ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode12

『近づくほど、見えなくなるもの』

― 相手の”当たり前”を生きてみる ―

Friday

テーマ

人は、相手の生活を体験して初めて、本当の大変さや優しさに気づく。



Scene1

『昨日の余韻』

Friday|07:30 AM



共同生活12日目。



404 HOUSE。



窓から差し込む朝の光。



キッチンではコーヒーが淹れられ、

トースターの音が静かに響いている。



昨日のSECRET ROOM。



誰もが、自分の過去を少しだけ開いた夜。



朝を迎えた404 HOUSEには、

昨日までとは少し違う空気が流れていた。



気まずさではない。



遠慮でもない。



相手を少しだけ知ったからこその、

穏やかな空気。



Dining Room



チアキはマグカップを二つ手に取る。



一つは自分の分。



もう一つには、

ブラックコーヒーを注ぐ。



リビングで本を開いていたウォヌの前へ歩いていく。



「ウォヌさん。」



ウォヌが顔を上げる。



「コーヒー、どうぞ。」



「あ……ありがとうございます。」



ウォヌは少し驚いたように笑う。



「ブラックで大丈夫でしたよね?」



「覚えていてくれたんですか?」



チアキは少し照れたように微笑む。



「前に飲んでいたのを見たので。」



ウォヌはカップを受け取り、

小さく「ありがとうございます」ともう一度言った。



派手な出来事ではない。



でも、

相手の「いつも」を覚えていること。



それは、

共同生活の中で生まれた小さな変化だった。



Kitchen



ソヨンが朝食の準備をしている。



サラダを盛り付け、

味噌汁をよそう。



その隣へ、

スンチョルが自然と立つ。



「ソヨンさん。」



「はい?」



「昨日は、話してくれてありがとうございました。」



ソヨンは少し驚き、

それから柔らかく笑った。



「こちらこそ、聞いてくださってありがとうございました。」



スンチョルは頷く。



「『嫌って言うのが苦手』って言葉が、ずっと頭に残っていて。」



少し間を置く。



「無理しすぎないでください。」



ソヨンは照れたように笑いながら答える。



「はい。でも、無理しそうになったら、その時は止めてくださいね。」



「もちろんです。」



そのやり取りを見ていたスングァンが、

思わず口を開く。



「なんか今日の404 HOUSE、優しさが二割増しじゃないですか?」



みんなが笑う。



「昨日いっぱい泣きそうになったからですかね。」

とチェリン。



「スングァンさんは泣いてないじゃないですか。」

とスニョンが笑う。



「心の中では泣いてました!」



リビングに笑い声が広がる。



昨日までなら、

その笑いで終わっていた。



でも今日は、

誰も「いつものスングァン」だけを見ていなかった。



一人の時間が好きなこと。



明るくいる理由。



それを知った上で交わす笑顔は、

少しだけ温かかった。



Entrance



仕事へ向かう時間。



「行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



当たり前になり始めた挨拶。



チアキは制服姿で玄関に立つ。



ミンギュも鞄を肩に掛けながら靴を履く。



「チアキちゃん、今日もフライトですか?」



「はい。夕方には戻ります。」



「気を付けてください。」



「ありがとうございます。ミンギュさんも、お仕事頑張ってください。」



二人は軽く会釈を交わし、

ほぼ同じタイミングで玄関を出る。



朝の空気。



住宅街を吹き抜ける風。



少しだけ並んで歩く二人。



会話は多くない。



それでも、

沈黙は気まずくなかった。



「今日は天気いいですね。」



チアキが空を見上げる。



「ですね。」



ミンギュも空を見る。



「チアキちゃん。」



「はい?」



「昨日のSECRET ROOM。」



少しだけ言葉を探す。



「話してくれて、ありがとうございました。」



チアキは少し驚いたようにミンギュを見る。



「私は……聞いていただけですよ。」



「それでもです。」



「ちゃんと聞いてくれる人がいるだけで、話しやすくなることってありますから。」



チアキは照れたように笑った。



「そうだったら、嬉しいです。」



駅へ向かう途中で道が分かれる。



「じゃあ、行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



二人はそれぞれの一日へ向かって歩き出した。



【STAFF NOTE】

共同生活12日目。



昨日のSECRET ROOMで変わったのは、

「過去を知ったこと」だけではない。



相手の好きな飲み物を覚えること。



「ありがとう」を素直に伝えること。



無理をしていないか気に掛けること。



小さな変化は、

恋愛よりも先に「信頼」を育てていく。



そして今日。



11人は、

相手の”当たり前”を体験する一日を迎える。



知らなかった優しさ。



気づかなかった苦労。



その一日が、

また少し404 HOUSEの距離を縮めていく。



次回 Scene2

『新たなミッション』

Friday|06:30 PM



仕事を終えて戻ったリビングに、

一通の封筒が届いていた。



SPECIAL MISSION

「相手の”当たり前”を、一日だけ自分が代わりにやってみてください。」






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