ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode12

『近づくほど、見えなくなるもの』

― 相手の”当たり前”を生きてみる ―

Friday

テーマ

人は、相手の生活を体験して初めて、本当の大変さや優しさに気づく。



Scene6

『スンチョル × ジウォン』

Friday|08:00 PM



夕食の準備が整い、

リビングではまだミッションが続いていた。



スンチョルとジウォンは、

ダイニングテーブルに向かい合って座る。



テーブルの上には、

スタッフから渡されたミッションカード。



MISSION

ジウォンの”当たり前”を体験してください。



今日これから一時間、自分のことは自分で決めてください。

誰かの様子を気にして先回りしたり、まとめ役になったりしてはいけません。



スンチョルは思わず苦笑した。



「……これが一番難しいかもしれません。」



ジウォンがくすっと笑う。



「もう気になってますよね?」



その視線の先では、

スングァンがコップを運び、

チアキとソヨンが料理を並べている。



スンチョルは立ち上がりかける。



「あ、手伝──」



「ダメです。」



ジウォンが笑いながら制する。



「今日は見守るだけ。」



「……はい。」



座り直すスンチョル。



「いつも無意識なんですね。」



「そういうことです。」



ジウォンは静かに答えた。



「誰かが困っていると放っておけない。」



「それがスンチョルさんの”当たり前”です。」



スンチョルは少し照れくさそうに笑った。



「自覚はなかったです。」



「みんなが自然に動けるようにしたいだけなので。」





続いて、

役割が入れ替わる。



MISSION

スンチョルの”当たり前”を体験してください。



今日これから一時間、404 HOUSE全体を見渡し、必要だと思ったことを自分から行動してください。



ジウォンはカードを見つめる。



「……苦手分野ですね。」



「そうなんですか?」



スンチョルが尋ねる。



「私は、自分の仕事は最後までやります。」



「でも、人に頼るかどうかは本人が決めることだと思っていて。」



「だから、自分から踏み込むことはあまりないんです。」



スンチョルはゆっくり頷いた。



「確かに、それも優しさですね。」



「相手を信じる優しさ。」



ジウォンは少し驚いたように笑った。



「そう言われたのは初めてです。」





その時。



チェリンが棚の上の大皿を取ろうと背伸びをする。



あと少し届かない。



ジウォンは一瞬迷った。



(頼まれてない。)



(でも……。)



ゆっくり立ち上がる。



「取りますよ。」



「え、ありがとうございます!」



チェリンが嬉しそうに笑う。



皿を渡しながら、

ジウォンは小さく笑った。



「こういうことなんですね。」



その様子を見ていたスンチョルも笑顔になる。



「そういうことです。」





夕食が始まる。



いつものように賑やかな食卓。



スンチョルは途中、

空になったお茶のポットを見つける。



思わず立ち上がりそうになる。



しかし、

ぐっとこらえた。



その姿を見て、

ジウォンが笑う。



「今、行こうとしましたよね?」



「しました。」



「完全にクセです。」



二人は顔を見合わせて笑った。



食事が終わる頃。



ジウォンが静かに口を開く。



「今日一時間だけでしたけど。」



「家全体を見るって、思っていた以上に疲れますね。」



「誰かが困っていないか。」



「何が足りないか。」



「ずっと考えていました。」



スンチョルも頷く。



「僕は逆でした。」



「何もしないって、こんなに落ち着かないんですね。」



「みんなを信じて任せることも、大事なんだなって思いました。」



ジウォンは穏やかに微笑む。



「スンチョルさん。」



「はい?」



「一人で抱え込みすぎです。」



スンチョルは苦笑する。



「……やっぱりそう見えますか。」



「見えます。」



少し間を置いて、

ジウォンは続けた。



「昨日のSECRET ROOMでも思いました。」



「全部守ろうとしなくていいと思います。」



「404 HOUSEには、もう一緒に支える人がいますから。」



スンチョルはその言葉に、

静かに目を伏せた。



そして、

ゆっくり微笑む。



「ありがとうございます。」



「少しだけ、頼る練習をしてみます。」



「その方が、きっと似合います。」



ジウォンも柔らかく笑い返した。



二人の間に流れる空気は、

恋愛とは少し違う。



互いを認め合う、

大人同士の信頼だった。



【STAFF NOTE】

人には、

無意識に続けている役割がある。



スンチョルは、

「支えること」が当たり前だった。



ジウォンは、

「相手を尊重すること」が当たり前だった。



どちらも優しさ。



ただ、

形が違うだけ。



互いの”当たり前”を知ったことで、

二人は自分自身の癖にも気付くことができた。



そして404 HOUSEでは、

少しずつ

「一人で頑張る人」が減り始めていた。



次回 Scene7

『気づいたこと』

Friday|09:00 PM



ミッションを終えた11人がリビングに集まる。



一人ずつ、

今日見つけた相手の”当たり前”を言葉にしていく。



その言葉は、

誰も気づいていなかった優しさを照らし始める。




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