ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode7

『404 HOUSE、初めての休日』

― 家の外で見える、新しい一面 ―



Sunday

共同生活 7日目



Scene4

『写真を撮る人』



午後0時18分。

雨上がりの自然公園は、昼の光に包まれていた。

木漏れ日が遊歩道を照らし、芝生では子どもたちが走り回っている。



写真組の三人は、園内をゆっくり歩いていた。

チアキは相変わらず、小さなカメラを片手に景色を切り取っていく。



「ソヨンさん、そのまま。」

カシャ。



「かわいいです。」



「え、本当?」

ソヨンが照れ笑いを浮かべる。



「見てください。」



カメラの液晶を覗き込むソヨン。



「わぁ……。」



「すごい。」



「私こんな自然に笑ってたんだ。」



「ソヨンさん、いつも優しい顔してますよ。」



「ありがとう。」



今度はミンギュが木にもたれかかる。



「ミンギュさんも一枚。」



「え、俺?」



「はい。」



カシャ。



「ちょっと待って。」



「確認させて。」



液晶を見るミンギュ。



「……。」



「これ、めちゃくちゃ盛れてない?」



「盛ってません。」

チアキが笑う。



「そのまま撮っただけです。」



「カメラマンの腕だ。」



「モデルです。」



「いやいや。」



三人が笑い合う。



その頃、少し離れた場所では──



「チェリン、そこ立って。」

ユナがスマホを構える。



「この角度?」



「もうちょい右。」



「いや、右すぎ!」



ジウォンが思わず笑う。



一方、芝生ではスニョンとスングァンがフリスビーを始めていた。



「取れー!」



「うわっ!」



フリスビーは大きく逸れ、近くを歩いていたスンチョルの足元へ。



「すみませーん!」



スンチョルは苦笑しながら拾い上げる。



「コントロール練習しろ。」



「はい!」



公園には穏やかな笑い声が響いていた。



花畑の前

チアキは立ち止まる。



目の前には、一面に咲く色とりどりの花。



「きれい……。」



思わず小さく呟く。



カメラを構え、

何枚もシャッターを切る。



花。

空。

木漏れ日。

笑うソヨン。

遠くで走るスニョンとスングァン。

ベンチで話すウォヌたち。



今日という一日を、

大切に残すように。



ミンギュはその姿を見ていた。



「チアキちゃん。」



「はい?」



「今日さ。」



「ずっと写真撮ってるよね。」



「好きなんです。」



「思い出が残るので。」



「うん。」



少し間が空く。



「でも。」



「チアキちゃん自身は一枚も写ってない。」



チアキはきょとんとする。



「……そうでしたっけ?」



「そう。」

ソヨンも頷く。



「私もいっぱい撮ってもらったのに。」



チアキは少し困ったように笑う。



「撮る方が好きなので。」



「でも。」

ミンギュは自然に手を差し出した。



「今日は残そう。」



「チアキちゃんも。」



「え?」



「せっかくの休日だから。」



「404 HOUSEのみんなと過ごした一日を。」



「チアキちゃんも、その中にいてほしい。」



その言葉に、

チアキは少しだけ目を見開く。



今まで旅行へ行っても、

仕事で海外へ行っても。



自分が写る写真は少なかった。



誰かを撮る方が好きだったから。



でも今日は。



「……お願いします。」



少し照れながらカメラをミンギュへ渡す。



「任せて。」



ミンギュはカメラを受け取る。



「じゃあ。」



「まずは普通に立って。」



チアキは花畑の前へ。



ぎこちなく笑う。



カシャ。



「固い。」



「えっ?」



「CAの笑顔になってる。」



チアキは思わず吹き出した。



「あっ……。」



「今!」



カシャ。



「その笑顔。」



「すごくいい。」



チアキはさらに照れて笑う。



「もう……。」



「笑わせないでください。」



「自然に笑った方がかわいい。」



ミンギュは何気なく言う。



その一言に、

ソヨンが少しだけ二人を見比べた。



何も言わない。



でも、

どこか空気が柔らかい。



「今度は三人で撮ろ!」

ソヨンが提案する。



「賛成!」



近くを歩いていたジョンハンへ声を掛ける。



「ジョンハンさん!」



「写真お願いできますか?」



「もちろん。」



三人は並ぶ。



チアキは真ん中。



「もっと寄って。」

ジョンハンが笑う。



「え、こんな感じですか?」

チアキが少しだけミンギュの方へ寄る。



「ソヨンももう少し。」



「はい!」



「いくよー。」



「3、2、1!」



カシャ。



その瞬間。



チアキは心から笑っていた。



飾らない笑顔。



作った笑顔ではなく、

この一週間で初めて見せるような、

安心しきった笑顔だった。



ジョンハンは写真を確認しながら微笑む。



「いい写真。」



「あとで送るね。」



「ありがとうございます。」

チアキは嬉しそうに頭を下げる。



少し離れた遊歩道。



ウォヌはその様子を静かに見つめていた。



ジョンハンが隣へ来る。



「見てた?」



ウォヌは短く頷く。



「チアキちゃん。」



「今日はちゃんと写真に残ったね。」



ウォヌは穏やかに答えた。



「……あの人は。」



「誰かの思い出には残しても。」



「自分は残らない人だから。」



ジョンハンはその言葉を聞き、

少しだけチアキの方を見る。



「だから今日の一枚は。」



「きっと大事になる。」



ウォヌは何も答えない。



ただ、

花畑で笑うチアキをもう一度だけ見つめた。



【STAFF NOTE】

Sunday|共同生活7日目

スタッフが映像を確認していて気付いたことがある。

チアキは、この日撮影された写真の約8割で「撮る側」にいた。

だからこそ、ミンギュの「チアキちゃんも入って」という一言は、小さな気遣い以上の意味を持っていたのかもしれない。

それは恋愛感情ではない。

「この人にも、今日という思い出を残してほしい。」

そんな、ごく自然な願いだった。



Episode7 Scene5

『芝生のランチ』

11人が一つのレジャーシートを囲み、「家族」のような時間が流れ始める。




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