ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode10

『言葉にできない距離』

― 名前のない気持ちが、少しずつ形になる ―



Scene6

『スングァンの時間』

Wednesday|09:00 PM



404 HOUSE。



ミッション開始から1時間。



それぞれのペアが、

普段とは違う会話をしている。



リビングの一角。



スングァンとチアキ。



二人の時間。



いつものように、

スングァンが話題を作る。



「チアキちゃんって、質問する側でもすごく考えますよね。」



「え?」



「相手が答えやすいように待ってくれる。」



チアキは少し笑う。



「そうですか?」



「はい。」



「スングァンさんも、話しやすいです。」



「本当ですか?」



「はい。」



「僕、うるさくないですか?」



「そんなことないです。」



チアキは少し考える。



「スングァンさんは……。」



「人を楽しい気持ちにするのが上手だと思います。」





スングァンは笑う。



「ありがとうございます。」



でも、

その後。

少しだけ表情が変わる。



「でも。」



「?」



「たまに疲れます。」





チアキは黙って聞く。





「明るいって言われるのは嬉しいんです。」



「本当に。」



「でも、いつも明るくいないといけないのかなって思う時もあります。」





スングァンらしくない弱音。



でも、

今日はミッションの日。



相手の知らない一面を見つける日。



チアキは急かさず待つ。





「昔からそうだったんですか?」





「昔は違いました。」



スングァンは少し笑う。



「今よりもっと静かでした。」



「え?」



「本当です。」



「人前で話すことも苦手でした。」





「でも、人を笑わせることができた時。」



「誰かが楽しそうにしてくれた時。」



「自分にも価値がある気がしたんです。」





チアキは静かに聞く。





「だから、今も癖みたいになっています。」



「誰かが暗い顔をしていると、明るくしなきゃって思う。」





少し沈黙。





「でも。」



チアキが言う。



「スングァンさん。」



「はい。」



「明るくしなくても、一緒にいて楽しい人だと思います。」





スングァン。

少し驚く。





「……。」



「そういうこと言われたこと、あまりないです。」





「本当ですか?」



「はい。」



「いつも“面白い”とか“元気”とか。」



「でも。」



少し笑う。



「“そのままでいい”って言われることは少なかったです。」





チアキは微笑む。



「私はそう思います。」





その言葉は、

大きな励ましではなかった。



でも、

スングァンには十分だった。





【Interview】

スングァン

「不思議でした。」



「チアキちゃんとは、まだ10日しか一緒にいないのに。」



「変に頑張らなくてもいい気がしました。」





「僕のことを笑わせようとしているんじゃなくて。」



「ちゃんと聞いてくれている感じがしました。」





Living Room

09:40 PM



ミッション終了まで残り時間。



スングァンが質問カードを見る。



「最後の一言ですね。」





ルール。



相手に伝える一言。





スングァンは少し考える。



「……。」





「チアキちゃん。」



「はい。」



「いつも周りを見ているけど。」



「たまには、自分が甘えてもいいと思います。」





チアキ。

少し目を丸くする。



それは、

昨日ミンギュから言われた言葉と似ていた。





「私、そんなに分かりやすいですか?」



二人で笑う。





「たぶん。」



スングァンも笑う。



「でも、それがチアキちゃんのいいところだと思います。」





【STAFF NOTE】

共同生活10日目。



いつも笑顔の人。

いつも周りを楽しませる人。



その人にも、

誰かに見てほしい部分がある。



スングァンが見せたのは、

明るさの裏側。



そしてチアキが見せたのは、

相手の弱さを受け止める優しさ。





まだ恋ではない。



でも、

「この人には、本当のことを話してもいいかもしれない」



そう思える相手がいること。



それは、

人との距離が変わり始めた証だった。



次回 Scene7

『404 Diary』

Wednesday|10:00 PM



水曜日の夜。



📖 404 Diary

テーマ:

「今日、伝えたいけど直接言えないこと」



名前のない言葉が、

また誰かの元へ届く。




ノベルに戻る I Addict