Episode8

『それぞれの日常』

Scene9

【UNSEEN】

Monday|11:58 PM

放送では流れなかった夜。

404 HOUSE。

ほとんどの部屋の明かりが消えている。

一日の終わり。

明日のために眠る時間。



Living Room

リビングだけ、小さな明かりがついていた。

テーブルの上。

ノート。

英語の教材。

ペン。

そして、温かい紅茶。



チアキは一人で英語の勉強をしていた。

仕事で英語を使うことは多い。

でも、

「話せる」と「自然に会話できる」は違う。

もっと相手の気持ちを理解できるようになりたい。

もっと自分の言葉で伝えられるようになりたい。

そう思って、毎日少しずつ続けていた。



小さな声で英文を読む。

「I think…」

一度止まる。

ノートに書き直す。



「……難しい。」

小さく呟いて笑う。



その時。

階段を降りる音。



「まだ起きてたんですね。」



振り向くと、

ジョンハンが立っていた。

部屋着姿。

眠そうな表情。



「すみません、起こしましたか?」

チアキがすぐに立ち上がる。



「いや、大丈夫です。」

ジョンハンは少し笑う。

「チアキちゃん、いつも謝りますね。」



「え?」



「何かあるとすぐ“すみません”って言うから。」



チアキは少し考える。

「……そうですか?」



「はい。」



ジョンハンは向かいの椅子に座る。



「勉強してたんですか?」



「はい。英語です。」



「仕事で使うんですよね。」



「はい。でも、もっと自然に話せるようになりたくて。」



ジョンハンはノートを見る。

綺麗な字。

細かく書かれたメモ。



「すごいですね。」



「そんなことないです。」



すぐに否定する。



ジョンハンは少し笑う。



「そこもですね。」



「?」



「褒められると、すぐ否定するところ。」



チアキは少し困った顔になる。



「……癖かもしれません。」



「そういう人、多いです。」



「ジョンハンさんもですか?」



一瞬。

ジョンハンが黙る。



「僕ですか?」



「はい。」



「……僕は、人のことは分かるんですけど。」



少し笑う。



「自分のことになると難しいですね。」



チアキも少し笑う。



「なんとなく分かります。」



「分かりますか?」



「はい。」



「ジョンハンさんって、みんなのこと見ているじゃないですか。」



ジョンハンが少し驚く。



「僕が?」



「はい。」



「でも、自分のことは後回しにしている気がします。」



数秒の沈黙。



ジョンハンは、少しだけ目を逸らした。



普段。

人の変化には気付く。

表情。

声。

仕草。

でも、

自分を見てくれる人がいるとは思っていなかった。



「……チアキちゃんもですよ。」



「え?」



「周りを見るところ。」



チアキは笑う。



「普通ですよ。」



「たぶん。」



ジョンハンも笑う。



「そう言うところです。」



時計を見る。



12:08 AM



「もう寝た方がいいですよ。」

ジョンハンが言う。



「ジョンハンさんもです。」



「僕は少し水を飲みに来ただけなので。」



「私も少しだけです。」



二人とも同じような言い訳をする。



少し笑う。



「おやすみなさい。」



「おやすみなさい。」



ジョンハンは階段を上がっていく。



チアキはもう一度ノートを見る。

さっきまで難しく感じていた文章。

でも、

なぜか少し気持ちが軽くなっていた。



【UNSEEN Interview】

ジョンハン

「チアキちゃんは、人のことをよく見ています。」



少し考える。



「でも、自分が見られていることには慣れていない気がします。」



「優しい人ほど、自分のことを後回しにすることがありますから。」



【UNSEEN Interview】

チアキ

「ジョンハンさんは、話しやすいです。」



「静かな時間でも気まずくないというか。」



少し笑う。



「まだ8日目なので、もちろん全部分かるわけじゃないですけど。」



「もっと色んな人のこと知りたいなと思いました。」



【STAFF NOTE】

共同生活8日目。

この10分間に、

特別な言葉はなかった。

好意を伝えたわけでもない。

ただ、

お互いが少しだけ自分の内側を見せた時間。



恋は、

いつ始まったのか分からないことが多い。

でもその前には必ず、

「この人には少し話してもいいかもしれない」

と思う瞬間がある。



404 HOUSEの8日目。

その小さな瞬間が、

静かに記録された。



Episode8 END

次回予告

Episode9

『本当の気持ち』

あるメンバーの仕事現場に密着。

そして404 HOUSEに届く、新たなミッション。




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