をまだ知らない。



【STAFF NOTE(スタッフ日誌)】

共同生活5日目。



「SECRET DINNER」は、

恋愛を始めるための企画ではなかった。



料理を通して、

相手を知るための企画。



しかし、

料理にはその人の性格が表れる。



助けを求める人。



黙って支える人。



笑って場を和ませる人。



そして、

「大丈夫」と言いながら、

一人で抱え込む人。



スタッフが最も印象に残ったのは、

ミンギュの最後の言葉だった。



「笑っててほしい。」



それは、

「好き」という言葉よりも、

ずっと曖昧だった。



だからこそ、

本物だったのかもしれない。



恋愛禁止。



このルールは、

恋を止めるためにある。



けれど、

人が誰かを大切に思い始める気持ちまでは、

止めることはできない。



【視聴者コメント(放送後SNS)】

「『今日は俺に持たせて』が自然すぎてキュンとした。」

「ミンギュ、まだ恋してる自覚ゼロなのが逆にリアル。」

「チアキちゃん、少しずつ頼れるようになってるの泣ける。」

「ウォヌとソヨンの静かな空気感もすごく好き。」

「スンチョルとジウォン、仕事の相棒感がすごい(笑)。」

「この番組って恋愛だけじゃなくて、人との距離が縮まる過程を丁寧に描いてくれるから見入っちゃう。」



次回予告

大雨。

予定されていた外出企画は中止。

11人は一日中、404 HOUSEで過ごすことになる。

誰かが始めたカードゲーム。

雨音を聞きながら語られる昔話。

そして、初めて明かされるユナの過去。

誰にも見せなかった涙を前に、それぞれが静かに寄り添う。



Episode6

『雨の日の404 HOUSE』

― 雨は、人の心の音を少しだけ大きくする。




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