ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode42

『言葉より近く』

― 言葉にしなくても伝わるものがある。―

Day:Sunday(共同生活42日目)



Scene2

『自由時間』

Sunday|13:30 PM



404 HOUSE。



昼食を終えた午後。



窓の外には、

穏やかな日差し。



休日らしい、

ゆっくりとした時間が流れている。



スタッフから特に予定はない。



今日は、

それぞれ自由に過ごす日。



Living Room



ユナがバッグを肩に掛ける。



出かける前のわずかな高揚を隠しきれないように、

口元には自然と明るい笑みが浮かんでいた。



「ジウォン、そろそろ行こっか。」



ジウォンも頷く。



少しだけ名残惜しそうにリビングを見回してから、

やわらかく笑う。



「うん。」



チアキが二人を見る。



その表情は穏やかで、

でもどこか「楽しんできて」と背中を押すような優しさがあった。



「カフェ?」



ユナが笑う。



「そう。」



「仕事もちょっとしたいし。」



言いながらも、

本当はただ外の空気を吸いたいだけなのかもしれない。



ジウォンも笑う。



「でも半分はおしゃべりかな。」



その言葉に、

ユナは少し照れたように肩をすくめる。



チアキは微笑む。



「楽しんできて。」



その一言には、

何気ないようでいて、二人を見送るあたたかさがにじんでいた。



「行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



Entrance



少しして。



スングァンが帽子を被る。



いつもより少し軽い足取りで、

玄関へ向かう。



チェリンもスニーカーを履く。



「散歩してくる。」



「近所だけ。」



言いながらも、

どこか楽しそうで、口元には隠しきれない期待があった。



ジョンハンが笑う。



その笑いには、

二人の様子を見抜いているような、やさしいからかいが混じっている。



「食べ歩きするんでしょ。」



チェリンが笑う。



「バレた?」



少しだけ頬を赤くして、

でも否定しない。



スングァンも笑う。



「絶対なんか買う。」



その言い方に、

チェリンは悔しそうに眉を寄せるが、

すぐに吹き出してしまう。



リビングに笑い声が広がる。



その空気に、

誰もが自然と肩の力を抜いていた。



「行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



さらに少しして。



ジョンハンとスンチョルも、買い出しに出かける。



ジョンハンがエコバッグを手に取る。



スンチョルもメモを確認する。



「足りないもの、まとめて見てくる。」



「ついでに夕飯のことも考えようか。」



二人とも、いつも通りの落ち着いた足取りで玄関へ向かう。



「行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



Theater Room



ウォヌとソヨンは、

リビング横のホームシアタールームへ。



映画を一本観ることにした。



ソファへ並んで座る。



少し距離を空けて座ったはずなのに、

暗くなる部屋の中では、その距離さえも不思議と落ち着くものに感じられた。



会話は少ない。



でも、

その静けさが二人には心地よかった。



言葉を探さなくてもいい時間。



ただ隣にいるだけで、

互いの呼吸が少しずつ揃っていく。



「これ、前から気になってた。」



ソヨンが画面を見る。



その横顔には、

楽しみを隠しきれない小さな期待があった。



ウォヌが頷く。



「俺も。」



短い返事だったが、

その一言には「一緒に観られてよかった」という気持ちが静かに滲んでいた。



映画が始まる。



暗い画面を見つめながら、

二人はそれ以上何も言わない。



それでも、

沈黙の中にある安心感が、

いつもより少しだけ近い距離を教えていた。



Entrance



スニョンがスポーツバッグを持って降りてくる。



「ジム行ってくる。」



その声はいつも通り明るいのに、

どこか気合いを入れるような響きがあった。



リビングにいたチアキが顔を上げる。



「今日も?」



少し驚いたように聞き返すが、

その目にはちゃんと気遣いが宿っている。



「うん。」



「少し体動かしたくて。」



そう言うスニョンの表情は、

いつもより少しだけ真面目だった。



その時。



コンビニの袋を持ったミンギュが帰ってくる。



「ただいま。」



チアキは自然に振り向く。



その動きに迷いはなく、

まるでずっとそうしてきたみたいに、すぐに声が出た。



「おかえり。」



ほんの一言。



でも、

その言葉はもう迷いがなかった。



ミンギュは少し笑う。



その笑顔には、

帰ってきた安心と、迎えられた嬉しさが静かに混ざっている。



「ただいま。」



その笑顔を見ていたスングァンが、

小さく口元を緩める。



何も言わない。



でも、

その自然さが少し嬉しかった。



Living Room



スニョンがミンギュを見る。



「俺、今からジム。」



ミンギュが頷く。



「俺も行こうかな。」



そう言いながら、

視線はふとチアキへ向く。



「チアキも行く?」



チアキは少し考えてから笑う。



ほんの一瞬だけ迷ったのは、

行きたい気持ちと、少しだけ照れくさい気持ちが同時にあったからかもしれない。



「うん。」



「久しぶりに体動かしたい。」



その返事に、

自分でも少し驚いたように目を瞬かせる。



「じゃあ三人だ。」



スニョンが嬉しそうに言う。



その笑顔は、

誰かと一緒に行けることが素直に楽しい、そんな気持ちを隠していなかった。



玄関へ向かいながら、

ふと思い出したように振り返る。



「でもさ。」



チアキを見る。



いたずらっぽく笑うその顔には、

少しだけ甘えるような親しさがあった。



「迷子にならないでね!」



一瞬静かになる。



チアキがすぐに笑う。



「ならない!」



反射的に返した声には、

少しむっとしたような、でもどこか楽しそうな響きが混じっている。



ミンギュが苦笑する。



「目離したらいなくなるよ。」



その言い方はからかい半分なのに、

どこか本当に心配しているようでもあった。



チアキは頬をふくらませる。



「……ならないもん!」



その言い方が少し子どもっぽくて、

三人とも吹き出す。



スニョンが笑う。



「じゃあ今日はちゃんと見てる。」



その言葉に、

チアキは少しだけ目を丸くしてから、ふっと表情をゆるめる。



ミンギュも笑う。



「うん。」



「今日は迷子禁止。」



「もう!」



チアキも笑う。



その笑い声が、

休日の404 HOUSEにやさしく響いた。



【STAFF NOTE】

共同生活42日目。



「おかえり。」



その一言が、

もう特別ではなくなった。



自然に出る言葉。



自然に返る笑顔。



そして、

昨日の出来事を笑い話にできる距離。



その積み重ねが、

11人の毎日を少しずつ変えていた。



次回 Scene3

『夕食準備』

夕方。



キッチンに並ぶ二人。



「これ切っとくね。」



その何気ない一言が、

二人の距離の変化を静かに映していた。




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