ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode42

『言葉より近く』

― 言葉にしなくても伝わるものがある。―

Day:Sunday(共同生活42日目)



Scene1

『少し遅い朝』

Sunday|10:00 AM

404 HOUSEの日曜日の朝。カーテンの隙間からやわらかな光がリビングに差し込み、昨日一日歩き回った疲れがまだ少しだけ残っていた。目覚ましに急かされる朝ではない。休日らしく、時間はゆっくり流れている。

Dining Room

朝食のテーブルには、トースト、スクランブルエッグ、サラダ、コーヒー。いつもより少し遅い朝食を、11人が囲んでいた。

スングァンがトーストをかじりながら、大きく伸びをする。
「昨日ほんと歩いたな……足まだ重い。」

スニョンもコーヒーを飲みながら笑う。
「わかる。階段上るのちょっとだるい。」

チェリンがサラダを取り分けながら言う。
「でも、ああいうのたまにはいいよね。ずっと家にいるより気分変わるし。」

ユナも頷く。
「うん。なんかちゃんと休日って感じした。」

誰かが「ジャム取って」と言い、別の誰かが「こっちのパン焼けてるよ」と返す。そんな小さなやり取りの合間に、昨日の思い出話が自然と始まった。

スングァンがふと思い出したように顔を上げる。
「そういえばさ、昨日スンチョルヒョンからちょっと聞いたんだけど。」

みんなが「ん?」と視線を向ける。
「何?」ジョンハンがコーヒーカップを持ったまま笑う。

スングァンはチアキを見る。
「チアキ、昨日ソンスでちょっとはぐれたんだって?」

「え?」チェリンとユナが同時に声を上げる。
「はぐれたの?」

チアキは苦笑して、手元のフォークをいじる。
「はぐれたっていうか……雑貨屋さん見てたら、気づいたら二人見えなくなってて。」

その言葉に、ミンギュは少しだけ眉を下げた。あの時のことを思い出したのか、ほんの一瞬だけ心配そうな顔になる。

スニョンが目を丸くする。
「ほんとに?」

スンチョルが苦笑しながら頷く。
「後ろ振り返ったら、もういなかった。」

ミンギュも笑いながら肩をすくめる。
「俺とスンチョルさん、一回戻ったんだよ。普通に名前呼びながら探してた。」

その時のことを思い返すように、ミンギュの視線がふっとチアキに向く。チアキはその目に気づいて、胸の奥が少しだけ熱くなった。

自分のせいで困らせたのに、それでも真っ先に探しに戻ってくれたことが、今さらのように嬉しかった。

ウォヌが少し驚いた顔をする。
「そんなことあったんだ。」

ジョンハンも笑う。
「全然気づかなかった。普通に楽しそうにしてたし。」

チアキは照れ笑いする。
「マグカップが可愛くて……ちょっと見てたら、つい。」

チェリンが吹き出す。
「理由がチアキらしい(笑)」

リビングに笑いが広がる。

スングァンがパンを置いて、少し身を乗り出す。
「でもさ、ミンギュ結構焦ってたってスンチョルヒョン言ってたよ。」

ミンギュは少し照れたように笑う。
「そりゃ焦るよ。急にいなくなるから。」

言いながらも、ミンギュの目はどこか真剣だった。あの瞬間、本当に見つからなかったらどうしようと胸がざわついていたことを、誰にも言わないまま。

スンチョルも頷く。
「見つけた時、ほんとにほっとした顔してた。」

チアキは少しだけ目を伏せる。
「……ごめん。」

その声は小さかったけれど、ミンギュにはちゃんと届いていた。

ミンギュはすぐ首を振る。
「謝らなくていいって。見つかってよかった、それだけ。」

短い言葉。でも、その時の安心した表情を思い出して、チアキは少しだけ微笑んだ。

ミンギュもまた、その小さな笑みに気づいていた。何でもないふりをしながら、互いに相手の顔を見てしまう。その視線が重なった一瞬、言葉にしなくても伝わるものがある気がして、チアキはそっと息をのむ。

スニョンがコーヒーを置きながら笑う。
「次からはちゃんと声かけてね。ほんとに。」

チアキも笑う。
「うん。今度はちゃんと言う。」

その返事に、ミンギュの表情が少しだけやわらぐ。
「今度もあるんだ(笑)」

スングァンの一言で、またリビングに笑い声が広がった。

【STAFF NOTE】

昨日の思い出は、特別な景色だけではない。少し道を間違えたこと。あとから笑い話になったこと。そして、誰かが当たり前のように探しに戻ってきたこと。

その何気ない出来事も、11人にとっては大切な思い出になっていた。

次回 Scene2

『自由時間』

休日の午後。
それぞれが思い思いの時間を過ごす。

何気ない「おかえり」が、昨日より少しだけ自然になっていた。




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