ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode7

『404 HOUSE、初めての休日』

― 家の外で見える、新しい一面 ―



Sunday

共同生活 7日目



Scene2

『出発』



午前9時26分。

404 HOUSEの前に、一台の大型バンが到着する。

今日はメンバー全員でソウル郊外の自然公園へ向かう。



「忘れ物ない?」

スンチョルが声を掛ける。



「お菓子持った!」

スングァンがリュックを高く掲げる。



「遠足じゃないんだから。」

ジウォンが呆れたように笑う。



「遠足みたいなもんでしょ!」



その言葉に、みんなが笑う。



スタッフが声を掛ける。

「席は自由です。」

「好きな場所に座ってください。」



特に相談することもなく、

メンバーは自然と車へ乗り込んでいく。



車内

三列シートの大型バン。



一列目

運転席には番組スタッフ。

助手席には撮影スタッフ。



二列目

スンチョル、ジョンハン、ウォヌ。



「後ろの方が賑やかになりそうだから。」

スンチョルが笑う。



「静かな避難席ですね。」

ジョンハンが冗談を返す。



ウォヌは窓際に座り、

外の景色を眺めていた。



三列目

ユナ、ジウォン、チェリン。



「今日はいっぱい写真撮ろ。」

チェリンがスマホを取り出す。



「加工しなくても綺麗な景色だといいな。」



「まず加工前を見せて。」

ユナが笑う。



「ひどい!」



三人の笑い声が響く。



最後列

スニョン、スングァン、ソヨン。



「しりとりする?」

スングァンが突然言う。



「小学生?」

ソヨンが笑う。



「じゃあ英語しりとり!」



「難易度上げるな。」

スニョンがツッコミを入れる。



車内は出発前から賑やかだった。



その時。



「すみません、お待たせしました。」



チアキが小走りで車へ向かってくる。



白いスニーカーに、

淡いブルーのシャツワンピース。

肩から小さなカメラを下げていた。



「ごめんなさい。」



「日焼け止め塗り直してました。」



「全然大丈夫。」

ミンギュが笑う。



しかし。



車内を見回したチアキは少し困ったように立ち止まる。



「……あ。」



空いている席は一つだけ。



ミンギュの隣だった。



「どうぞ。」

ミンギュが少し身体を寄せる。



「ありがとうございます。」



チアキは軽く頭を下げ、

隣へ座る。



シートベルトを締める音。



「出発します。」

スタッフの声とともに、

車がゆっくり動き始めた。



最初の数分は、

誰もが窓の外を眺めていた。



雨上がりのソウル。

街路樹の葉が朝日に照らされ、

道路はまだ少し濡れている。



「晴れてよかったですね。」

チアキが窓の外を見ながら呟く。



「うん。」

ミンギュも頷く。



「昨日あれだけ降ったから心配だった。」



「私、晴れ女なんです。」



「ほんと?」



「たぶんです。」



少し照れながら笑うチアキ。



「じゃあ今日晴れたの、チアキちゃんのおかげ?」



「そんなことないですよ。」



二人の小さな笑い声。



その前の席では、

スンチョルが振り返る。



「チアキ。」



「はい?」



「CAって海外よく行くんだろ?」



「はい。」



「一番好きだった国ってどこ?」



チアキは少し考える。



「難しいですね……。」



「景色ならスイス。」



「街ならイタリア。」



「ご飯ならイギリス……は違いますね。」



「最後だけ信用できない。」

スングァンが後ろから即座に反応する。



車内が笑いに包まれる。



「イギリス料理、美味しいものもありますよ?」



「例えば?」

ジョンハンが興味深そうに聞く。



「フィッシュ&チップスとか。」



「あとシェパーズパイも好きです。」



「おしゃれ。」

チェリンが感心する。



「俺、フィッシュ&チップスしか知らない。」

スニョンが笑う。



「じゃあ今度チアキちゃんに作ってもらお。」



チアキは一瞬固まる。



「あ……。」



「実は料理、あまり得意じゃなくて。」



「そうだった!」

ソヨンが笑う。



「SECRET PROFILE!」



「普通に忘れてた。」

ミンギュも笑う。



「じゃあ俺が作る。」



「チアキちゃんは味見担当。」



「それならできます。」



また笑いが起こる。



車は高速道路へ入る。



話題は旅行、休日の過ごし方、好きな音楽へと移り変わっていく。



チアキは聞き役になることが多かった。



誰かが話すたび、

「そうなんですね。」

「素敵ですね。」

と穏やかに返す。



そして、

誰かが話し終える頃には、

自然と次の人へ話を振っていた。



その姿を、

ミンギュは横目で見ていた。



(会話を回すのが上手だな。)



自分が話すより、

相手が話しやすい空気を作っている。



昨日ユナが言っていた言葉を思い出す。



“チアキって、人のことばっかり見てる。”



(本当にそうかも。)



チアキは窓の外を見ている。



景色を見ているようで、

後ろで笑うスニョンたちにも、

前で話すジョンハンたちにも、

ちゃんと耳を傾けていた。



【スタッフカメラ・無音映像】

車内後方の固定カメラ。

会話は流れ続ける。



映像だけが、

ある事実を静かに記録していた。



ミンギュは、

窓の外を見るよりも、

チアキの方を見る時間が少しだけ長い。



チアキが笑うと、

つられて笑う。



チアキが話すと、

自然と顔を向ける。



本人は気付いていない。



ただ、

スタッフだけがその変化を、

モニター越しに見つめていた。



【STAFF NOTE】

Sunday|共同生活7日目

席は自由だった。

だからこそ、偶然には意味が生まれる。

隣に座った二人は特別な会話をしたわけではない。

それでも、一緒に景色を見て、同じタイミングで笑う。

そんな何気ない時間が、少しずつ「居心地の良さ」を育てていく。

恋はまだ始まっていない。

けれど、カメラは確かに、小さな変化を記録していた。



Episode7 Scene3

『それぞれの休日』

ソウル郊外の自然公園で、11人は思い思いの時間を過ごし始める。




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