ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode12

『近づくほど、見えなくなるもの』

― 相手の”当たり前”を生きてみる ―

Friday

テーマ

人は、相手の生活を体験して初めて、本当の大変さや優しさに気づく。



Scene4

『チアキ × ソヨン』

Friday|07:00 PM



夕食の準備が始まる頃。



チアキとソヨンは、

スタッフから渡されたミッションカードを手にキッチンへ向かった。



カードには書かれている。



MISSION

前半(07:00 PM〜08:00 PM)

チアキがソヨンの”当たり前”を体験してください。



普段ソヨンが自然に続けている役割を、

一時間代わりに担当してください。



ソヨンは見守ることだけに集中してください。



「よろしくお願いします。」



「こちらこそ、よろしくお願いします。」



ソヨンは少し後ろへ下がり、

チアキの様子を見守る。



チアキはキッチンを見回した。



シンクには昼に使った食器。



洗濯機からは終了音。



ダイニングテーブルには、

読み終えた雑誌が数冊置かれている。



「まずは……。」



チアキは洗濯物を取り出した。



一枚ずつ丁寧にしわを伸ばし、

庭へ干していく。



「チアキちゃん、慣れてますね。」



リビングからスニョンが声を掛ける。



「実家でもよく手伝っていたので。」



「洗濯物を干すの、結構好きなんです。」



穏やかに笑いながら、

最後の一枚を干し終えた。



続いて、

シンクへ向かう。



食器を洗い、

水滴を拭き取り、

元の場所へ戻していく。



ミンギュがその様子を見て足を止めた。



「チアキちゃん。」



「はい?」



「ソヨンさんって、本当にいつの間にか全部終わらせてますよね。」



チアキは頷いた。



「やってみて初めて気付きました。」



「一つ一つは小さなことなんです。」



「でも、その小さなことが積み重なって、みんなが気持ちよく過ごせるんですね。」



ソヨンは少し照れながら笑った。



「そう言ってもらえるだけで嬉しいです。」



やがて一時間が過ぎ、

スタッフから交代の合図が入る。



MISSION

後半(08:00 PM〜09:00 PM)

ソヨンがチアキの”当たり前”を体験してください。



普段チアキが自然に行っていることを、

一時間体験してください。



チアキは見守ることに徹してください。



ソヨンはカードを読み、

少し首をかしげる。



「チアキちゃんの”当たり前”って……何だろう。」



チアキも少し考えてから笑った。



「私も分からないです。」



その時、

ジョンハンが穏やかに口を開く。



「僕は一つ思い当たります。」



みんながジョンハンを見る。



「チアキちゃんって。」



「誰かが何かを言う前に、気付くことが多いですよね。」



「困っている人にも自然に声を掛けるし。」



「相手が話しやすいように聞いている印象があります。」



ミンギュもすぐに頷いた。



「分かります。」



「今日も帰ってきた時、一番最初にスングァンさんの変化に気付いてましたし。」



ウォヌも静かに続ける。



「相手をよく見ています。」



「だから安心するんだと思います。」



ソヨンは小さく頷いた。



「じゃあ今日は。」



「みんなをよく見ることを意識してみます。」



それからソヨンは、

いつものように家事へ向かうのではなく、

リビングでみんなと過ごした。



チェリンが少し寒そうに腕をさすると、

すぐにブランケットを差し出す。



「ありがとう。」



「チアキちゃんだったら、きっと先に気付くと思って。」



ソヨンは照れ笑いを浮かべた。



少し後。



スングァンが空になったコップを見つめていることに気付き、

「お茶淹れますね。」と自然に声を掛ける。



「え、ありがとうございます。」



スングァンは嬉しそうに笑う。



少し離れた場所で、

チアキはその様子を見守っていた。



ソヨンと目が合う。



「どうですか?」



チアキが尋ねる。



ソヨンは少し考えてから答えた。



「難しかったです。」



「家事は終わりがあります。」



「でも、人を見ることには終わりがないんですね。」



「誰かが何を考えているのか。」



「疲れていないか。」



「ちゃんと笑えているか。」



「自然に気に掛け続けるのって、すごく優しいことなんだなって思いました。」



チアキは少し照れたように笑う。



「私はただ……。」



「みんなに心地よく過ごしてほしいだけなんです。」



ソヨンは優しく微笑む。



「私も家事をする理由は同じです。」



「みんなに気持ちよく過ごしてほしい。」



二人は顔を見合わせ、

自然と笑い合った。



違う”当たり前”を持つ二人。



けれど、

その根っこにある優しさは、

よく似ていた。



【STAFF NOTE】

ソヨンは、

家を整えることでみんなを支えていた。



チアキは、

人の気持ちに気付くことでみんなを支えていた。



方法は違う。



それでも、

二人が目指しているものは同じだった。



「404 HOUSEのみんなが、安心して過ごせる場所をつくること。」



今日のミッションは、

相手だけではなく、

自分自身の優しさにも気付く時間になっていた。



次回 Scene5

『ミンギュ × ウォヌ』

Friday|07:30 PM



静かな時間を過ごすウォヌ。



みんなへ自然に声を掛けるミンギュ。



正反対に見える二人が、

互いの”当たり前”を体験する。




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