ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode14
『届かない名前』
― 伝えたい想いはある。でも、その名前だけはまだ書けない。 ―
Day:Sunday(共同生活14日目)
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Scene2
『HAN RIVER PICNIC』
Sunday|11:00 AM
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爽やかな青空が広がる日曜日。
スタッフの車で漢江へ向かった11人は、川沿いの広場に到着した。
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「うわぁ……!」
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チアキは思わず足を止める。
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目の前には、ゆったりと流れる漢江。
芝生の上では家族連れや友人同士が思い思いの休日を過ごし、風に乗ってチキンの香ばしい匂いが漂ってくる。
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「やっぱり漢江はいいな。」
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スンチョルが大きく伸びをする。
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「今日は天気も最高。」
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ジョンハンも穏やかに笑った。
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スタッフが用意した大きなレジャーシートを広げると、メンバーは自然と荷物を運び始める。
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「チアキ、それ持つよ。」
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ミンギュがクーラーボックスに手を伸ばす。
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「ありがとうございます。」
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「でも、私も持てますよ。」
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「知ってる。」
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ミンギュは笑いながら答える。
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「でも二人で持った方が早いから。」
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「……はい。」
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チアキも笑顔で頷いた。
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ほどなくして料理が並ぶ。
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韓国フライドチキン。
キンパ。
トッポッキ。
カップラーメン。
フルーツ。
冷たいジュース。
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「いただきます!」
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漢江の風に、11人の声が響いた。
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「このチキン最高!」
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スングァンは早くも二本目に手を伸ばしている。
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「まだ始まって五分ですよ。」
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ウォヌが苦笑すると、
みんなが笑い出す。
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「スングァン、今日も食欲すごいね。」
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チェリンが笑う。
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「休日だから!」
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「それ昨日も聞いた。」
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スニョンがすかさずツッコみ、再び笑いが起こる。
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一方、チアキはキンパを手に取りながら周囲を見渡していた。
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「こういう休日、いいですね。」
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「日本でもピクニックする?」
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ジョンハンが尋ねる。
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「します。」
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「でも、漢江みたいにみんなでチキンを食べる文化は新鮮です。」
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「韓国っぽいでしょ?」
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ユナが微笑む。
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「はい。」
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「すごく好きです。」
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その一言に、みんながどこか嬉しそうな表情を浮かべた。
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食事がひと段落すると、
チェリンがスマートフォンを取り出す。
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「写真撮ろう!」
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「集合写真!」
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「賛成!」
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11人がレジャーシートの前に集まる。
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「セルフタイマーにする?」
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「いや、スタッフさんお願いしましょう!」
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スタッフがカメラを受け取る。
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「はい、いきます。」
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「3、2、1!」
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「404!」
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全員が笑顔でポーズを決める。
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カシャ。
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自然な笑顔が一枚の写真に収まった。
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そのあとも、
チェリンとユナは写真を撮り続ける。
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「チアキ、こっち向いて!」
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「はい!」
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「ミンギュ、もっと笑って!」
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「笑ってるって!」
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「硬い!」
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「えぇ?」
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周囲は大爆笑。
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チアキも声を出して笑っていた。
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その笑顔を見たミンギュは、
無意識にスマートフォンを向ける。
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パシャ。
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「……あ。」
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シャッター音に気づいたチアキが振り返る。
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「撮りました?」
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「ごめん。」
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「笑ってる顔がすごく楽しそうだったから。」
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チアキは少し照れながら笑う。
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「じゃあ、その写真ください。」
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「もちろん。」
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「後で送るね。」
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少し離れた場所でそのやり取りを見ていたスングァンが、
スニョンに小声で話しかける。
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「ミンギュ、最近カメラ向ける相手決まってない?」
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「……言われてみれば。」
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スニョンも何気なく視線を向ける。
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その時にはもう、
ミンギュはみんなの写真を撮っていた。
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「気のせいか。」
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「うん、気のせいだね。」
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二人はそれ以上気にすることなく、
また笑顔で輪の中へ戻っていった。
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昼食のあと。
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チアキは一人、漢江を眺めていた。
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「景色、きれいですね。」
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その隣にウォヌが立つ。
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「昼も好きですけど。」
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「夕方はもっときれいですよ。」
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「そうなんですか?」
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「はい。」
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「また来たくなります。」
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チアキは川の流れを見つめながら微笑んだ。
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「韓国で、好きな場所がまた一つ増えました。」
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ウォヌも静かに笑う。
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「それなら、よかったです。」
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少し離れた場所では、
スニョンとスングァンがフリスビーで遊び始め、
ユナとジウォンはチェリンを巻き込んで写真撮影会。
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ジョンハンとスンチョルはベンチに座り、
穏やかにコーヒーを飲みながら話している。
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誰かが笑えば、
自然とその笑い声が広がる。
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404 HOUSEで過ごした二週間が、
11人を”知らない人”から”一緒に笑える仲間”へと変えていた。
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【STAFF NOTE】
イベントでは、
人は無意識に「一緒にいたい相手」の近くへ行く。
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食事中の席。
写真を撮る相手。
景色を見せたい人。
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今日の漢江では、
そんな小さな選択が何度も繰り返されていた。
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まだ誰も恋とは呼ばない。
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けれど、
カメラは知っている。
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誰が誰の笑顔に、
一番多くシャッターを切っていたのかを。
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次回 Scene3
Sunday|01:00 PM
『チーム対抗レクリエーション』
笑って、
走って、
本気で悔しがる。
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勝負の中で見えてくる、
いつもとは違う11人の素顔。
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