ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode13
『すれ違うタイミング』
― 一緒にいる時間が増えるほど、小さなすれ違いも生まれる。 ―
Day:Saturday(共同生活13日目)
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Scene3
『ちょっとしたすれ違い』
Saturday|03:00 PM
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午後三時。
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休日の404 HOUSE。
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午前中、それぞれ外で過ごしていたメンバーが少しずつ帰宅し始める。
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「ただいまー!」
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一番大きな声とともに玄関を開けたのはスニョン。
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「疲れたー!」
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その後ろからミンギュも笑いながら入ってくる。
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「スニョンさん、最後追い込みすぎですよ。」
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「休日くらい全力じゃないと!」
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二人の笑い声がリビングに響く。
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ミンギュは冷蔵庫から水を取り出し、一気に飲んだ。
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ふと周りを見渡す。
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(チアキちゃんは……?)
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リビングにはいない。
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キッチンにも姿はない。
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「ソヨンさん、チアキちゃんはまだ帰ってないですか?」
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買い物袋を片付けていたソヨンが振り返る。
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「さっき帰ってきましたよ。」
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「今、一緒に夕飯の下ごしらえをしています。」
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「え?」
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ミンギュがキッチンを覗く。
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そこでは、
チアキがエプロン姿で野菜を切っていた。
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「ソヨンさん、このくらいの大きさで大丈夫ですか?」
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「うん、ちょうどいいですよ。」
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二人は楽しそうに話しながら料理を進めている。
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ミンギュは一歩だけキッチンへ入る。
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「あ、チアキちゃん。」
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チアキが顔を上げる。
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「あ、お帰りなさい、ミンギュさん。」
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「お帰りなさい。」
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「ありがとうございます。」
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笑顔で返すチアキ。
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そのまま包丁を持ち直し、
また料理に戻る。
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「今日、ジムお疲れさまでした。」
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「はい。」
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「チアキちゃんも。」
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そこへソヨンが声を掛ける。
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「チアキちゃん、お鍋お願いしてもいい?」
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「はい、分かりました。」
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チアキはすぐに返事をし、
コンロの前へ移動する。
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「……。」
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ミンギュは何か話そうとしたが、
タイミングを逃してしまった。
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「じゃあ……後で。」
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「はい。」
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短いやり取りだけで終わる。
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ミンギュは苦笑しながらリビングへ戻った。
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(なんか今日は話すタイミングがないな。)
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ソファに座り、
スマートフォンを手に取る。
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その頃。
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別の部屋では、
ウォヌとスングァンがゲームを始めていた。
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「ウォヌさん!」
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「そこ右!右!」
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「分かってる。」
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「いや、分かってない!」
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ゲームオーバー。
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「うわー!」
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二人は顔を見合わせて大笑いする。
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「もう一回!」
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「次は勝ちます。」
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普段は静かなウォヌが、
珍しく声を出して笑っていた。
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その笑い声を聞いたジョンハンが、
部屋を覗く。
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「楽しそう。」
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「ジョンハンさんもやります?」
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「いや、見てるだけで十分。」
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穏やかに笑うジョンハン。
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一方、
ダイニングではスンチョルとジョンハンが、
仕事について話していた。
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「最近、新人が入ってきて。」
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スンチョルがコーヒーを飲みながら話す。
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「教える側って難しいですよね。」
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ジョンハンは頷く。
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「相手によって伝え方を変えないといけないですから。」
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「仕事も人間関係ですね。」
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「本当に。」
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二人は静かに笑い合う。
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同じ家の中。
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それぞれが、
違う時間を過ごしていた。
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夕方。
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料理が完成し、
チアキがリビングへ顔を出す。
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「皆さん、ご飯できました。」
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その声で、
ゲームをしていたウォヌとスングァンも、
仕事の話をしていたスンチョルとジョンハンも集まってくる。
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ミンギュも立ち上がる。
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「美味しそう。」
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チアキは笑顔で頷く。
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「今日はソヨンさんに教えていただきました。」
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「ほとんどチアキちゃんが作りましたけどね。」
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ソヨンが微笑む。
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「そんなことないです。」
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照れながら首を振るチアキ。
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ミンギュはその姿を見て、
自然と笑顔になる。
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今日、
ゆっくり話す時間はなかった。
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それでも、
チアキちゃんが楽しそうに笑っている。
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それだけで、
少し安心している自分がいた。
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一方でチアキも、
配膳をしながらふとミンギュを見る。
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(ジムでは少ししか話せませんでしたね。)
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そう思った瞬間、
ミンギュと目が合う。
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お互いに小さく笑う。
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たったそれだけ。
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言葉は交わさない。
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でも、
その一瞬だけで十分だった。
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【STAFF NOTE】
共同生活を始めた頃は、
「誰と過ごすか」は偶然だった。
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しかし今は違う。
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「少し話したかった。」
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そんな気持ちが、
小さなすれ違いを生むようになっている。
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ミンギュは、
チアキを探していた。
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チアキもまた、
ジムで話し足りなかったことを少しだけ気にしていた。
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まだ恋ではない。
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けれど、
会えない時間を少しだけ惜しいと思う気持ちは、
確かに芽生え始めていた。
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次回 Scene4
Saturday|06:30 PM
『みんなで夕食』
11人そろって囲む食卓。
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何気ない会話の中で、
404 HOUSEは今日も笑顔に包まれていく。
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