ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode12
『近づくほど、見えなくなるもの』
― 相手の”当たり前”を生きてみる ―
Friday
テーマ
人は、相手の生活を体験して初めて、本当の大変さや優しさに気づく。
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Scene5
『ミンギュ × ウォヌ』
Friday|07:30 PM
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リビング。
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ソファの上には数冊の小説。
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ノートパソコン。
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万年筆。
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ウォヌが普段使っている道具が静かに並んでいる。
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ミッションカードには、
こう書かれていた。
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MISSION
ウォヌの”当たり前”を体験してください。
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一時間、静かな時間を過ごしてください。
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その間、必要以上に会話をせず、自分と向き合ってみましょう。
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「一時間……。」
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ミンギュが苦笑する。
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「思っていたより難しそうですね。」
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ウォヌは小さく笑った。
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「無理に何かを考えなくても大丈夫です。」
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「静かな時間を過ごすだけで十分ですよ。」
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「分かりました。」
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ミンギュは本を一冊手に取り、
ウォヌの向かいに腰を下ろした。
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リビングには、
ページをめくる音だけが響く。
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時計の秒針。
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外から聞こえる虫の声。
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キッチンから漂う夕食の香り。
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普段なら、
誰かに話しかけている時間。
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それでも今日は、
ミンギュは何も話さない。
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本を閉じる。
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窓の外を見る。
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また本を開く。
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そんな時間がゆっくり流れていく。
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二十分ほど経った頃。
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ミンギュは小さく息をついた。
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「……。」
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言葉は出ない。
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でも、
退屈ではなかった。
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むしろ、
心が少し落ち着いていることに気付く。
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ウォヌは原稿を書き続けている。
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時々考え込み、
またペンを動かす。
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その姿を見ながら、
ミンギュは思った。
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(静かにしているんじゃない。)
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(ちゃんと考えている時間なんだ。)
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一時間後。
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スタッフから終了の合図が入る。
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「お疲れさまでした。」
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ミンギュは大きく伸びをした。
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「思っていたより、あっという間でした。」
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ウォヌが微笑む。
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「どうでしたか?」
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ミンギュは少し考える。
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「最初は沈黙が長く感じました。」
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「でも途中から……。」
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「何も話さなくても、落ち着く時間ってあるんだなって思いました。」
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ウォヌは静かに頷く。
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「僕は逆に、ミンギュさんの”当たり前”をやってみます。」
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今度は役割が入れ替わる。
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MISSION
ミンギュの”当たり前”を体験してください。
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一時間、家の中で積極的にメンバーへ声を掛けてください。
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ウォヌは少し困ったように笑う。
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「これは……難しいですね。」
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「無理しなくてもいいですよ。」
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「いえ。」
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「今日は体験する日なので。」
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ウォヌは立ち上がる。
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ちょうどキッチンでは、
チアキとソヨンが夕食の準備を終えていた。
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ウォヌは少し緊張した様子で二人に近づく。
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「チアキさん。」
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「はい?」
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「何か手伝えることはありますか?」
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チアキは少し驚いたあと、
柔らかく笑った。
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「ありがとうございます。」
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「じゃあ、お箸を並べてもらってもいいですか?」
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「もちろんです。」
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ウォヌは人数分のお箸を丁寧に並べていく。
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続いてリビングでは、
スングァンとスニョンが話していた。
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ウォヌは少し迷いながらも歩み寄る。
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「何の話をしているんですか?」
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「おっ!」
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スングァンが目を丸くする。
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「ウォヌさんから話しかけてきた!」
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スニョンも笑う。
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「今日は珍しいですね。」
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ウォヌは少し照れながら答える。
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「ミッションなので。」
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三人は自然と笑い合う。
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その様子を少し離れた場所から見ていたミンギュも、
思わず笑顔になった。
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夕食の準備が整い、
みんながダイニングへ集まる。
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ウォヌは席に着く前、
ミンギュの方を見て言った。
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「これ、毎日自然にやっているんですね。」
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「はい?」
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「みんなに話しかけることです。」
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ミンギュは少し照れたように笑う。
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「好きだからやってるだけですよ。」
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ウォヌは首を横に振る。
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「好きだけでは続きません。」
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「誰かが話しやすい空気を作るって、思っていたより難しかったです。」
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その言葉に、
ミンギュは少し驚いた表情を見せた。
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「そんなふうに考えたこと、なかったです。」
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「だから”当たり前”なんですね。」
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ウォヌは穏やかに微笑んだ。
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二人は顔を見合わせ、
静かに笑い合う。
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【STAFF NOTE】
静かな人は、
何も考えていないわけではない。
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明るい人は、
何も悩んでいないわけでもない。
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一時間だけ、
相手の”当たり前”を生きてみる。
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その体験は、
今まで抱いていた印象を少しずつ塗り替えていく。
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ミンギュは、
静けさの心地よさを知った。
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ウォヌは、
誰かに声を掛け続ける優しさの難しさを知った。
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互いの世界に一歩踏み込んだ二人の距離は、
また少しだけ近づいていた。
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次回 Scene6
『スンチョル × ジウォン』
Friday|08:00 PM
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仕事を優先するジウォン。
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みんなをまとめるスンチョル。
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似ているようで違う二人が、
互いの”当たり前”と向き合う夜が始まる。
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