ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode41

『近づきすぎた距離』

― 一緒にいることが当たり前になるほど、気持ちは隠しにくくなる。―

Day:Saturday(共同生活41日目)



Scene5

『夜のリビング』

Saturday|21:30 PM



404 HOUSE。



夜。



写真を見終えたリビング。



テレビは消され、

部屋には穏やかな静けさが戻っていた。



その静けさは、

ただ落ち着いているだけじゃない。



一日を一緒に過ごした余韻と、

この時間が終わってほしくないという、

小さな願いまで包み込んでいるようだった。



誰かはソファに座り、

誰かは床にクッションを持ってくる。



飲み物を片手に、

思い思いの場所でくつろぐ11人。



今日一日歩き回った疲れはある。



でも、

その疲れさえ心地よかった。



この家で重ねた時間が、

少しずつ身体に馴染んでいる。



気づけば、

誰かの気配があることが当たり前になっていた。



Living Room



ジョンハンが、

ソファにもたれながらぽつりと呟く。



「最初はさ、こんなに笑うようになるなんて思ってなかった。」



みんなが自然と顔を向ける。



「今じゃ、こんなに笑ってるのが普通になってるけど。」



少しだけ笑う。



その笑みには、

懐かしさと、少しの寂しさが混じっていた。



その言葉に、

何人かが静かに頷いた。



スンチョルも笑う。



「ほんとにな。」



「最初はみんな、かなり様子見してたし。」



スニョンが笑いながら続ける。



「誰がどんな人か、全然わからなかったもん。」



「俺なんて、最初の一週間ずっとソワソワしてた。」



「え、意外。」



チェリンが驚く。



スニョンは照れ笑いする。



「意外って何(笑)」



「人見知りくらいするよ、最初だけは。」



リビングに笑いが広がる。



その笑い声は、

この家の壁に何度も反響してきた音だった。



けれど今は、

そのひとつひとつが少し愛おしくて、

いつか聞けなくなる日を、

ふと想像してしまうほどだった。



チェリン



チェリンが、

クッションを抱えながらぽつりと言う。



「私さ。」



少し照れたように笑う。



「この生活終わったら、生きていけないかも(笑)」



一瞬静かになる。



その言葉は冗談みたいなのに、

どこか本音の匂いがした。



そして。



「それはさすがに大げさ(笑)」



スングァンが笑う。



でも。



誰も、

「そんなことないよ。」

とは言わなかった。



みんな、

少しだけ同じことを思っていたから。



この毎日が、

思っていた以上に自分たちの中に根を張っていることを、

もう誰も否定できなかった。



ソヨンが静かに言う。



「毎日誰かがいる生活って。」



「思ってた以上に安心するんだね。」



ユナも頷く。



「一人暮らしに戻れるかな。」



「絶対、寂しくなる。」



その一言に、

誰かが小さく息をのむ。



まだ終わっていないはずなのに、

終わりの気配だけが、

少しずつ部屋の隅に滲みはじめていた。



チアキ



チアキは、

マグカップを両手で包みながら、

みんなの話を聞いていた。



そして、

少しだけ笑う。



「私も。」



みんなが顔を向ける。



「最初は、早く慣れなきゃって思ってた。」



「ちゃんとしなきゃって。」



「迷惑かけないようにって。」



少し間を置く。



「でも今は。」



「帰ってきて。」



「みんなとご飯食べて。」



「普通に笑ってる。」



照れたように笑う。



「そういうのが、一番好きかも。」



その言葉に、

誰もすぐ返事をしなかった。



静かな空気。



でも、

その沈黙は温かかった。



そして同時に、

この温かさがあるからこそ、

離れることを考えるのが少し怖くなる。



ミンギュ



ミンギュは、

チアキの言葉を聞きながら、

小さく笑う。



「チアキ。」



「ん?」



「最初、本当に静かだったよね。」



チアキは苦笑する。



「緊張してたから。」



「今は?」



チアキは周りを見渡す。



スングァン。



スニョン。



ジョンハン。



ウォヌ。



みんなの顔を見る。



その視線は、

ひとりひとりの存在を確かめるみたいにやわらかい。



「今は。」



少しだけ照れながら笑う。



「家族みたい。」



その言葉に、

リビングの空気が少しだけ止まる。



スングァンが笑う。



「それ言われると照れる(笑)」



スニョンも笑う。



「でも、わかる。」



スンチョルも静かに頷く。



「俺も。」



「そんな感じ。」



家族という言葉は、

この家で過ごした時間の重さを、

やさしく受け止めてしまう。



だからこそ、

誰も軽く笑い飛ばせなかった。



ウォヌ



ウォヌが、

静かに口を開く。



「家って。」



「建物じゃないんだね。」



誰も口を挟まない。



「誰がいるかなんだ。」



短い一言。



でも、

その言葉は、

リビング全体に静かに広がった。



ジョンハンが笑う。



「ウォヌがそんなこと言うようになるとはね。」



ウォヌも少しだけ笑う。



「自分でも思う。」



その笑みは穏やかだったけれど、

どこか遠くを見ているようでもあった。



この場所が特別になればなるほど、

いつかここを離れる日のことを、

誰もが少しずつ意識しはじめている。



Living Room



時計を見ると、

もう夜も遅い。



それでも、

誰も「もう寝よう」とは言わない。



この時間が、

少しでも長く続けばいい。



そんな空気が、

自然に流れていた。



窓の外には、

静かなソウルの夜景。



リビングには、

11人の笑顔。



41日前には、

想像もしなかった景色だった。



今では、

この景色を見慣れてしまったことさえ、

少しだけ切ない。



いつかこの灯りが消えても、

今日みたいに笑っていたことを、

きっと誰も忘れないだろう。



【STAFF NOTE】

共同生活41日目。



最初は、

「一緒に暮らす人」だった。



今は、

「帰れば会える人」になった。



恋愛だけではない。



友情だけでもない。



言葉ではまだ説明できない、

特別な関係。



その距離は、

毎日の「おかえり」と、

何気ない笑い声の中で、

少しずつ育っていた。



そして同時に、

その距離が近づくほど、

いつか訪れる別れの輪郭も、

ほんの少しずつ見えはじめている。



次回 Scene6【UNSEEN】

『気づけば、隣にいる』

深夜。



誰もいないリビング。



スタッフカメラだけが見つけた、

小さな優しさ。



本人たちもまだ、

気づいていない距離がそこにあった。




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