Episode8

『それぞれの日常』

Scene5

『おかえり』

Monday|06:42 PM

404 HOUSE。

夕方の光がリビングに差し込む。

朝は静かだった家に、少しずつ生活音が戻ってくる。

冷蔵庫を開ける音。

洗面所から聞こえる水の音。

誰かが置いた鍵の音。

まだ全員が揃っているわけではない。

でも、

「誰かが帰ってくる場所」

になり始めていた。



06:45 PM

最初に帰宅したのは、チアキだった。

玄関のドアが開く。

「ただいま……。」

誰もいないと思っていた。

しかし、

キッチンから声がする。

「おかえり。」

振り向くと、ミンギュがいた。

仕事から戻ったばかりで、ネクタイを少し緩めながら水を飲んでいる。

「早かったね。」

「うん。今日は少し早く終わったから。」

チアキは小さく笑う。

「お疲れさま。」

「チアキも。」

その一言。

たったそれだけ。

でも、

朝から仕事をして帰ってきた体には、不思議と温かく感じた。



【Interview】

チアキ

「“おかえり”って言われるの……久しぶりだったかもしれません。」

少し照れたように笑う。

「一人暮らしが長いので。」

「家に帰っても、誰かがいるっていう感覚がまだ慣れなくて。」



07:10 PM

次に帰ってきたのはスングァン。

玄関を開けた瞬間。

「疲れたーー!」

リビングに声が響く。

するとキッチンから。

「声大きい。」

ウォヌの声。

スングァンが笑う。

「ウォヌさん、今日も静かですね。」

「普通。」

「普通の人は帰宅一言目で疲れたって叫ばないです。」

「……そうかも。」

その小さな会話。

以前ならただのメンバー同士のやり取りだった。

でも、

最近は少しずつ。

家族のような空気に変わっていた。



07:25 PM

ジョンハンが帰宅する。

玄関で靴を脱ぎながら、リビングを見る。

「みんな帰ってきてるんだ。」

「おかえり。」

チアキが自然に声をかける。

ジョンハンは一瞬だけ目を細める。

「……ありがとう。」

たった一言。

でも、

彼にとっては少し特別だった。

普段、誰かの話を聞く側にいることが多い。

誰かに気遣われることは、意外と少なかった。



【UNSEEN】

Monday|07:30 PM

放送では流れなかった小さな場面。

ジョンハンが冷蔵庫を開ける。

中を見る。

「……野菜、少なくなってる。」

誰に言うでもなく呟く。

すると、

「明日買いに行こうと思ってました。」

チアキが答える。

「気付いたんだ。」

「みんな使うから。」

ジョンハンは少し笑う。

「そういうところ、本当に変わらないね。」

「え?」

「周りを見るところ。」

チアキは少し困ったように笑った。

「普通ですよ。」

「そう思ってる人ほど、珍しいです。」

短い会話。

だけど、

ジョンハンの中に残った。



07:50 PM

スンチョルが帰宅。

玄関を開ける。

「ただいま。」

すると、

「おかえり。」

今度は全員から声が返ってくる。

一瞬。

スンチョルの表情が柔らかくなる。

「……なんか慣れてきたね。」

スングァンが笑う。

「何がですか?」

「この感じ。」

リビングを見る。

「最初は知らない人しかいなかったのに。」



08:05 PM

最後に帰宅したのはスニョン。

ドアを開けた瞬間。

「ただいま!」

いつもの明るい声。

すると、

「おかえり。」

また同じ言葉。

スニョンは笑う。

「なんかいいですね、これ。」

「何が?」

「帰ってきた感じする。」



【STAFF NOTE】

共同生活開始から約1ヶ月。

スタッフが記録していた変化。

最初の頃。

「ただいま」

という言葉は、

誰もいない空間に向けた独り言だった。

今は違う。

誰かが返事をする。

名前を呼ばなくても、

そこにいる人が反応する。

恋愛とは違う。

でも、

人と人の距離が近づく瞬間だった。



08:20 PM

リビング。

仕事着から部屋着に変わった11人。

それぞれ違う一日を終えて、

同じ場所に戻ってくる。

誰かがテレビをつける。

誰かがお茶を淹れる。

誰かが笑う。

特別な出来事はない。

でも、

その何気ない時間こそ。

404 HOUSEでしか作れない時間だった。



次回 Scene6

『夜ごはん』

帰宅時間が違う404 HOUSE。

自然に生まれる少人数の食卓。

チアキとミンギュ。

ウォヌとジョンハン。

女性陣だけの時間。

同じ夜でも、

それぞれ違う距離感が生まれていく。




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